若返りタンパク質DEL-1を増やして本当に若返りする方法4選(食事・運動・生活習慣・薬)
(アイキャッチは、左:マクロファージ、右:骨細胞のgettyimagesフリー画像より引用)
DEL-1(デルワン)という若返りタンパク質についてシリーズで書いてきました。
今回もDEL-1がテーマで、最後になります。
メカニズムなど学問的な話よりも若返り物質を増やす方法を知りたい実用的な方は、この記事だけでも読んで下さい。
シリーズ物でも独立して読めるように書いているつもりです。
もっとも2回目はDEL-1の話というよりも、完全に骨(こつ)リモデリングについての記事でしたので、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)に心配な方や興味のある方はこちらもどうぞ。
私は抗老化のメカニズムや研究内容についての記事が多く、前回はまさに新潟大学の研究を紹介しました。
今回はタイトルで『若返り』を繰り返していますが、論文タイトルに『若返り』と書いています。
DEL-1は人の体内に元々存在するタンパク質で、炎症を抑制したり、組織を守るという働きなどを持っています。
さらに2026年に新潟大学で発表された研究では、DEL-1が老化細胞を選択的に排除する働きを持つことが明らかになり、「体内に備わったセノリティック因子」として注目を集めています。
セノリティックとは、老化して正常な働きを失った細胞を取り除く仕組みのことです。
つまり、DEL-1は、「炎症を抑える」「老化細胞を取り除く」「骨などの組織を守る」という、老化と深く関係する複数の働きを持っているのです。
しかし、DEL-1は、加齢とともに減少することが分かっています。
それでは、DEL-1を増やすにはどうすればよいのでしょうか。
現在の研究から見えてきた方法は、大きく4つあります。
それが「食事」「運動」「生活習慣」そして「薬」です。
今回は、この4つの方法をできるだけ分かりやすく整理し、現在どこまで科学的に分かっているのか、そして何がまだ研究段階なのかを解説します。
1.食事 オメガ3脂肪酸がDEL-1を支える
DEL-1を維持するための食生活で、特に注目されているのがオメガ3脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸は、体内で必要量を作れないため、食事から摂る必要がある脂肪酸です。
代表的なものが、アマニ油やエゴマ油などに含まれるα-リノレン酸、そしてサバやイワシなどの青魚に多いEPA(エイコサペンタエン酸や)DHA(ドコサヘキサエン酸)です。
オメガ3脂肪酸がDEL-1と関係するポイントは、炎症を終わらせる仕組みです。
炎症は、決して悪いものではありません。
細菌やウイルスなどから体を守るためには、炎症反応が必要です。
問題なのは、炎症が必要以上に長く続いてしまうことです。
慢性的な炎症が続くと、体の組織に負担がかかり、DEL-1も減少しやすくなります。
オメガ3脂肪酸から体内で作られるレゾルビンという物質には、炎症を穏やかに終わらせる働きがあります。
レゾルビンとは「(炎症を)解決する=resolve」から名付けられた脂質です。
研究では、このレゾルビンがDEL-1の低下を抑制し、DEL-1を維持することが確認されています。
つまり、オメガ3脂肪酸そのものがDEL-1になるわけではありません。
オメガ3脂肪酸から作られる物質が、炎症を抑え、DEL-1が働きやすい環境を作ると考えると分かりやすいでしょう。
2026年の新潟大学の研究では、オメガ3脂肪酸の摂取によってDEL-1が増加した研究結果も報告されています。
また、アマニ油を1日大さじ1杯摂取することで、DEL-1が約1.5倍になったという研究結果も紹介されています。
ただし、この数字を「アマニ油を大さじ1杯摂れば、誰でもDEL-1が1.5倍になる」と受け取ることはできません。
研究対象や条件によって結果は変わるため、現時点では「オメガ3脂肪酸を含む食品は、DEL-1を維持するために期待されている食品」と考えるのが適切です。
日常の食生活では、アマニ油だけでなく、エゴマ油やサバ、イワシ、アジなどの青魚を取り入れることもおすすめです。
アマニ油やエゴマ油は、サラダや納豆、ヨーグルトなどにかける方法なら手軽に取り入れられます。
そして、DEL-1のために最も大切なのは「特定の食品だけを大量に食べること」ではありません。
魚、野菜、豆類、果物などを組み合わせ、体内で慢性炎症が起こりにくい食生活を続けることが重要です。
