意外と知らない、ISOって何?――初心者がMモードでつまずく理由
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「暗い場所で撮ったら、なんだかザラザラした写真になった」
そんな経験、ありませんか。あとで調べてみると、原因は「ISO」という設定でした。でも、ISOが具体的に何をしているのか、実はよく分からないまま、なんとなく「上げるとノイズが出るから、できるだけ低くしておく」というルールだけを覚えている人も多いと思います。

Mモードに挑戦しようとして、F値・シャッタースピード・ISOの3つを同時に操作しなければいけないと知り、そこで心が折れた、という話もよく聞きます。実はこの3つ、同時に考える必要はありません。特にISOは、正しく理解すると「最後に触るもの」だと分かります。
今日は、Mモードの前に、まずISOそのものについて整理してみます。
ISOは「明るさを作る」設定ではない

ISOを上げると、写真は明るくなります。だから「明るさを調整する設定」だと思われがちです。でも実際にISOがしていることは、光を増やすことではありません。
カメラのセンサーが受け取った光の情報を、電気的に増幅しているだけです。レンズから入ってくる光の量そのものは、ISOを変えても増えません。
これが、F値やシャッタースピードとの決定的な違いです。F値は「レンズに入る光の量」を、シャッタースピードは「光を受け取る時間」を変えています。どちらも、実際に届く光の量そのものをコントロールする設定です。一方でISOは、届いた光を「あとから水増しする」設定に近いものです。
水増しした分だけ、画質にしわ寄せが来ます。具体的には、次の2つです。
ノイズが増える:暗い部分にざらつきが出やすくなる
ダイナミックレンジが狭くなる:明るい部分と暗い部分を、同時にきれいに残せる幅が狭くなる
たとえば逆光の人物写真。空は明るく、顔は暗い。ISOを低く保てていれば、空の色を残しながら、暗い顔もあとから自然に持ち上げやすくなります。ISOが高くなるほど、この余裕がなくなっていきます。

だからISOは「最後に」考える
ここまで分かると、ISOとの付き合い方は自然と見えてきます。
写真の明るさを決める要素は、F値・シャッタースピード・ISOの3つですが、対等に扱う必要はありません。
F値を決める(背景をぼかしたいか、くっきり残したいか)
シャッタースピードで明るさを合わせる(暗ければ遅く、明るければ速く)
それでも足りないときだけ、ISOを上げる
F値とシャッタースピードの範囲でできることをやり切ってから、最後の手段としてISOに手を伸ばす。この順番さえ持っていれば、「3つを同時に操作する」という感覚そのものがなくなります。
シャッタースピードには「下限」がある

ここで一つだけ、判断材料が必要になります。シャッタースピードは、遅くしすぎると手ブレしてしまうという下限があることです。
目安としてよく使われるのが「焦点距離の逆数」です。50mmのレンズなら1/50秒前後、100mmなら1/100秒前後が、手ブレしにくい一つの境界線と言われています(手ぶれ補正があれば、もっと遅くしても大丈夫な場合があります)。
この下限を割り込みそうになったら、そこが「ISOを上げるタイミング」です。逆に言えば、下限に余裕があるうちは、ISOは100のまま触らなくていい、ということでもあります。
つまり、Mモードは「3つを同時に操作するモード」ではない

こう考えると、Mモードの見え方が変わってきます。
Mモードは「F値・SS・ISOを常に3つとも自分で忙しく動かすモード」ではなく、「普段はF値を固定し、SSというひとつのダイヤルだけで写真を整え、必要なときだけISOに手を伸ばすモード」です。
順番を持っているかどうかで、Mモードの難易度はまったく変わります。
ここまでが、ISOの正体と、それがMモードの中でどんな役割を持っているかという話です。
まとめ
ISOは、光の量そのものを増やす設定ではなく、センサーが受け取った光を電気的に増幅するだけの設定です。
だから、写真の明るさはまずF値とシャッタースピードで作り、ISOは最後の調整に回します。これが基本の順番です。
シャッタースピードの下限(手ブレの限界)に近づいたときだけISOを上げる、という順番を覚えておくだけで、Mモードは驚くほどシンプルになります。
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今回の話の前提になっている「F値を先に決める」という考え方は、以下の記事でも詳しく解説しています。
もう少し詳しく、被写体ごとのシャッタースピードの目安や、動きのある被写体では順番がどう変わるか、明るすぎる昼間はどうするか、といったところまで一冊にまとめたのが『Mモードが5分でわかる教科書』です。
今回の「ISOは最後に触る」という考え方を、実際の撮影現場でどう使うかまで、写真を交えて解説しています。
ISOの考え方に納得できた方は、続きも覗いてみてください。
ちなみに、F値やISOの感覚が身についてくると、日常のスナップも一段とクリアに仕上がってくるはずです。
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