小笠原に行ってきた。【創作大賞2026】
【お知らせ】
2026年1月に投稿した記事「Day170→小笠原に行ってきた。」前編・後編を創作大賞2026向けに加筆・再編集したものです
毎年恒例なのに、諸般の事情で更新しなかった「ぶらっと探訪」。というのは、年始に1週間まとめて休めたので、思い切って最難関とも言える東京の南、小笠原の父島と母島まで行ってきた。
なぜ最難関かといえば、空路が存在しないから。週に1回程度、東京・竹芝客船ターミナルと父島・二見港を24時間掛けてフェリーが運航されているが、当然ながら海が荒れれば欠航となる。
何で行ってきたかといえば、「小笠原DAY」を訪れたのがきっかけ。繁忙期でない時期に折角1週間休みが取れるのだから、普段行けないところに行こうじゃないかという軽い理由。
小笠原の海といえば「ボニンブルー」として知られているが、
「Bonin」とは、小笠原がかつて無人島と呼ばれたことに由来するそうで、訛ったり書物に書かれた地名の読み方が分からなかったりで、外国人からは「Bonin」と呼ばれるようになったことから、らしい。
なお、その後日本の領土とするために、諸外国よりも早く南の島を発見したとされる小笠原貞頼氏の「伝説」を引用して、一帯が正式に小笠原と呼ばれるようになったとのこと。
この時に小笠原氏の伝説を引用したが故に、父、母、兄、姉などといった、何とも不思議な島名もそのまま引き継がれたのだとか。
※由来については諸説あるようで、ここでは東京都環境局、小笠原観光局などのサイトを参考にしています
フェリーで片道24時間。
今回は小笠原海運の「おがまるパック」を利用しました。宿を選べる自由度は少ない代わりに、東京~父島間往復料金と宿泊施設料金、クーポンがセットになったお得なパック。個別に取らなくていいので便利。
ただ、予約が電話のみで、料金は銀行振込なのでちょっとだけ大変。宿泊施設が空いているかどうかもよく分からないので、オペレーターにそれぞれ確認しながらの予約となる。
予約は無事完了。あとは当日、午前11時発のおがさわら丸(通称・おが丸)に乗るために早起きしないといけないのだが、遅れたら全てパーだから、緊張で寝られん。
田舎ならではの交通事情もあり、駐車場を1週間利用できるところを探さなければならない。通常のコインパーキングは、規約にも書かれているとおり基本的に最大48時間までなので、いつもと違うところへ停めることに。
本来は午前10時30分までに竹芝に着けば間に合うのだけど、竹芝に着いたのが午前9時過ぎ。電車の遅延とかもあるだろうし、いても立ってもいられず、結局早めに着いてしまった。



午前9時半から搭乗手続き開始。予約は既に済んでいるので搭乗券に引き換えるだけ。午前10時から船席種類別の乗船開始となる。等級が上のほうから順次呼ばれるが、人数的にはそんなに多くないので割とすぐ呼ばれる。
「おがまるパック」は、標準が2等寝台(エコノミーベッド)で、上下二段ベッド(幅80cm、長さ200cm)、1個口のコンセント付。カーテンを閉めると結構な圧迫感があるので閉所恐怖症の方には決してオススメしない。


このほかにも、手荷物を置く共用スペースがある
空いている場合は相応の追加料金を支払うことで上位グレードへ変更可能だが、ちょっとお高めなので勇気が要る。個室を使うには更に追加料金が掛かるので、気軽に使いにくい。
2等寝台は窓が無いので、携帯電話の電波は基本的に入らない。陸地が近い時にデッキに出れば、何とか拾うことができる。さあ、貴方は24時間電波の届かない環境にいられるかな?という耐久レースのようなものだろう。
救済措置として、2025年6月からStarlinkが提供する有料Wi-Fiサービス(1回・最大24時間4,000円)が利用可能になったとのこと。これを安いと取るか否かは利用者次第。なお共用回線なので、動画は視聴しづらい。
※radikoを利用する場合は、アプリではなくGPS取得が不要なブラウザ版(Google Chromeの設定で「PC版サイト」をONにします)での聴取をオススメします



