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そして誰も調べなくなった──投資を殺したのは、孫正義だった

投資とは、未来を信じることではない。自分の判断に責任を持つことだ。
武智倫太郎:note特別寄稿コラム

『15分』で出資を決める男と、『1時間』で粉飾を完成させる男

 2021年、ソフトバンクグループ創業者・孫正義は、インドネシアのスタートアップ創業者ギブラン・フザイファとビデオ通話で面会した。所要時間わずか15分。出資を即決。

 一方その頃、ギブランはオフィスの片隅で、『資金が3ヶ月で尽きる』と焦り、わずか1時間で財務報告を粉飾し、数字をでっちあげた。

 見事なまでのシンクロである。

 この二人の『決断力』が世界経済に及ぼした損失は、少なくとも3億ドル超。そしてその損失は、『世界の知性と資本の結晶』と言われるあのテマセクをも巻き込んだ。

 粉飾の構造はライブドアと同じ。違うのは、見抜く者が誰一人いなかったこと。イーフィッシャリーが行ったことは、はっきり言って目新しくない。

・虚偽の売上高報告
・ペーパーカンパニーの創設
・本業以外への異常な拡張(金融事業)
・投資家へ虚構の成功報告

 2006年に崩壊したライブドア事件と、骨格はまったく同じである。但し、あのときはマスコミも検察も『疑った』。

 今は誰も『孫さんが出資したから』『テマセクが買ってるから』という理由だけで、調べもせずに金を注ぎ込む。

 投資が『思考停止ゲーム』に成り果てたのだ。

テマセクも、セコイアも、42Xも『見ていなかった』

 シンガポールの国家ファンド『テマセク』、名門VC『セコイア』、アブダビの投資機関『42X』――。世界中の超一流が出資し、全員が沈黙。ある者は粉飾に気づかず、ある者は気づいても沈黙し、ある者は損を回避できたとすら思っている。

 この構図は、金融界の最大の闇を暴いてしまった。

『誰かが買ってるから、自分も買う』
 それが投資の意思決定基準になっている。もうこれは、金融ではない。狂騒である。

孫正義という博徒が、世界の思考を止めた

 孫正義は、かつてこう言った。
『私は直感で賭ける』
 その『直感』がWeWorkを育て、OYOを潰し、Zume Pizzaを焼き焦がし、今度は魚の自動給餌機に手を出した。

 もはやこれは『戦略』でも『未来予測』でもない。世界を巻き込んだギャンブルである。しかも彼のレイズは、常に『誰よりも大きく、誰よりも早く』である。

 だが、その背後には企業分析も、現場視察も、ファンダメンタルズもない。オンライン15分の会話で、200億円が宙を舞う。本当に必要なのは、『共鳴』ではなく『検証』だった。

ここで忘れてはならない男:ホリエモンも、また『投資の敵』である

 孫正義の直感賭博投資に対し、もう一人、似たような破壊的影響を市場にもたらした人物がいる。ホリエモンこと堀江貴文である。

 ライブドア事件では、有価証券報告書の虚偽記載によって金融犯罪で有罪判決を受けたが、彼はいまだにそれを『陰謀論』や『検察に潰された』と言い換え、反省の色すら見せていない。

 近年では、暗号資産、メタバース、宇宙ビジネスを看板に掲げ、あたかも次世代を切り開く挑戦者のような顔で資金を集めているが、その実態は『ライブドアの再演』のような匂いを放っている。

 この二人に共通するのは、社会的影響力と資本力を武器に、金融倫理の土台を壊してきたという点である。

『投資=誰かを信じて金を出すこと』と誤認させた張本人が、孫正義であり、堀江貴文だ。

 そして両者とも、『反省のない金融犯罪予備軍』として、市場にとっての脅威であり続けている。

SBGの社債を買うあなたへ:あなたはこのゲームの弾丸です

 さて、そんな孫正義が今、何をしているか。そう、『社債』を発行している。6,000億円の個人向け債券。利回り3%台。特典はポーチ。買うのはあなた。

 つまり、あなたの投資が、次の直感投資の弾薬になる。あなたの100万円が、次の『15分出資』の資金源になる。そしてまた誰かが、『1時間粉飾』をして、孫正義の幻想を帳簿に合わせる。

最後に問う

 あなたは、粉飾に手を貸す側になりたいか?
 それとも、投資の本来の意味を取り戻す側に立ちたいか?

 孫正義が作った『賭場』に、今日もまた金が投げ込まれている。
 静かに問い直そう。『投資』とは、本当に『未来を信じる』行為なのか。
 それとも、『誰かを信じる』だけの思考放棄なのか。

武智倫太郎の相場格言

『未来を信じる』ことは、事実を無視することとは違う――。

武智倫太郎


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