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クリスマス、何食べる?🎄|定番が崩壊した我が家はカニを振る舞う🦀

クリスマスの定番料理は、家族の中にひっそり置かれた小さな憲法である。誰が決めたわけでもないのに、毎年なんとなく守られている。

我が家にもそれはあった。沖縄にいた頃は、二十四日に近所のリゾートホテルでクリスマスディナービュッフェを食べ、二十五日はスーパーで半額になったチキンとケーキを確保する。フードロス対策という名の宝探しである。さらに肉が食べられない妻には、伊勢エビを用意していた。あの頃の私は海の男だった。狙った獲物は逃さない。もちろん密漁ではない。たぶん。


ところが上京したことで、その憲法は破れた。近所にリゾートホテルはない。スーパーの半額シールの時間も読めない。娘は高校生になり、クリスマスを家族と過ごすのか、友達と過ごすのか、あるいは戦火を避けて祖母の家へ避難するのかもわからない。家庭内の予定表は、もはや天気図である。低気圧は妻の機嫌、前線は娘の予定、私はその間で鍋を抱えた気象予報士として立ち尽くしていた。

そんなとき、まきさんカニ記事を読んだ。「これや」と思った。クリスマスにカニ。よく考えると、何ひとつクリスマスらしくない。サンタもトナカイも七面鳥も関係ない。むしろ正月寄りである。


しかし、定番を失った家には、新しい国旗が必要だった。私はカニを買い、妻へのプレゼントにすることにした。ちなみに私はカニが食べられない。自分が食べられないものを料理するというのは、暗闇の中で爆弾を解体するようなものだ。味見ができない。正解もわからない。頼れるのは検索と根性だけである。

カニに興味深々なココ🐶


台所にカニを広げた瞬間、我が家は一気に漁港になった。ココは興味津々で近づき、私はスマホで捌き方を調べながら、殻と格闘した。

カニを捌くのに悪戦苦闘した後🤣


手はベタベタ、スマホもベタベタ、お手拭きタオルまでカニに占領される。気づけば一時間が過ぎていた。そこへ妻が帰ってきて、第一声が「一階から臭いんだけど」である。クリスマスプレゼントとしては、かなり攻撃力の高い開封コメントだった。

カニ出汁を取るため焼くらしい


それでも私はめげずに、刺身でも食べられるらしいと差し出した。しかし妻も食べ方がわからない。結局、カニの食べ方を調べ、殻の剥き方を妻のスマホへ送る。クリスマスの夜に、夫婦で向き合うのではなく、それぞれのスマホ越しにカニ攻略サイトを読む。ロマンチックとは何かを、サンタに問い詰めたい光景であった。

カニの刺身?


その間に私は、残った殻で出汁を取った。焼いて、煮て、こして、味噌汁にする。途中から面倒になり、具は白菜と豆腐だけにしたが、妻は「コクがあっておいしい」と言った。「勝った」と思ったが次の瞬間「でも伊勢エビの方が良かったな」と続いた。そらそうである。とれたての伊勢エビに勝てるカニなど、なかなかいない。カニ界の代表選手を連れてきたつもりだったが、沖縄時代の伊勢エビが強すぎた。

カニの出汁を作る
カニの出汁
カニ出汁から作った簡易味噌汁


こうして上京後初のクリスマスは、チキンでもケーキでもなく、カニの匂いとベタベタのスマホと、少し痒くなった手だけを残して終わった。

もしかすると私は、カニが苦手なだけでなく、甲殻類に体ごと拒否されているのかもしれない。来年の定番がどうなるかはまだわからない。ただ一つだけ確かなことがある。クリスマスの料理は、家族の思い出になる。しかしカニは、思い出になる前に、まず手が痒くなる。

⬅️ 前話はこちら:料理は誰のために作る?👨‍🍳
↩️ シリーズ序章:期間限定?アレンジ?やっぱ定番やろっ❣️

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