売店は種類が限定されているので、荷物になるけど買い込んでおくことをオススメする。
船内では24時間どう過ごすかが求められる。たとえ仲の良いお友達で、24時間話題が尽きないトークスキルに自信があったとしても、時間帯によっては静かにしなければならない。
通常期は小笠原に関する観光案内やガイドによる事前レクチャーなどがあるそうだが、残念ながら閑散期。よって何も無い。事前に現地ガイドをお願いしといて良かった。
インターネットに課金したくない方は、オフライン環境で楽しめるモノを用意しておくと良い。船に酔わない方なら読書も良いのではないだろうか。私は横になったら寝不足とゆっさゆっさでいつの間にか寝てしまった。
といっても、24時間寝続けることなど不可能だろう。そんなときの時間つぶし。もちろん夜間は事故防止のため外部デッキへ出ることは出来ないし、太平洋上では代わり映えのしない、だだっ広い海が広がっているだけ。








※位置情報はGPSを参考にしています。また到着時は安全上、外部デッキでの待機は出来ません
船内であると便利なもの
常温保管可能なインスタント食品
昼・夜・朝の3食分(昼は弁当でもいいかも。竹芝の売店で購入可能)
船内にレストラン、軽食、売店と自販機はあるが割高
※帰りの分は事前に父島の売店で買っておくのがベスト常温保管可能な飲料(船内に給水器・自販機はある)
酔い止め(船内に医薬部外品のドロップは売っている)
※出来ればドラッグストアで医薬品を買っておいた方がいい時間つぶしとなるもの(Wi-Fi未契約の場合はオフライン環境必須)
※壁に挟まれているので船内でラジオは受信不可
※片道約1万円の追加料金を支払って「特2等寝台」にするとテレビ付き
それと船内はスペースが限られているので、個室でない場合はすぐ取り出せる上にスーツケースをその都度開けなくて済むよう、手持ちバッグに最低限必要なものを入れておくと便利。念のため、貴重品は貴重品ロッカーへ。


父島。
竹芝客船ターミナルを出航してちょうど24時間、午前11時に父島・二見港へ到着。関係者や警官が見守る中での下船。小さい島だから、不審者がいないか確認しているのだろう。
船から下りると、あれっ冬だったっけな、と思うくらい暖かい。1月でも平均気温が20度前後だから、日差しは強いが全然寒くない。その反面、冬は天候が荒れることが多いらしい。
宿の迎えが来ているのでそのまま宿泊手続き。荷物を置いたら自由行動となるわけだが、勝手が分からず右往左往。そういえば入港日しかおみくじ引けないんだったよなぁなどと思って大神山神社へ。


小笠原へのアクセスがおがさわら丸のみということもあって、曜日よりも入港日・出港日に左右される。入港日が一番賑やかで、出港日の後が一番閑散としているようだ。定休日が出港日の翌日、というのも珍しくない。
境内に行ってみるが無人。あれれ、と思ってネット情報に頼ると、開いているのは午後1時から午後4時までだとか。また登るの面倒だし、しばらく待ってみるかと思ったのが間違い。






なんと!午後1時を過ぎると、ほとんどの店や飲食店が営業終了。入港日は特に仕入れなどで忙しく、配送業者も大忙し。店を一旦閉めたりするようだ。というワケで昼メシにたどり付けず。
あとで知ったことなのだけど、生協の裏には自販機がたくさんあって、店が閉まっているときでもいろいろ買える。今や珍しいカップラーメンの自販機も現役で稼働中。

内地(父島から見た場合の本州のこと)ではキャッシュレスに対応してない店のほうが珍しいけど、父島ではほとんどの店が現金のみなので、キャッシュレス決済に慣れている方は要注意。
私も普段はキャッシュレスなので、セキュリティ上宜しくないが現金を多めに用意する。郵便局と七島信用組合のATMは使用可能なので、いざというときは頼るつもりでいた。
そして、何よりも重要なのが「定価販売」。モノの値段が上がったと報道されるが、内地のスーパーでは若干高くなったかな程度。しかし定価販売の場合はそのまま反映されるから、500mlペットボトルが200円。
島の方に訊けば、送料は内地と変わらないことが多いので某大手通販などを便利に使っているんだとか。当然ながら運送状況は船に左右されるので、すぐ届かない。入港日には大手通販の段ボールが山積みになっている。

