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【英国文豪、令和を歩く】第34回:ADHD, yeah that’s me—fast ideas, wild and free!

京都、寺町通の片隅にある、琥珀色のランプが灯る古風な喫茶店。使い込まれたベルベットの椅子に、二人の人物が向かい合っている。一人は華やかなスカーフを巻き、知的な瞳を輝かせた女性、ウィル。もう一人は、ツイードのジャケットを羽織り、指先に微かに薬品の匂いを漂わせた痩身の男、ドイル。テーブルには深煎りの珈琲と、手付かずのスコーンが置かれている

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

(カップの縁を指でなぞりながら、楽しげに)
ねえ、ドイル。この街の喧騒を見ていると、時折思うの。私たちの時代には「気紛れ」だとか「情熱の嵐」だとか呼んでいたものが、今の世ではずいぶんと整然とした名前を与えられているのね。「ADHD」……まるで新しい喜劇のタイトルのようじゃない?

                                                                                                                             コナンドイル

(細い指でパイプを弄び、深刻そうに眉を寄せながら)
ああ、ウィル。現代の医学はあらゆる現象にレッテルを貼らなければ気が済まないらしい。だが、私の知る「彼」……ベーカー街の友人を思い返せば、その診断名は実に見事に当てはまるのかもしれん。事件がない時の彼は、まさに退屈という名の毒に蝕まれ、室内を獣のように歩き回り、壁に弾痕でV.R.と刻む。注意の散漫どころか、一つの対象への過剰な集中、そしてそれ以外への完全な無関心。

(くすくすと笑い、身を乗り出して)
あら、それは私の物語の住人たちも同じよ。一瞬で恋に落ち、次の瞬間には運命を呪って剣を抜く。彼らの血は常に沸騰していて、一つの場所に留まることを知らない。もし彼らがこの現代の「カッフェー」に現れたら、きっと落ち着きなく貧乏ゆすりをしながら、メニューの隅々まで読み耽り、肝心の注文を忘れてしまうでしょうね。でも、ドイル、それは「欠陥」なのかしら?

(珈琲を一口すすり、鋭い視線を窓の外へ向けながら)
いや、むしろ「特異な才能」の副産物だろう。私の友人も、十五分ごとに塑像の向きを変えさせるような細かな操作をハドソン夫人に命じながら、同時にロンドンの裏通りの地図をすべて脳内に展開している。普通の人間の脳が静かな池だとしたら、彼らのは常に嵐の海だ。波が高いからこそ、普通の人間が見逃す深海の真実を拾い上げることができる。

(満足そうに頷き、扇子を広げるような仕草で)
その通りよ。世界は整然とした韻文だけでできているわけじゃない。突拍子もない飛躍、脈絡のない情熱、それこそが物語を動かす「命」だわ。この京都の街だって、千年も前からそんな「落ち着きのない」才人たちが、あちこちの路地で新しい夢を見てきたのでしょう?

(少しだけ口角を上げ、不機嫌そうに見えて実は楽しげに)
君の言う通りだ、ウィル。先ほど君がスコーンを一口も食べずに、隣の席の客が読んでいた新聞の見出しについて三つの仮説を立て始めたのを見た時、私は確信したよ。君もまた、あの「診断名」を誇り高く冠する一人なのだと。

(悪戯っぽくウィンクして)
お見通しね、ドイル。でも、そんな私を観察して飽きずに付き合ってくれるあなたこそ、一番の「集中力過剰」な観察者じゃないかしら? さあ、冷めないうちにその「論理的」な珈琲を飲み干して。次の路地には、もっと面白い「謎」が落ちているかもしれないわよ。

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