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矯正歯科医院の承継・閉院で見落としやすいお金の流れ──引退前に知っておきたい前受金とキャッシュフロー

著者プロフィール

吉住 淳|医療法人社団生美会 理事長 / 株式会社Brace 代表取締役歯科医師
日本矯正歯科学会認定医。2016年に父の医院を事業承継し、2018年にSMILE ACCESS矯正歯科渋谷を開業。テクノロジーを活用し、適切な矯正治療をより身近にすることをテーマに、診療と事業の両面から業界に向き合っている。

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新患受付の変化が医院経営に与える影響


矯正歯科医院では、引退を意識し始めた段階から、医院のお金の流れに変化が生じることがあります。

その背景にあるのが、矯正歯科特有の「前受け型」の収益構造です。矯正治療では、契約時にまとまった治療費を受け取るケースが多く、この仕組みは現役時代の安定した収支を支える大きな要素になります。
一方で、引退を見据えて新患受付を減らしたタイミングから、医院の収支構造には少しずつ変化が生じ始めます。

たとえば、平均治療費が60万円、年間120〜150症例規模の矯正歯科専門医院を想定してみます。
この場合、年間契約額は120症例で約7,200万円、150症例で約9,000万円です。(60万円 × 120症例=約7,200万円/60万円 × 150症例=約9,000万円)
前受け型では、契約時点でまとまった入金が発生するため、比較的安定した現金収入が維持されます。

一方、引退準備に伴い新患受付を停止・縮小すると、医院のキャッシュフローは「既存の患者さま」を中心とした形へ移行していきます。
近年は、デンタルローンや分割払い、クレジット決済などを導入している医院も多く、「契約した売上」と「今すぐ医院に入る現金」が一致しないケースも増えています。仮に平均2年で入金される設計だった場合、同じ契約額であっても、単年度で医院へ入る現金は大きく変化するのです。

ここで重要なのは、「売上がなくなる」という話ではなく、「医院にお金が入ってくるタイミングが変わる」という点です。

引退を意識し始める時期には、新患数や契約数が少しずつ減り、設備投資やスタッフ採用を見直す流れになることがありますが、その一方で既存患者の治療は続くため、人件費、家賃、材料費、光熱費といった日々の運営費は、これまでと同じように発生します。
この「入金は減るが、支出は残る」という状態が、矯正歯科医院の引退期における大きな課題になります。


見落としがちな「閉院コスト」

さらに見落とされやすいのが、「閉院そのものにも費用が発生する」という点です。
矯正歯科医院を閉じる場合、原状回復や内装撤去、医療機器の処分、スタッフ退職対応、カルテ保管、行政手続き(歯科診療所の廃止届のほか、診療用X線装置を備えている場合の廃止届)、税理士・社労士等の専門家費用など、さまざまな整理費用が必要になります。

特に歯科医院では、配管設備やX線関連設備など、一般的なオフィスにはない設備撤去が必要になるため、原状回復費用が大きくなるケースがあります。立地や医院規模、テナント契約、設備状況によっては数百万円〜1,500万円前後の費用が発生する場合もあるでしょう。

実際、「事業承継・引継ぎ補助金」では、解体費、原状回復費、リース解約費、専門家費用などが補助対象として示されており、廃業や閉院に一定の費用負担が伴うことがわかります。

閉院にかかるコストの例

※医院規模、テナント契約、設備状況、スタッフ数、リース残債の有無により費用は大きく異なります。


SMILE ACCESSの承継が大切にしていること

矯正歯科の承継では、前受け金や治療途中の患者さん、長期にわたる治療契約の整理が必要です。

すでに受け取っている治療費をどう扱うのか、未完了の治療を誰がどのように引き継ぐのかは、契約内容や治療の進行状況によって異なります。また、引き継ぐ側に矯正治療の専門的な対応が求められるため、一般的なM&Aの枠組みだけでは整理が難しいケースも少なくありません。

SMILE ACCESSの承継は、自身も矯正専門医である私(吉住)の経験をもとに、このような既存のM&Aや閉院では解決しきれない、矯正歯科特有の課題に向き合うために立ち上げた支援です。
単に医院を売買するためではなく、先生が長年かけて築いてこられた診療体制や患者さんとの信頼関係を、できるだけ自然な形で次世代へつないでいくことを大切にし、下記の3つを基本的な考え方としています。

1|承継までの金銭的負担を軽減

SMILE ACCESSの承継支援では、先生のご負担をできるだけ抑えられるよう、仲介手数料・成功報酬はいただいておりません。
ご負担いただくのは、初期の手付金33万円(税込)のみです。承継を検討する段階で大きな費用負担が生じないよう、まずは現状整理から進めていきます。
また、すでに前受け計上されている治療費について、治療の進行状況に応じて先生へ返金を求めることはありません。


2|医院名や診療への想いを未来へつなぐ

先生が長年かけて築いてこられた医院名、地域からの信頼、患者さんとの関係、スタッフとの時間、そして診療に対する考え方──。医院には、数字だけでは表せない価値があります。
SMILE ACCESSでは、そうしたものをできるだけ丁寧に次の世代へ引き継げるよう支援します。カルテや治療方針の共有だけでなく、患者さんへの説明やスタッフへの引き継ぎも含め、無理のない承継の形を一緒に検討してまいります。


3|治療途中の患者さんへの影響をできるだけ抑える

矯正治療は、治療期間が長い医療です。そのため承継においては、治療途中の患者さんに不安や混乱が生じないよう、慎重に進めることが大切です。
契約状況や治療の進行具合を確認して、患者さんに不信感や不安を与えないように慎重にコミュニケーションを取らせていただきます。また、前院長先生の継続的な関与も数年間設けさせてもらう事で、「承継したから終わり」ではなく、患者さんが安心して治療を継続できる状態まで整えることを重視しています。

医院の価値が高い時期だからこそ、選択肢がある

50代後半から60代前半は、まだ新患数や通院患者数、スタッフ体制が比較的安定していることが多く、承継に向け医院の現状や価値を整理しやすい状態にあります。

また、後継者へ診療方針や医院の考え方を丁寧に引き継ぐための時間も確保しやすい時期です。
一方で、引退が近づき新患受付を大きく減らした後では、医院に入るお金の流れや患者さんの構成が変わり、承継の条件も変化していきます。
もちろん、今すぐ決断する必要はありません。ただ、「まだ先の話」と思える時期にこそ、医院の現状を一度客観的に整理しておくことには、大きな意味があります。

承継は、先生が築いてこられた診療、患者さんとの信頼、スタッフの経験を、次の世代へつないでいくための選択肢のひとつです。まずは、ご自身の医院のキャッシュフローや承継の可能性を、一度整理してみませんか?

無料・秘密厳守で承りますので、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせは下記より承っております。※お問い合わせの際は、項目欄にて『承継・事業譲渡について』をご選択ください。

【引用・参考文献】
・事業承継・M&A補助金事務局「令和3年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ)補助対象について
・中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)


※本記事は、一般的な矯正歯科医院の事例や公表資料等をもとに作成しています。記載している数値・費用・期間等は参考例であり、実際の契約形態、医院規模、地域条件、患者構成等によって異なります。
※承継・譲渡の成立や条件を保証するものではありません。具体的な費用や契約内容については、個別の状況に応じた確認が必要となります。


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