通り沿いにある「小笠原ビジターセンター」では、特別展「ジョン万次郎展~万次郎と小笠原との関わり~」を開催していた。ジョン万次郎氏は小笠原を4回訪れた上に、幕末には島の開拓などにも携わったとのこと。
これは余談だが、2028年放送予定のNHK大河ドラマ には、「ジョン万」ことジョン万次郎氏が取り上げられるとのこと。ストーリーに小笠原も関わってくるはずだが、どの程度触れられるのだろうか。気になるところ。
ジョン万次郎展を見たあと、早めに宿に戻る。風呂が午後4時から、夕飯が午後6時からとなっているので矢鱈と早い。つまり朝早く夜早い。島ではこれがごく一般的なのだろう。郷に入っては郷に従え精神を発揮する。

営業開始から50年を迎えたそうです。
散策ツアーへ。
翌日。前もって小笠原村観光協会で案内されている業者さんに島内案内「のんびり父島散策ツアー」をお願いした。個人で調べ物をするにも限界があるので、お任せできるのは大変有り難い。移動も大変だし。
※空いてるかどうかは観光協会の「予約状況」から確認出来ます。各業者で得意不得意があるので、興味のある分野に強いところにお願いするといいかも。私は小笠原初心者でも対応してくれそうな業者さんにお願いしました。
午前8時20分。宿に来てくださるというのでお待ちすることに。まずは宿の裏手にある、自動車でも行ける高台の「ウェザーステーション展望台」からスタート。



続いて、北部にある宮之浜へ。


続いて山側、夜明山へ。ここは太平洋戦争の時に作られたものが、そのまま戦争遺構として多く残っているところで、戦跡巡りを専門で行っている業者もあるのだとか。
江戸幕府が小笠原へ咸臨丸を派遣したとき、初めてこの地に降り立ったことから「初寝浦」「夜明山」と名付けられたらしい。このとき、通訳としてジョン万次郎氏も来ていたらしい。


物資不足の中で頑丈に作られたということは、それだけ重要な施設だったのだろう。
更に続いてUSK COFFEEへ。ここでは自家栽培・直焙煎のコーヒー豆を使った「ボニンアイランド・コーヒー」を提供している。お値段が張るが、折角なので頂くことに。一般的なコーヒーよりもすっきりとした味わい。


ボニンアイランド・コーヒーの通販はしてないそうです
締めにコペペ海岸へ。かつて、コペペおじさんが毎日釣りをしていたことから、次第にコペペ海岸と呼ばれるようになった、という興味深いエピソード。

半日掛けて島内ぐるっと1周。ここでは省いた部分が多いので、父島を訪れた際は「Milphin あいland Guide」へ依頼頂くと良いのでは。ベテランのガイドさんが丁寧に各所を案内してくださいます。
◇
そんな中、低気圧のため「おが丸」出航が1日早まるという情報がっ!ゆっくり観光をしたかったのだけど、戻れないと困るので致し方ない。但し急ぐからといって、乗り慣れないバイクに乗るのは止めましょう。お約束。
島内はあまり広くないので、日中の移動なら主要箇所に立ち寄ってくれる村営バスのほうが便利。1~2時間に1本程度なので、悩みどころではあるのだけど。
半日コースなのでお昼は自己確保。前日はしくじったので、生協の反対側にある「チャラ日和」というお店でおにぎりを早めに確保!公式インスタグラムによれば、秋と冬はおにぎりも販売しているのだとか。
道路に面したところでおにぎりなどを販売しているが、店内に持ち込むことが出来るようになっているので、そのままイートインスペースで頂きました。

島ラー油を使った卵黄そぼろが辛いけど旨い。
午後からは展望台へ。ちょっとした山登り。見比べて頂くと、雲の様子が全く違うので同じ日かい?と思われるだろうけど全く同じ日です。天気予報では雨予報でした。




