26話 売店 Shop — The Girl Who Lent It to Me 【波打際編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
華道部のコノハを見かけるのは、いつも図書室だけだ。

ほとんど話したこともなく、同じクラスになったこともない。
校長室に飾られている花は、コノハが活けているらしい。
チューリップを花瓶に挿すようなものではない。見事な枝ぶりの木まで使った、本格的な生け花だ。
校長は来客が来るたびに自慢するという。それだけの腕前なのだろう。
売店に向かったところで、ナビオはようやく財布をなくしたことを思い出した。
今日は珍しくセオリが休みだ。
パンでも買おうと思っていたのに、どうしようかと立ち尽くしてしまう。
そんなとき、そっとコノハが声をかけてきた。

「貸しましょうか」
差し出されたのは一枚の紙幣だった。
「ありがとう。明日返すよ」
「財布、なくしたんでしょ。見つけてからでいいよ」
コノハは静かに笑った。
その笑顔は、図書室で見かけるときよりもずっと柔らかかった。
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