オメガ3は食品から摂取するのが理想ですが、できない場合は何もしないよりはサプリメントで摂取する方が良いでしょう。
2.運動 ウォーキングでDEL-1を刺激する
食事と並んで注目されているのが運動です。
DEL-1の研究では、特にウォーキングなどの有酸素運動が注目されています。
2026年の研究では、1日1時間のウォーキングを1ヶ月続けることで、DEL-1が約1.5倍に増えたという結果が報告されています。
さらに、週3回、1回30分程度のウォーキングでも、年代によってDEL-1が増加したという研究結果が紹介されています。
これらの研究からは、体を動かすこととDEL-1には何らかの関係があることか考えられます。
運動すると、筋肉は単なる「体を動かすための器官」ではなくなります。
筋肉からマイオカインというホルモンなど多くの物質が放出され、それが血液を通して全身に影響を与えます。
このため、運動は筋肉だけの問題ではなく、血管や免疫、代謝など全身に影響する活動なのです。
DEL-1は血管内皮細胞などから作られるため、運動によって血管や全身の状態が改善することは、DEL-1にとっても重要な意味を持つとも考えられます。
激しい運動をすればするほどDEL-1が増えるかというと、現時点では、そう単純には言えません。
DEL-1を増やすことだけを目的に、激しい運動をする必要ないのです。
むしろ重要なのは、無理なく継続できる運動を習慣にすることです。
例えば、1日30分程度のウォーキングから始め、慣れてきたら歩く時間を増やす方法があります。
通勤や買い物で歩く時間を増やしたり、エレベーターではなく階段を使ったりすることも、日常の運動量を増やす方法です。
もちろん、ウォーキング以外にも、自転車、水泳、軽いジョギングなど、自分が続けやすい運動で構いません。
DEL-1の研究からも見えてくるのは、「一度だけ頑張る」より「長く続ける」ことの重要性です。
DEL-1を増やすための特別な運動を探すより、毎日少しでも体を動かす習慣を作ることが現実的でしょう。
3.生活習慣 「増やす」より「減らさない」ことも重要
DEL-1を増やす方法を考えるとき、意外に重要なのがDEL-1を減らさないことです。
DEL-1は加齢によって減少するだけでなく、慢性炎症によっても減少することが分かっています。
つまり、DEL-1を増やすことだけを考えるのではなく、「DEL-1が減りにくい体内環境を作る」という発想も大切なのです。
その代表が慢性炎症を避けることです。
炎症は、体を守るために必要な反応です。
例えば、細菌が体内に侵入したときには、免疫細胞が集まって炎症を起こし、感染を防止します。
しかし、炎症がいつまでも続くと、今度は正常な組織まで傷つけることになります。
DEL-1には、このような過剰な炎症を抑制する働きがあります。
そのため、体内で慢性炎症を起こさないことは、DEL-1を維持するという意味でも重要です。
代表的で身近な例が歯周病です。
歯周病では、歯ぐきに慢性的な炎症が起こります。
DEL-1は歯周組織の炎症を抑え、歯を支える骨を守る働きがあることが研究されています。
逆に考えれば、歯ぐきの炎症が長く続く状態は、DEL-1が働き続けなければならない環境ともいえます。
そこで重要になるのが、毎日の歯磨きや歯間清掃、定期的な歯科検診です。
口の中の炎症を放置しないことは、DEL-1という観点からも意味があります。
さらに、睡眠不足、運動不足、偏食、強いストレスなども、体の炎症状態と関係します。
したがって、DEL-1を維持するための生活習慣は、決して特別なものではありません。
「十分に眠る」「適度に運動する」「バランスよく食べる」「口の中を清潔にする」「ストレスをためすぎない」。
こうした基本的な生活習慣を続けることが、DEL-1を減らしにくい体を作ることにつながるでしょう。
4.薬 DEL-1を直接増やす研究が始まっている
ここまで紹介した食事、運動、生活習慣は、いずれも日常生活の中で取り組める方法です。
一方、DEL-1研究のもう一つの大きな方向性が、「薬によってDEL-1を直接増やす」という方法です。
その代表として研究されているのが、マクロライド系抗菌薬です。
マクロライド系抗菌薬は、細菌の感染症の治療に使われる薬です。
新潟大学の2024年の研究によって、これらの薬には、細菌を抑える働きとは別に、DEL-1を増やす作用があることが分かってきました。
代表的な薬がエリスロマイシンです。
研究では、エリスロマイシンを血管の細胞に作用させると、低下していたDEL-1の産生が回復することが確認されています。
