63話 錯覚 Illusion of Motion 【後期青春編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
もう少しだけ行ってみよう――
そう思った瞬間、足をひねってしまった。
英男は階段に腰を下ろし、痛む足首をさすった。
無理は禁物だ。運動不足だとわかっているのに・・樹々の間から、青い海がちらりと見える。
「まあ、今日は時間がある……」
たまの休みだ。
仕事に追われているわけでもないし、アポが入っているわけでもない。
英男は、見た目ほど困ってはいなかった。

上の方から女の子が下りてくる。
さっき前を歩いていた小柄な女の子で青い髪をしている。
足をさすっている人を見て 「どうしましたか」 と聞いた。
「あ、いや・・足をひねったみたいで・・」
「・・・それは、困りましたね・・」
小柄な女の子が手を貸したぐらいでは立ち上がれそうにない体格である。
その時、
――風の向きが変わった。
横にいた女の子が上を見上げるのにつられて上を見る。
翼が羽ばたいたように見えた。
女の子がとっさに手を合わせている。

眼の錯覚だろう。
前と変わらない石像があるだけだ。
風にざわめく木の葉の音が今初めて聞こえる。
「ありがとう。もう大丈夫です。」
英男は自分で立ち上がっていた。
「良かったです」
少し笑顔を見せた女の子は、振り返りながら階段を下りて行った。
心が軽い・・・
今までの人生、悔いはない。
出世できなかったことも悔いてはいない・・・
ただ、
――心の奥深くに、重りのように沈んだままだった。
――体を重くしていたのは、脂肪だけではなかったのかも知れない。
風にざわめく木の葉の音がはっきりと聞こえる。
――この音を、いままで聞いていなかった・・・

樹々の向こうの海がきらめいているのを、英男はいつまでも見つめていた。
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Kinu_AIイラストさんの、プロンプトを参照し作成しました。

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