「波動でウイルスをバリアした!」は妄想だけど、遺伝子レベルでは大正解な話
放課後の「波動研究部」の部室は、 純喫茶「天の川」の奥スペースだ。 今日も絶好調に平和である。




「五十鈴さん! 有栖川くん! 僕、ついに覚醒したかもしれません!」 勢いよくドアを開けて飛び込んできたのは、天然パーマを揺らす部長のオバチャンだ。
定位置でノートPCを開いていた有栖川くんが、怪訝そうに眼鏡の位置を直す。 「覚醒、ですか。また『月刊ムー』の読みすぎによる自己暗示現象の一種ですか?」
「違うって! 最近毎日『笑いヨガ』をやってるじゃないですか。そしたら僕の周りに、強力な『波動のバリア』が展開されるようになったんですよ! 見えないエネルギーの盾が悪いウイルスを全部弾き返してるから、最近めちゃくちゃ体調いいんです!」
オバチャンが両手を広げてドヤ顔を決めた。 すかさず有栖川くんが、冷徹なトーンで返す。 「バリア……。電磁波シールドの一種ですか? 斥力を発生させるメカニズムと、その『見えないエネルギー』の観測データを出してください」
「えっ、観測? いや、なんかこう、オーラ的なものがビカビカッと……」
「ストップ」 私はオバチャンにコーヒーを渡しつつ、二人の会話に割って入った。 「オバチャン。それ、波動のバリアじゃなくて、あなたの『NK細胞』の遺伝子スイッチが入っただけだから」
「えぬけー、さいぼう?」 オバチャンが目をパチクリさせる。
「ナチュラルキラー細胞、ですね」 有栖川くんが即座に補足した。 「体内をパトロールして、ウイルスに感染した細胞や、がん細胞などの異常細胞をいち早く発見し、単独で攻撃を仕掛ける自然免疫の主力部隊です。確かに、あれは優秀な物理バリアと言えます」
「その通り」私は頷いた。 「前に、笑うとストレスホルモン(コルチゾール)が減るって話をしたでしょ? 実はそれだけじゃなくて、笑うことでそのNK細胞の活性がグンと上がることが、免疫学の研究でも確認されているの」
有栖川くんのタイピング速度が少し上がった。 「なるほど。ストレスによる免疫抑制が解除されるだけでなく、行動的介入(笑い)によってNK細胞自体の攻撃力が増加する、と」
「さらにすごいのがここからよ。笑うことでね、単に細胞が元気になるだけじゃなくて、そのNK細胞に関連する『免疫応答遺伝子』のスイッチがオンになる……つまり、遺伝子の発現がアップレギュレートされることまで分かっているのよ」
ピタッ、と有栖川くんの指が止まった。 「……身体的動作というマクロなアプローチが、遺伝子発現というミクロなシステムに直接干渉する、と? それは……非常にハックのしがいがある仕様ですね」 眼鏡の奥の目が、完全に理系特有の好奇心で光っている。
一方のオバチャンは、天パを両手でわしゃわしゃと掻き回して叫んだ。 「いでんしの、すいっち……!? な、なんかそれ、波動よりめちゃくちゃカッコよくないですか!? 僕の体内で、未知のスイッチがガチャン!って起動してるなんて!」
「まあ、ある意味『自分の中に眠る力を引き出す』って意味じゃ、オカルトチックなロマンはあるわよね」 私は笑いながらオバチャンの背中をポンと叩いた。
「でもこれは、誰もが持っている確かな科学の力なの。笑いヨガでハッハッハ!って身体を動かすだけで、体の中の優秀なガードマンたちが『おっ、主人が笑ってるぞ!防衛システム起動だ!』って遺伝子レベルでフル稼働してくれるんだから。すごいメカニズムでしょ?」
有栖川くんが、パタンとノートPCを閉じた。 「……ウイルスに対する物理的かつ遺伝子レベルの防壁。オカルト的な『波動』という表現は不適切ですが、現象の方向性としては概ね事実と一致しているわけですか。……悔しいですが、部長の直感もあながち馬鹿にはできませんね」
「でしょ!? 僕、やっぱり選ばれしニュータイプだったんですよ!」 「いえ、ホモ・サピエンスの標準的な生理機能です」
秒で論破されるオバチャンを見て、私は思わず吹き出してしまった。
オカルトと科学。 相容れないようでいて、この部室では不思議と波長が合っている。 これもきっと、笑いが生み出す「良いバリア」のおかげかもしれない。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。吉野五十鈴でした。
皆さまの遺伝子が、今日もご機嫌でありますように。(。-人-。)✨
Love & Peace💕
※この作品は、AI漫画生成ツール(新宇佐美式AI漫画)を使用し、 著者の指示のもとで制作されたコミックエッセイです
