「赤ちゃんが寝てる時こそ、寝てください」─9年間で何度伝えたか分からない言葉
お迎えの時間。
薄暗くなりかけた玄関で、お母さんがお子さんの靴を履かせながら、小さい声でこぼれるように言いました。
「先生、私、最近ちょっと横になっただけで動けなくて……」
産後3ヶ月のお母さんでした。
目の下のくまが、朝よりもずっと濃くなっていました。

私は9年間、保育士として働いてきました。ぼぶと言います。
今、お腹に赤ちゃんがいます。初産のプレママです。
9年間で、何百人もの保護者の方と向き合ってきました。
その中で、私がいちばん多く口にしてきた言葉があります。
「赤ちゃんが寝た時、家事じゃなくて、あなたも寝てください」
それでも、最初の数ヶ月で本当にそれを実践できる人は、1割もいませんでした。
「私は大丈夫」 「みんなやってる」 「家事を放置するなんて」
そんな声が、たくさん聞こえてきました。
そして、何人ものお母さんが、気づいた時には倒れていました。
実はこれ、私が9年間で見てきた「産後に後悔した親」の共通点TOP10の中の、最初の1つでもあります。
今日はその1つだけ、お話しします。
なぜ私たちは「休むこと」に罪悪感を感じるのか
本当は限界まで疲れているのに、どうして素直に休むことができないのでしょう。
その背景には、「私が寝てばかりいたらダメなんじゃないか」という、真面目さゆえの罪悪感があるように感じます。
SNSの幻想に追い詰められていませんか
ちょっとスマホを開けば、目に飛び込んでくる。
彩り豊かな手作りごはんの写真
ピカピカに片付いたリビング
「#ワンオペでも頑張ってます」のハッシュタグ
「みんなはちゃんとできてるのに」って、誰かが作った幻想と比べてしまう。ただでさえ疲れた心を、ギュッと苦しめてしまっていませんか。
パートナーへの遠慮が、一番キケン
そして、私がこれまでの現場で一番よく見てきたのが、パートナーへの遠慮から無理をしてしまうパターンです。
「パパは外で頑張って働いてくれているから、日中家の中にいる私が家事を全部やらなきゃ」と、自分の休息を削ってしまうママたちに、本当にたくさん出会ってきました。
でもどうか、ご自身を責めないでください。
小さな命を24時間ノンストップで守り続けるって、ものすごい大仕事なんです。あなたが休むことは、決して「怠け」でも「甘え」でもないです。
▶ 「ちゃんとしなきゃ」の呪いについて、こちらの記事でも書きました
心と体からの小さなSOS、見逃していませんか?
「私なんてまだまだ大丈夫」
そうやって自分を奮い立たせているうちに、心と体はこっそりと小さなSOSを出していることがあります。
毎日の暮らしのなかで、こんなことはありませんか?
1. 朝、布団から起き上がるのがつらい
夜中の授乳や夜泣きで、細切れの睡眠が続き、朝になっても体が重たいまま。
アラームの音は聞こえているのに、まぶたが開かない。
お布団から出るだけでも、本当にひと苦労ですよね。

