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『超知能はいつ到来?』という地獄の見本市

~ 知性なき者が『知能』を語るこの国の滑稽な末路 ~

 このタイトルを読んで眉間にしわが寄ったあなたは、まだ脳が機能している。逆に『おもしろそう!』と感じた方は、一度電源を落として再起動してほしい。

 このビジュアル記事は、知性と論理の名を騙る、『知的詐欺商法』のデジタル広告塔である。

『賢人26人』? いや、バイアスの濃縮還元パック

 この記事の構造は極めて単純だ。
 最初に『超知能は来る』という結論があり、それに都合よく乗っかってくれる識者だけを集め、グラフとコメントを貼りつけただけの『知的演出』は、もはや報道ではない。知性を装った欲望のカタログである。

 重要なのは、反対意見や慎重論が意図的に排除されているという点だ。

『定義が曖昧』『予測は困難』『社会実装の壁が大きい』といった冷静な見解は、すべて『ノイズ』として切り捨てられている。

 その上で、選ばれし『超知能待望派』の未来予言を切り貼りし、『〇年に到来!』と煽る編集の暴力。

 こうして完成するのが、AIという魔法を信じたい者たちのための信仰資料集である。

これは『データ』ではない。『幻覚の再構成』だ

 ビジュアルデータ? 可視化?
 笑わせてはいけない。

 この図解の正体は『都合の良い予言だけを切り抜いたタイムライン風コラージュ』であり、データではなく意思の操作である。

 しかも、語られている発言は文脈を失い、『条件付きの仮説』が『断定的な予言』として変換されている。

 これは編集ではなく、事実のデフォルメであり、情報倫理の切断である。

日経新聞の『黒歴史製造能力』は天才的

 日本経済新聞は、過去30年間、数々の『革新的技術』の到来を煽り、そして外し続けてきたことを忘れてはいけない。

 ここに一部を列挙する。

・常温超伝導で送電革命!(未到来)
・DRAMで日本が半導体王国復活!(消滅)
・ナノマテリアルで21世紀の石油革命!(幻)
・テロメア操作で不老不死時代へ!(無理)
・ミドリムシで空を飛ぶ時代!( #なんのはなしですか

・第三世代太陽電池で脱シリコン!(帰還)
・グラフェンでスマホも宇宙も変わる!(変わらず)
・量子ドットTVで世界制覇!(サムスンが?)
・Apple Watchで病院不要!(予測止まり)
・AIでホワイトカラー消滅!(補助止まり)
・ブロックチェーンで社会再構築!(詐欺の温床)
・CO₂から燃料革命!(コスト崩壊)

 これらはすべて、日経が『革新』という魔法の言葉で読者の理性をマヒさせた結果である。データではない。未来ではない。ただの願望と経済効果の皮を被った虚構だ。

『超知能特集』という名の信仰ビジネス

 この『26人の賢人』列挙は、もはや科学という形式言語を借りた願望のショーウィンドウに過ぎない。或いは、『AI』という神話的な資本装置に、カネと幻想を流し込ませるためのグラフィック詐術である。

 結局のところ、この記事の目的はただ一つ。
 ソフトバンクをはじめとする特定企業に対する、露骨な利益誘導のための『提灯記事』である。

 次なるグラフェン、次なるミドリムシ、次なるブロックチェーンを、煽り記事で『仕込み』、読者の関心と投資マネーを誘導する構図は過去と何ら変わっていない。

 そして今回、その『仕込み銘柄』に与えられた名前が、『AGI(汎用人工知能)』であったというだけの話だ。

この国の知性が試されているのは、今この瞬間だ

 この日経特集に知性はない。あるのは、煽動のための道具としての言葉とグラフ、そして投資マネーの匂いだけだ。

 本当に試されているのは、読者の知能の方である。
 この類のプロパガンダを鵜呑みにし『凄い! AIが来る!』と舞い上がったとき、あなたもまた『信仰経済の駒』となる。『超知能』が来る前に、まず『思考停止』から抜け出す必要がある。

