【AIマンガ】白い浴衣の人
昨日、娘が初めてのデートに出かけた。
相手は同じクラスのよしお君。うちの陽菜はピンクの浴衣で、向こうは青い浴衣で、玄関先で並んで立っているのを見たとき、私は自分の顔がうまく動かないのを感じた。
九時までに帰りなさい。そう言って送り出した五分後、私は家を出た。
いや、尾行ではない。付き添いである。人混みは危ないし、最近は物騒だし、父親としてこれは当然の任務であって、決して娘を信用していないわけでは、と、そういうことを頭の中で三十六回くらい唱えながら、私は屋台の陰を歩いていた。
そして見てしまったのだ。つながれた二人の手を。
思わず飛び出そうとしたその瞬間、背中のTシャツを、うしろから誰かにぐいと引っぱられた。
振り向いたら、白い浴衣の人が笑っていた。
会社の部下である。二十九歳。営業二課。彼女は唇に人差し指をあてて、こう言った。
だめですよ。
その瞬間、どん、と花火が上がった。
──というのが、昨日の夜の話。
今日は、その翌朝の話です。

娘というのは、なんでも見ている。
こちらが必死で隠したつもりのものほど、きれいに見ている。落としたたこ焼きも、白い浴衣も、その両方を見たうえで、朝の食卓では何も言わずに味噌汁をすすっている。
そして最後にひとこと、置いていくのだ。
怒ってへんよ。ぜんぜん。
あの「ぜんぜん」の四文字を描きたくて、この回を作りました。娘が父を許すとき、たぶん子どもは「許す」なんて言葉は使わない。使わないまま、蛇口をひねって、背中を向けて、洗い物をする。
母親が亡くなってから、この父娘はずっと二人でやってきました。父はいまだに娘の前で新聞を上げたり下げたりしている。娘はそれを知っていて、知らんふりをしてくれている。
白い浴衣の人の話は、たぶん、まだ続きます。

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