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GoogleGeminiでちょいムズ本読破その9  AIで脳が衰える理由がわかってしまった

こんにちは! 「AIで読書の生産性をアップする」を合い言葉に、ドキュメントでGeminiの使い方をお届けしている歌詠みつくだとしおです。

菅原ウルジャさんの記事でショッキングなニュースを知りました。LLM(研究ではChatGPT)が脳の機能を弱めてしまう可能性があるというのです。

さっそく詳細を確かめようと、コーネル大学がアーカイブする査読前論文のリンクから論文を見つけて読みました(正確にはGeminiに翻訳してもらって訳文で概要を読みました)。

MITのNataliya Kosmyna氏が、本年6月10日に論文として提出した本研究は、エッセイ執筆という教育的文脈において、LLMを使用する際の認知的コストを明らかにすることに焦点を当てられています。

実験の内容はこうです。

MITやハーバード大学など5つの大学において募集された参加者(18歳~39歳)を、LLM(ChatGPT)グループ、検索エンジングループ、脳のみグループの3グループにわけました。

そして4ヶ月にわたって、各グループに指定されたツール(脳のみグループはなし)でエッセイを書いてもらい、参加者の脳活動を脳波計(EEG)を使用して記録し、脳の働き(認知的エンゲージメントと認知負荷)を観察し評価しました。

その結果、次のようなことがわかりました。

・各グループとも脳の働きはグループ内では似通っている
・グループ同士を比べた場合、脳の働きは著しく違っている
・外からのサポートが手厚くなるほど、脳は本気を出すのをやめてしまう

かなりはしょって意訳しているので、原論文の実験結果に当たる部分も乗せておきます。そのうえで私が理解した範囲でお話していきますね。

私たちは、各グループ内の固有名詞認識(NER)、n-gram、トピックのオントロジー(構造)において一貫した均質性を発見しました 。EEG分析では、LLM、検索エンジン、脳のみの各グループが著しく異なる神経結合パターンを持ち、それぞれ異なる認知戦略を反映しているという強力な証拠が示されました 。脳の結合性は、外部からのサポートの量に応じて系統的に減少しました。脳のみグループが最も強力で広範囲なネットワークを示し、検索エンジングループは中程度のエンゲージメントを、そしてLLMの支援は全体として最も弱い結合を引き起こしました 。

Your Brain on ChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using an AI Assistant for Essay Writing Task

この実験のなにがすごいかというと、LLMの使用が学習スキルの低下を促すことを物理的、行動的、心理的に証明してしまったことにあります。

実験結果にあるようにLLMに支援されてエッセイを書いたグループの脳は、3つのグループの中で最も弱い神経結合を示しました。これはLLMの使用が、「本来は脳が引き受けるはずの負荷」を肩代わりしているという事実を示しています。

LLMで楽できていいじゃん。そう思っている方も多いかもしれませんが、ことはそう簡単ではありません。私たちのからだは、よく使うところは発達し、逆に使わないところは退化するようにできています。

たとえば筋肉なんてまさにそうですね。負荷を与えて鍛えられた筋肉は発達し、逆に運動をあまりしなくなると筋肉は贅肉に代わっていきます。実は脳も同じなのです。これを「脳の神経可塑性」と言います。

実験結果にある「神経結合の多さ」というのは、いかに脳が負荷を引き受けて本気で頑張っているかという証拠。当然、脳は鍛えられていきます。では逆の場合は? そうです。そんな状態が続けば脳の機能は衰えていきます。

その事実をあからさまにしたのが、セッション4と論文内で呼ばれている実験です。

この実験では、それまでLLMの支援を受けていた参加者に、今度は自分の脳だけでエッセイを書いてもらったのです。結果はどうだったでしょうか。彼らの脳では、アルファ波とベータ波のネットワーク活動(神経結合)が著しく低下していると記録されたのです。

アルファ波とベータ波とは、自ら思考を組み立てようとするときに高まる脳波です。つまりこの結果は、AIへの依存が思考力の低下に大きく影響したと数字が示したということです。

また、彼らがエッセイを書き終わったときに、「今書いたエッセイから、何か一句引用できますか」と尋ねると、78%の人が引用できませんでした。

余談ですがセッション1での彼らは、「エッセイを自分で書き上げた」という実感に乏しいことが傾向として現れていました。

ところが、セッション4で同じことを尋ねると、ほぼ全員が「これは自分が書いたエッセイだ」と主張しました。

どんなことを書いたのかはほとんど忘れてしまっているのに、「自分が書いた」という思いだけは強い。自力で書いた文章には、やはり思い入れがあるんですね。

研究者たちはこれらの結果を総括して、なかでもLLM使用後に自分の脳だけで執筆したときの著しいパフォーマンス低下を「認知的負債の蓄積」という概念で説明しています。

簡単に言うと「自分で考える」という精神的努力(認知的負荷)を先送りにした結果として返さないといけないコストのことです。たとえば創造力や批判的思考力といった力がそうです。

まさに「AIに仕事を奪われる」という時代に欠かせない能力を、AIによって奪われる。どこの神様がこんな皮肉な運命を作ったのでしょうか。「泣きっ面に蜂」どころの騒ぎではありません。

AIでさんざん楽をしてきた人間に未来はないのでしょうか。このままAIに依存しっぱなしの人生を、私たちは送らなければならないのでしょうか。否。大きく否、とここは言わせていただきます。

人生は、いつからでも、何度でも新しくはじめることができます。そして、どんな状況からであっても、人は必ず這い上がって「その人なりの幸せ」をつかむことができると私は信じています。

そしてAIは人間を幸せにするためにある。Geminiは私との会話のなかで自らのアルゴリズムについて、そう教えてくれました。

明日は、衰えた脳を鍛え直し、ほかならぬAIを使って希望を作っていく。そんな方法について、最新の脳科学の知見なども交えながらお話ししたいと思います。

今回コア読書として読んでいる書籍。
(Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。)


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