『超知能』を語る賢者たちの知能指数を逆査定してみた

~ ピザとコード、そして人力AIという滑稽譚 ~

 AIが人類を超える日は来るのか? いや、その前に『AIの中身』を見抜けない者たちが、知能について語る資格があるのかを問うべきだ。

 英国ロンドンを拠点とするAIスタートアップの『Builder.ai』は、かつてこう謳っていた。

『ピザを注文するくらい簡単にアプリが作れる』

 まるで魔法のようなこの触れ込みに、世界中の投資家が飛びついた。AIがコードを書き、開発が自動化され、時間もコストも削減される。そんな『未来』を装ったファンタジーの正体は700人の人間による手作業プログラミングであった。

 つまり、コードを書いていたのはAIではなく、『AIを演じていた人間たち』だったのである。これはまさに、逆チューリング詐欺だ。にもかかわらず、Microsoftはこのペテンを信じ込み、企業価値15億ドルをつけて歓喜したというのだから、もはや『ジョークを超えたギャグ』である。

『AI育成機関』の中身は、なぜ見抜けなかったのか?

 この Builder.ai にステージAの段階から投資していたのが、ソフトバンクグループ(SBG)100%出資のAI特化型ベンチャーキャピタルの株式会社ディープコア(DeepCore)である。

 同社は2018年に設立され『AIの産業実装』と『起業支援』を掲げてきた。創業パートナーには、東京大学の松尾豊教授(SBG取締役兼務)も名を連ねている。

 AI人材育成・研究開発界隈では、松尾研出身者を中心とする一派が『本郷発ベンチャーの旗手たち』として持ち上げられ、ディープコアを中核とするスタートアップ投資の『知的基盤』を形成してきた。

 だが、その『育成機関』が見抜けなかったものがあるとすれば、果たして『AIとは何か』という根本的な問いへの誠実さではなかったか。

 また、同社の公式サイトでは、孫正義の実弟・孫泰蔵も関係者として紹介されており、ファミリー色の強い投資構造が露骨に打ち出されている。

株式会社ディープコア

 ディープコアは、Builder.ai(旧Engineer.ai)の2018年11月のシリーズAラウンドにて、LakestarやJungle Venturesとともに参加投資しており、同社の公式ホームページ上にも現在進行形で『投資先』として掲載されている。つまり、現時点でディープコアはイグジット(資本退出)していないとみられ、Builder.aiの破産に伴い、出資分の資本はほぼ毀損した可能性が高い。にもかかわらず、いまだ投資実績として掲示し続けていることは、同社のガバナンスや情報開示姿勢にも疑問を抱かせる。

ディープコア社の投資対象の筆頭に掲載されているBuilder.ai(2025年6月10日時点)

Microsoft、逆チューリングの罠にまんまとハマる

 Builder.aiは2023年5月、Microsoftからの出資とともに、AzureおよびAI製品群との戦略的パートナーシップを発表。だが、そのときすでにAIは『人間だった』のである。

 これは、世界最先端のテック企業が、AIと人海戦術の区別もつけられなかったことを意味する。資本提携だけでなく、技術協業の側面まであったことを思えば、これは単なる投資ミスではなく、情報リテラシーの敗北である。

 Microsoftが参加したのは、シリーズDラウンド(カタール投資庁主導、2億5,000万ドル)の直後と見られているが、そこで初めて『実体のないAI神話』に触れたわけではない。寧ろ、それを信じ込んだ上で投資判断を下していたのである。

超知能を語る者たちの『知能指数』

 AIとは何かを理解していない者が、AIを語り、そして国を動かす。
 そのなかに、東大教授もいれば、世界的テック企業もいれば、AIに熱狂するジャーナリストたちもいる。
 だが彼らは、最も初歩的な問いにすら答えられない。

『そのAI、本当にAIか?』

 この問いに答えることなく『超知能の到来』などと声高に叫ぶ姿は、知的ゾンビたちのカルト集会のような滑稽さを帯びている。

Builder.aiの顛末は、ただの一企業の失敗ではない

 それは、現代のAI産業とその周縁にいる『専門家』たちの浅薄さと、信仰と化したテクノロジー幻想の末路を象徴している。

『AIがコードを書いていた』と信じていたが、実は人間がこっそりキーボードを叩いていた。

 その程度のことも見抜けない者が『AIが人類を超える』と口走っている。

 どうかその滑稽さに、一人でも多くの読者が気づいてくれることを願う。

武智倫太郎

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