つまり、エリスロマイシンは、DEL-1を外から補充するのではありません。
DEL-1を作っている細胞に働きかけ、細胞自身にDEL-1を作らせるのです。
この研究をさらに発展させたものがEM-523です。
EM-523はエリスロマイシンをもとに開発された研究用の化合物です。
(EM-523は名前の通りE(エリスロ)M(マイシン)から開発した523番目)
これは抗菌作用を持たない一方、DEL-1を増やす働きを残すことを目指して開発されています。
なぜ、このような薬が必要なのでしょうか。
エリスロマイシンなどの抗菌薬を若返り目的で長期間使用すれば、薬が効かない耐性菌が増えるリスクがあります。
また、体に必要な細菌まで殺菌するかもしれません。
そのため、「細菌を殺す作用」と「DEL-1を増やす作用」を切り離すことができれば、より安全なDEL-1誘導薬になります。
実際に研究では、エリスロマイシンやEM-523によってDEL-1を増やすことで、老齢マウスの骨の形成を促進し、歯周病による骨の減少を抑制する効果が確認されています。
さらに2026年の研究では、前回の記事の様にDEL-1そのものが老化細胞を選択的に除去する働きを持つことも明らかになりました。
これによって、DEL-1を増やす薬には、単に炎症を抑えるだけではなく、「老化細胞を体内から片付ける」という新しい側面が見えてきました。
ただし、ここは非常に重要な点です。
エリスロマイシンなどの抗菌薬を若返りやアンチエイジング目的で自己判断して服用しないで下さい。
現在のエリスロマイシンは、あくまで感染症などに対して使用される医薬品です。
また、EM-523も一般の人が使用できる抗老化薬としては未承認です。
DEL-1を増やす薬は、現時点では「将来の抗老化医療につながる可能性を持つ研究」と考えるべき段階です。
まとめ DEL-1を「増やす」生活から「守る」生活へ
DEL-1を増やす方法を、現在の研究から整理すると、4種類に分けられますの方向が見えてきます。
第一が食事です。
アマニ油やエゴマ油、青魚などに含まれるオメガ3脂肪酸は、DEL-1を維持する仕組みとの関係が研究されています。
第二が運動です。
ウォーキングなどの有酸素運動によってDEL-1が増加した研究結果が報告されています。
第三が生活習慣です。
DEL-1を増やすことだけではなく、慢性炎症をできるだけ起こさない生活をすることが重要です。
特に歯周病などの慢性的な炎症を放置しないことは、身近なDEL-1対策の一つと考えられます。
そして、第四が薬です。
エリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬にはDEL-1を増やす作用が確認されています。
さらに抗菌作用を持たないEM-523のような新しいDEL-1誘導薬の研究も進んでいます。
ただし、薬についてはまだ研究段階の部分が多く、抗菌薬を若返り目的で使用できません。
ここで重要なのは、「DEL-1を何倍に増やせば若返る」という単純な話ではないことです。
現在の研究が教えてくれるのは、DEL-1が減少する背景には、加齢だけでなく慢性炎症や生活環境など、さまざまな要因が関係しているということです。
だからこそ、DEL-1を増やすことだけを考えるのではなく、「DEL-1が減りにくい体を作る」という考え方が重要になります。
決して特別な若返り法ではありません。
しかし、それらを積み重ねることによって、DEL-1が本来の働きを発揮する体内環境を維持できるでしょう。
本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断、治療、予防を目的とするものではありません。
体調に不安がある場合は、医師等の専門家にご相談ください。
さて、お盆の時期はスキやビューが極端に落ちます。
(今日も影響があるでしょう)
シリーズや同一テーマで記事を書いてもお盆の記事だけスキが少なくなるのを避けます。
次回以降のスケジュールですが、下記の通りとし、個人的にスキが少なくてもよいサイトマップ記事を公開します。
8月13日(木) 公開無し
8月17日(月)午前10:00 サイトマップ記事
8月24日(月)以降は新テーマで月・木曜日午前10:00公開とします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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