2. ごはんの味がよくわからなくなる
泣いている赤ちゃんをあやしながら、すっかり冷めきったごはんを急いでお腹に流し込んでいる。
……美味しいのかどうかも、よくわからない。
気づいたら、今日何を食べたかすら思い出せなかったりする。
3. ふいに涙がこぼれてしまう瞬間がある
ぼんやりテレビを眺めていたり、スプーンを落としただけのささいな出来事なのに。
なぜか突然ポロポロと涙があふれてきちゃう。
実はこれ、私が9年で見てきた共通点なんです。
限界ギリギリまで頑張りすぎているママたちには、こんなサインが現れることが多いんです。
もし一つでも当てはまったら、それは「もう十分頑張ってるよ、少し休んでね」という合図。
自分のことにはどうしても気づきにくくなってしまいますが、どうかご自身からの小さな声に耳を傾けてあげてください。
今日からできる、あなたと家族を守るための約束
では、今日から具体的にどうすればいいのでしょうか。
まずお願いしたいのは、たった一つだけ。
「赤ちゃんが寝たら、とりあえず自分も横になる」
これを、ルールにすること。洗い物や洗濯は後回しで大丈夫です。
スマホを少し遠くに置いて、アラームを15分だけセットしたら、とにかく目を閉じてみてください。
どうして「15分」なの?
「ちなみに、どうして15分なの?」と不思議に思われたかもしれません。
実はこれには、2つの理由があるんです。
理由① 睡眠科学の観点から
15分以上長く眠ってしまうと「深い眠り」に入ってしまい、起きた時にかえって体がだるくなってしまうから。
15分なら、スッキリ目覚めてすぐにいつものペースに戻れます。
理由② 心理的なハードルを下げるため
「1時間休んでね」と言われると、家事のことが気になって焦ってしまいますよね。
でも「15分だけなら」と思うと、少しだけ自分に休む許可を出しやすくなりませんか?
「たった15分じゃ眠れないよ」という方もご心配なく。
実は、スマホを手放して目を閉じるだけでも、脳はしっかりとお休みできるんです。
家事は「手放す」ことも大切
それから、家事は思い切って手放すことも大切です。
パパにお願いするのはもちろん。
自治体の産後ケアやファミリーサポートなど、行政やプロの力もためらわずにどんどん頼っていいんです。
「私がやらなきゃ」と無理をして、もしもあなたが倒れてしまったら。
実は、家族みんなの生活まで一緒に倒れてしまうことになります。
ママの心と体の元気が、おうちの中の一番のエネルギー源です。
ご家族のためにも、まずはあなたが休むことを最優先にしてほしいなと思います。

専門家ではなく、ひとりの親として
ここで、ちょっとお恥ずかしいお話をさせてください。
この9年間、本当にたくさんのママたちに「赤ちゃんが寝ている時こそ休んでね」とお伝えしてきた私。
それなのに今、初めての出産を控えるプレママである私自身が。
「赤ちゃんが産まれたら、寝ている間に家事をパパッと済ませよう!」と、頭の中で計画を立ててしまっているんです(笑)
あんなに皆さんにお願いしてきたのに。
いざ自分のこととなると、休むのってこんなにも難しいんだと、思わず自分に苦笑いしてしまいました。
「先生、あんなこと言ってたくせに」って、あの頃のお母さんたちに突っ込まれそうです(笑)
でも、自分が当事者になってみて初めて。
皆さんがどれだけ休めなくて焦っていたのか、その気持ちが心の底からわかった気がします。
最後に
私からひとつだけ。
部屋に少しホコリが落ちていても、大丈夫。
夕飯がスーパーのお惣菜でも、大丈夫。
あなたが心と体を休めて、穏やかな気持ちで赤ちゃんに触れられること。 それ以上に大切なことは、ありません。

「あの時、もっと自分のために寝て休んでおけばよかった……」
これが私が9年で見てきた「産後に後悔した親」TOP10の、最初の1つです。
残り9つは、有料記事『産後に後悔した親TOP10 完全版』にすべて書きました。
時間の後悔だけでなく、夫婦の関係が静かに冷えていく「関係性の後悔」まで——
産前になら防げたはずのものを、第9位から第1位まで全部詰め込んでいます。
第10位を読んで「続きが気になる」と思ってくださったあなたへ、
お守り代わりにどうぞ。
今日も一日、本当にお疲れ様でした。
どうか今はやるべきことを手放して、赤ちゃんの温かい寝息のそばでゆっくり休んでください。
ぜひ感想をコメントで教えてください。「うちもこうだった」「こうやって乗り越えた」というエピソードも大歓迎です。
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