12話 リス What Do I Want to Be 【青春編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
セオリとナビオは銭洗い弁天に行った。
観光客が多く、少し順番を待ってから、笊にありったけのお金を入れる。
わずかに残っていた紙幣も入れて、澄んだ冷たい水で念入りに洗った。
きれいになった全財産を数え直した。
「お金、増えるといいね」

二人は少し休憩することにして、飲み物を頼んだ。
空いているテーブルでアイスコーヒーを飲む。
オープンスペースになっていて周りに木々がある。
セオリはこんな時でもスケッチをする。
今日はいつもの大きなスケッチブックではなく、小さなものを持ってきていた。
近くの木にリスがいる。
リスはよく動くし、毛並みも複雑で、スケッチするのは難しい。
観光客たちもリスを指さして喜んでいる。

「将来、何になりたいの」
ナビオが聞くと、セオリはスケッチの手を止めて少し考えた。
デザイナーとか、イラストレーターとか、そう答えるのかと思ったが――
「多分、就職するんだろうな……」
絵は好きだ。
でも、絵で何かをするにしても
――食べていけるとは限らない。
母の口癖は「ちゃんと就職してね」
そのあとに「学校にお金かかってるんだし」が続く。
姉が大学生なので、言いたいことはわかる。
ナビオも同じだった。
デザイナーもカメラマンもいいなと思う。
でも、その先にある現実は、やっぱり同じだ。
“好きなことをやりなさい”というアドバイスはよく聞く。
“現実を見なさい”というアドバイスは、それよりもっとよく聞く。

近くをリスが走り抜けた。
「リスはいいな……就職がなくて」
ナビオは黙っていた。
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