147話 宰相 The Chancellor: A Hard Struggle 【エジプト編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
ネフェルイウリアが王宮に戻った時には、王トトメスの姿はなかった。
うやうやしく宰相のメフテプが、王妃を迎える。
「王妃様、お疲れで御座いましょう。先ほど、王陛下は御出陣なされました。後は頼むと申されました。」
後を、――誰に頼んだかを省略して言った。

「宰相殿、大儀に存じます。戦況はどのような・・・」
「ははっ。防衛線は守り切っている模様に御座います。」
国境に近い山の中に陣を張っている。
武器と戦車では、ケムル軍にはかなわなかった。
平地での戦いは避けなければならない。
「が、苦戦とのことで御座います・・・」
・・・・このままでは・・・

宰相のメフテプは、静かに言った。
「王太后様からのお話がございまして、援軍を求めてはいかがかと・・・」
――ネフェルイウリアは思う。
やはり母にはかなわない・・・
王太后というのは、母であるネフェルセトのことだ。
父王 アメンラーセケムが亡くなった後、恭しく王太后様と呼ばれている。
「では」
メフテプは、ネフェルイウリアを見もせずに下がっていった。

「あやつ・・・妾の裁可など・・・はじめから聞く気がない・・・」
宰相の背中を見つめながら、ため息をついた。
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