本屋で待っていてくれる人
もう1ヶ月半になるひどい蕁麻疹が、ようやくよくなる方向に舵を切った。
もう薬は使わずに治すと決めたと書いて、2週間が過ぎた。
記録という意味でもnoteは役立ちますね。
わたしがやったことは、
◎毎日「枇杷の葉エキス」を塗る
◎毎日「ローリエの葉だけをお茶にしたもの」を飲む
これだけだ。
本当は半身浴もちゃんとしたかったが、気力体力が足りない毎日で、できなかった。
半身浴は、はっきり言って、本気でやればなんにでもよい。からだのことにも、心のことにも。
半身浴をちゃんと(1日最低30分以上〜何時間でも)できたらもっと早くよくなりはじめていたかもしれない。
でも今回は、枇杷の葉やローリエの葉にこんなにも効果があると知れたことが収穫だった。
枇杷の葉エキスというのは、枇杷の葉を刻んで焼酎に漬けたもの。
ローリエの葉のお茶は、乾燥させたローリエを2枚摘んで、マグカップ1杯分のお湯を注いでしばらく蒸らしたものを飲んでいた。
枇杷の葉エキスは、肌のトラブルにいいものだ。
湿疹、虫刺され、あせも、肌トラブルはなんでも。
ローリエは、たまたまうちにたくさんあって、お茶にするとおいしいことを発見して飲んでいただけだが、抗炎症作用があるのでもちろん肌にもいいだろう。
顔はつるっとしてきて、首はほとんどもうかさぶたになりはじめた。
一時は『鬼滅の刃』のような顔になっていた。
元職場の書店に行って、
「『鬼滅の刃』みたいでしょ」
と見せて、
「本当だ、『鬼滅の刃』だ」
と言わせていた。
わたしもその人も、流行ものに疎く、『鬼滅の刃』を「鬼滅」と略さない。「呪術」ではなく『呪術廻戦』。
そのくせその人は、料理家の栗原はるみさんのことを「はるみ」と呼び捨てにし、ハローキティのことを「キティ」と呼び捨てにする。
「はるみ下げようか」
(雑誌『栗原はるみ』を片付けようの意)
「キティ邪魔だね」
(サンリオ『てつがく』シリーズのキティちゃん『ニーチェ』が入荷しすぎの意)
など。
漫画『ファントム・バスターズ』のことは、『ファントム・ブラザーズ』と言いまちがえていた。
誰もそのことは指摘しない。
我々平のなかで、本屋経験者でもあるその人はなにか、重鎮のような存在だった。
やさしくてチャーミング、だけれど侵しがたい存在。
みんなで陰で、
「はるみの次はキティ」
とくすくす笑う。
「はるみは俺の女で、キティはまぶだち」
と笑いを抑えられない。
そんなみんなの文鎮(?)のような彼のもとに、わたしは月に1度は通う。
元職場に行って、1時間程度、仕事の邪魔をする。
わたしが一方的に1時間くらい話し、彼はただ手をとめて耳を傾けてくれる。
わたしが働いていたときから毎日残業していたから、わたしが辞めて人員縮小されたのちは、もっと残業しているかもしれないというのに。
それなのに、帰るときには「またいつでも」と言ってくれる。
「しんどくなったらまた来るね」と言えば、「しんどくなる前に来て」と言ってくれる。
彼はわたしのなんだろう。
店以外で会ったことはなく、大晦日の時短営業ではじめて一緒に仕事が終わったので、方向もちがうのに一緒に帰ったことはある。
友だちというのではないし、元同僚と言うにはあまりにも心をゆるしすぎている。
わたしの最終出勤日は、わたしがひとりで閉店作業をして店を閉めて帰るシフトで、彼は自分の仕事が終わっても、いつまでも店のなかにいた。
いつまでいるんだろうと思っていたら、レジに1冊の本を持ってきた。
夏葉社の『本屋で待つ』。
ひとり出版社である夏葉社の島田潤一郎さんと、広島のウィー東城店という書店を経営される佐藤友則さんの共著だ。
レジが終わると、
「これ、どうぞ」
と本を渡された。
「くれるの?」
と言ったら、
「そう」。
わたしはその日、「◯◯さんに会いに、また店に来るね」と書いた手紙を渡したのだった。
それを読んでか読まずか、『本屋で待つ』。
わたしはいくつかのもめごとを起こしてというか、ともに働いた人たちのいくつかの行いにキレて、退職を決めた。
詳しくは以前に書いたので省くが、自分の行いに対して勝手に引責して辞めたのだ。
そんなわたしがいまだに元職場にふてぶてしく顔を出し、1時間も仕事を邪魔できるのは、まちがいなく彼のおかげである。
元職場を超えた、そんな馴染みの本屋があるというのは、本当に幸せなことだ。
2大取次がどちらも赤字、大手書店が共同声明を出すなど、すこしでも本の周辺にかかわった人間として、気になることはたくさんある。
わたしができることなんてなにもないし、むしろ邪魔しに出かけるのをやめるべきなのかもしれないけれど。
わたしの推し書店がなくならないように、すこしでもその店で、本を買いたい。
本屋につける枇杷の葉エキスがあったらいいのにと思う。
本屋に飲ませるローリエのお茶があればいいのに。
でもそんなことを言っても仕方がないから、『本屋で待つ』、おすすめです。
夏葉社のほかの本も、島田潤一郎さんがさまざまな出版社から出されている本も、どれも本当にすてきな本。
枇杷の葉を数ヶ月、焼酎に浸すようなスピードかもしれないけれど、すこしでもなにか、自分にできることをできたらいいな、と思う。
たまに気まぐれに、本の話をできたらよい。
わたしは読書家というほどではないけれど、本を愛しています。
このあいだ本について書いたのはこちら。
本を読めないくらいにつらい状況にある方のことはあえて無視して書きました。
そういう状況になったことはわたしにもあるのでわかる。
そのときそのとき、その段階段階で、必要な言葉というのはちがいますよね。
そのすべてを同時に掬うことはできないから、わたしにそのとき言えることを言おうと腹を括り、あきらめました。
みんなに効く枇杷の葉エキスがあったらいいし、みんながおいしいローリエの葉があったらいいけど、そんなものはこの世にひとつもないと思う。
だからこそ、この自分にできる小さなことを。
祈るように、重ねていきたいものです。
