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【英国文豪、令和を歩く】第30回:Got a prosthetic limb—still slim, still trim, living life on a fearless whim!

外では春の風が少し強まり、喫茶店の扉がガタガタと音を立てる。ドイルは、先ほどウィルが言った「杖」の話から何かを思い出したように、自分の膝を軽く叩いた

                                                                                                                               コナンドイル

杖と言えば、ウィル。さっきのゴルフやチャップリンの話にも通じるが、私は「失われた身体を補うもの」についても、妙に惹かれるところがあるんだ。現代の医学や工学では、義肢――つまり義手や義足が、驚くほど精巧になっているのを知っているかい?

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

(窓の外を歩く、少し足の不自由そうな老人の足元をそっと見つめて)
ええ、ドイル。かつて私の時代では、戦で足を失えば無骨な木の棒を当てるのが関の山だった。けれど、今のそれは、まるで生きているかのようにしなやかに動くものもあるそうね。それは、失われた物語の続きを紡ぐための「新しいペン」のようなものかしら。

言い得て妙だ。私の物語にも、木製の義足を持った男が登場したが、当時はそれが「不完全さ」や、時には「恐怖」の象徴として描かれることも多かった。だが、今の義肢は違う。それは人間の意志を物理的な形に変換する、高度な「装置」だ。グレノーブルの彫刻家がホームズの蝋人形を作ったように、精緻な模倣を超えて、もはや本物以上の機能を持つことさえある。

本物以上の機能……。それは少し、恐ろしい気もするわね。もし、心臓までもが精巧な機械に置き換わってしまったら、人はそれでも「愛」に胸を焦がすことができるのかしら? リチャード三世のように、身体の歪みを呪う代わりに、誰もが完璧な義体を手に入れたなら、私の書く悲劇はどれも色褪せてしまうかもしれないわ。

いや、そうは思わないな。ホームズが暗闇の中で影武者の像を使って敵を欺いたように、外側がどうあれ、それを操る「魂」の在りようこそが肝心なのだ。義肢は、失ったものへの絶望を、再び歩き出すための希望に変える。それは、科学が人間に与えた「第二のチャンス」なんだよ。

第二のチャンス……。素敵ね。でも、私はその「継ぎ目」にこそ、美しさを感じるわ。肉体と、作られたものとの境界線。そこには、生きたいと願う人間の執念が宿っている。劇の舞台で、役者が仮面を被ることで真実の声を出すように、義肢という「仮面」を纏うことで、より力強く人生を躍動させる人々がいる。

そうだね。かつてライヘンバッハの滝で死にかけたホームズが、変装という名の「偽りの自分」を纏ってロンドンの空き家に帰還した時のように……。失われたはずのものが、形を変えて戻ってくる。そこには、論理だけでは説明できない、人間の不屈の精神がある。

(自分のしなやかな指先を見つめて)
形あるものはいつか壊れ、失われる。それは逃れられない運命(さだめ)だけれど、それを「補う」という知恵を持った現代の人々は、ある意味で神に抗う詩人のようね。……ドイル、もしあなたがいつか筆を握る右手を失ったら、どんな義手を選ぶ?

(少し真面目な顔をして)
そうだな……。指先に万年筆が仕込まれていて、一瞬の閃きも逃さないような、そんな実用的なやつがいい。だが、一番大切なのは、君とこうしてコーヒーを飲む時に、カップを落とさない程度の確かな温もりがあることかな。

ふふ、やっぱりあなたは現実的ね。私なら、触れるものすべてを黄金に変えてしまうような、贅沢な義手にするわ。……なんて、それは嘘。私も、あなたの淹れてくれるお茶の温かさを感じられる、そんな「心に近い手」がいいわ。

ははは、エイプリルフールはもう終わったよ、ウィル。だが、君のその空想力こそが、何よりも素晴らしい「心の義肢」なのかもしれないな。どんなに厳しい現実があっても、君の言葉はそれを補って余りある。

あら、最高の賛辞をありがとう、ドイル。さあ、そろそろ行きましょうか。この現代の京都という舞台を、私たちの「本物の足」で、もう少し探索してみることにしましょう。

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