見晴らしの良いところへ行くには山登りするしかないけど、山登りしたら疲れたので宿へ引き返す。予定を1日前倒しせざるを得ないが、なかなかの試練が待っているから、ここで無理するわけにはいかない。
日帰りで母島へ。
そして最終日は予定通り母島へ。但し滞在時間わずか2時間半。船代は往復で1万円弱だからかなりもったいないけど、「ここまで来たんだし」と思う。その日のうちに戻らないとおが丸に乗れないから致し方ない。

父島・二見港から2時間。おが丸の出航を前倒しするくらいだから、波が高くて船が揺れるのなんのって。デッキに出るのが危ない勢いなので、すっかり気分が悪くなる。2時間揺られ続ける地獄。従って撮影はしてません。

母島・沖港に着いたのが午前9時40分で、正午出航。時間も無いのでザックリと島内観光。母島では農業が盛んで、父島の宿で出たミニトマトが旨かった。それと時季じゃないけど島レモンの木、見たかったなー。

ドイツ出身のロルフス(通称ロース)氏が発見した「ロース石」で造られた、
砂糖倉庫を復元した郷土資料館。
島の歴史や昔使われていた道具などが展示されています。



展望台に寄って、どこかで昼飯でもと思ってターミナルへ戻るが、既に乗船券を発売している。あれっと思ったら、もうすぐ出航時間!大急ぎで乗船する。あぶないあぶない、くろしお丸に置いて行かれるところだった。
※父島、母島ともに野宿禁止です
さっき来たばかりなのに、また2時間掛けて父島へ引き返す。そこから更に24時間揺れるって思うと、なかなか辛い。昼飯がまた有耶無耶になるが、そんなこともあると思って予めパンを買っておいたのが幸いした。
言うまでも無いが、様々なモノが週に1度の船に揺られてやって来るが故に、賞味期限をあまり気にしないで販売されている。内地じゃお詫びモノだろうけど、ほかに手段がないからそれがアタリマエ、なのである。
父島・二見港に着いたら、そのまま急いでおが丸の乗船手続き。元々閑散期な上に、この時点で多くの方がおが丸の搭乗手続きをされていただろうから、窓口は混雑していなかった。
宿の方が善意で荷物を運んでくださったので有り難い。ちなみに、出港日のみ父島・二見港船客待合所内の観光案内窓口で手荷物を一時的に預かってくれる(有料)。
そして、いよいよお別れの時。島民の方が安全祈願として太鼓を披露してくださったり、ビックリする程の見送りセレモニーが行われる。地元の方は毎度の事なのだろうけど私には新鮮すぎた。


※海開きは毎年1月1日(2026年は荒天のため中止)。
帰りは、行きと比べものにならないほどおが丸が揺れるのなんのって。父島を離れてしばらくしたら、デッキへ出ることも出来ないほどの大雨と、船が揺れるほどの強風。そりゃ1日早く出発するワケだ。

なので私はほとんど寝台から出ず、宿で予めダウンロードしておいた「前橋ウィッチーズ」を船内で一気見してしまった。あの感動のシーンに見入るなど。カーテンがあるから周囲を気にせず没頭できる。
揺れが24時間続くものだから、戻ってきてしばらく揺れている感じが抜けなかった。父島に行ったときは何とも無かったから、揺れが強い時特有の現象なのだろう。
24時間の移動時間はなかなか辛いが、それを超えた先には内地とは違った楽園が待っている…かも。今すぐに行きたいとは思わないけど、またそのうち、きっと小笠原へ行きたくなるような気がしている。
◇
小笠原まで行けない!という方へ。「小笠原DAY」が年に1回程度、竹芝客船ターミナルで開催されています。前回は2026年2月の開催。次回いつ開催されるかは不明ですが、小笠原観光局のWebサイトでご確認くださいませ。
#小笠原 #小笠原海運 #船旅 #おがまるパック #父島 #母島 #おにぎり #創作大賞2026 #エッセイ部門
◇
亜麻布みゆさんに感想を書いて頂きました!私自身、感情表現を訴えたり何かを強烈にオススメするのが得意でないので、感想は読者に委ねますスタイルなのです。旅の終わりにコレをやって頂けると、また行きたくなります。

滅多に行けないからこそ、ぜひ現地の風を味わっていただきたいと思うのです。
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