32話 藤沢 Fujisawa — The Spanish‑Italian Restaurant She Recommended 【波打際編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
座禅が終わって外に出ると、胸の奥まで空気が澄んだようにすっきりしていた。
「悟りを開けたかも」
なんて冗談めかして思っていると、コノハがふいに言った。
「このあと、食事でもどうですか」
女の子を店に案内したことなどないナビオは、一瞬で頭の中が真っ白になる。
どうしよう、どこに行けばいい、何を頼めばいい
――そんな思考がぐるぐる回る。
「藤沢でいい?」
コノハはあっさりと言い、迷いなく歩き出した。


藤沢駅で降りてついていくと、地下へ降りる階段の先にあるスペイン・イタリアンの店に入った。
ガーリックの香りが効いた良い香りがする。
ピザもパスタも驚くほどおいしく、殻つきのアーモンドまで出てきて、
二人は思った以上に楽しい時間を過ごした。
このときの話の内容は、ここには書かないでおこう。
こういうのは二人だけしか知らないからこそいいのだろうから

が、ナビオが気になることを言った。
「六代御前って知ってる?」
と言ったのだ。
残念ながら、コノハは知らなかった。
帰り際、階段を上がろうとしたとき、壁に埋め込まれたピカソのタイルが目に入った。
そのタイルの人物の眼が、どこかナビオに似ている。

ナビオがじっとタイルを見つめていると、コノハは少し離れた場所から、静かに彼を見つめていた。
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