80話 彫刻 序 The Shape Hidden in the Wood 【波打際編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
彫刻に彫る下絵を描く。
角とひげがある龍の頭部に決めた。
基本は板彫りだが、龍の頭は空間に浮き上がるようにしたい。
前にナビオと一緒に行った建長寺の龍雲図がセオリの頭に浮かんでいる。
何枚か描いた下絵の中で、イメージに近いものを選んだ。

この間、二人はほとんど無言のままである。
下絵を板に写していく。
立体なので板の横にも下絵が入る。
ナビオは、板のサイズを合わせると、浮き上がらせる予定の頭部の余分な部分をのこぎりで切っていく。

一つの彫刻を二人で創る。
木の匂いは気持ちを落ち着かせるようだ。
夕焼けが差し込む美術室で時間がたつのを忘れて作業を続けていたが、
「今日はここまでにしましょうか」
セオリがそう言ってナビオに近づく。
木くずまみれになっているナビオの顔に手を伸ばすと
頬についていた木くずをそっと取り除いた。

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