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6ミルラの悩み

このお話は続き物です。


6ミルラの悩み

「みんな元気じゃのう」

とミトロが4人が走って森の奥に行くのを眺めながら言った。

「本当ね。ピピとミミが元気そうでよかったわ」

とミルラもうなずいた。

森の中は木々の葉が風にそよぐ音だけが響いた。空気の冷たさが少しだけ緩んできて、これから木々たちが芽吹く時を待っている、そんな明るい静けさだった。

「そういえば、ピピとミミの事なのだけど」

とミルラが口を切った。

「うん。ピピとミミか?」

とミトロがミルラの方を見て言った。

「ええ、ピピとミミはニンゲン界に行きたがっていたでしょう?」

とミルラが言った。

「そうじゃなぁ」

とミトロ。

「私と一緒に修業に励んで、卒業してからもう3年が経つんだったわ。これから彼らはニンゲン界にはいつ行けるのかしら?」

とミルラが言うと

「そうじゃなぁ。それはわしらでは決められないからなぁ。それも含めてわしが今回こちらに戻ってくることになったんでな」

とミトロ。

「そうだったのね。気になっていたから良かったわ。ニンゲン界に行けるといいわね」

とミルラ。

「まあ、そうじゃな。まぁ心配しないで大丈夫さ」

とミトロ。

「そうね。ミトロに任せるわ」

とミルラもようやく安心したような表情でうなずいた。


「ミトロはどうなの?相変わらずニンゲン界とコビト界を行ったり来たり。どこかに落ちつくとかはないの?」

とミルラ。

「そうじゃなぁ。わしはどこかに居つくというより、風みたいにあちらに行ったりこちらに行ったりする方が性に合っているからのぉ」

と言ってしわくちゃの顔をほころばせた。

「まあ、そうね。私も不意にミトロに会えることが楽しみでいられるわ」

とミルラもつられて笑っていた。

「ところで、わしはピピとミミから山の桜がもうすぐ開花すると聞いてな、見に行こうと思っているんじゃが、おぬしらも一緒にいかがかな」

とミトロが言うと、

「そうね、もうすぐ桜が開花するわね。私もルルとネネを連れて行くつもりだったから、一緒に行きましょう」

とミルラ。

「もうそういう季節なんじゃな。あちらこちらに行っていると季節がようわからんでな」

とミトロが言うと、

「そうね。一年中同じところにいると、季節が変わるのがわかるけどね。でもやっぱり桜の時期はいろいろなことがスタートし始めるわね」
 
とミルラがため息をついて言った。
 
「おや、どうしたんじゃ、ため息なんぞついて」
 
とミトロが言うと、
 
「あら、いけない」

と言いながらミルラが口に手を当てた。しばらく考えてぽつりとこういった。

「ピピとミミが私のところを卒業してからはしばらく弟子がいなかったのよ。久々に自分一人の時間を過ごしていたんだけど、自分一人の時間を楽しみすぎちゃってね」
 
と言ってミルラは少し宙を見つめていた。
 
「ミルラ、弟子に合わせすぎなくていいんじゃよ。おまえさんのことだからずっと世話を焼いていたい気持ちが強いんだろうがな。楽しめる範囲を守っていくのが一番じゃ。おまえさんにとっても、あの子らにとっても」
 
とミトロはミルラを眺めながら言葉を選ぶようにゆっくりとそう言った。
 
「そうね。久しぶりだから私、張り切っちゃっているんだわ。でも楽しいを通り越して『やらなきゃ』って思い始めると胸のあたりがきゅーっとつかまれたように痛くなるのよ」
 
とミルラが困ったように笑った。
 
「そうじゃな。おまえさんのいいところは全身全霊で伝えようとするところじゃが、それで伝わるものが伝わらないのも本末転倒じゃからなぁ。わしらの体は頑丈にはできているが、そうはいっても体を休ませたり、心を休ませるという工夫はどんな時も必要になるからのぉ」
 
とミトロがゆっくり一言一言かみしめるように言った。
 
「そうね。ありがとう、ミトロ。やっぱりあなたは今でも私の先生だわ」
 
とミルラはにっこり笑った。
 
「そういえば、最近のニンゲン界は変ったのかしら?」

とミルラが聞いた。

「ニンゲン界自体はあまり変わらんのぉ。おまえさんがニンゲン界に行っていたときと変わったといえば、ニンゲン界に常駐するコビトが少し増えたということくらいじゃなぁ」

とミトロが考えながら言った。

「あら、そう。常駐するコビトが増えたのね。私の時はユルマ一人だけだったわ」

とミルラ。

「ああ、ユルマ、そうじゃったな。今はええと、何人じゃったかな?増えたり減ったりして確か今は2人いてな。いいことじゃな。そうすればニンゲン界で修業できるコビトの数も増えるからのぉ」

とミトロ。

「そうね。そのうちルルとネネもニンゲン界に行くのかしら。なんだかワクワクするわね」

とミルラが言った。

「ははは、その調子じゃな。ワクワクするのが一番いい」

とミトロが目を細めた。

「ただいまー」

とピピの声がして、ピピ、ネネ、ルル、ミミの4人が戻ってきた。






このコビトのイラストは作者である私の創作物です。
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