見出し画像

五臓は、内臓のことではありません──肝・心・脾・肺・腎という五つの係

この記事の内容を、毎朝1分で復習したい方へ。

Substackでは、今日のテーマを「朝の漢方1問」として、クイズ形式でお届けしています。登録していただいた方には、漢方の基礎を学べる「厳選30問ドリル」もお渡ししています。読むだけで終わらせず、少しずつ身につけたい方はこちらからどうぞ。

無料で登録して、朝の漢方1問を受け取る

皆さん、こんにちは。悠々漢方です。

先週は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という、漢方が体を見る一つめの枠組みを見てきました。今週は二つめ、「五臓(ごぞう)」です。

肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)。名前を聞いたことのある方は多いと思います。そして、多くの方がここで一度つまずきます。「肝といっても、肝臓とは違うらしい」と聞いて、では何なのかがわからなくなる。

今日は、その入り口を整えます。

五臓は、臓器そのものではありません

先に結論をお伝えします。五臓とは、内臓の名前ではなく、「体の働きをまとめた五つの係」の名前です。

たとえば「脾(ひ)」は、西洋医学の脾臓(ひぞう)とは重なりません。東洋医学の脾は、食べたものを消化して体の力に変える働き全体を指しています。西洋医学でいえば、胃や小腸の仕事に近い。名前は同じ漢字でも、指しているものが違うのです。

なぜこんなややこしいことになったのか。これは、東洋医学が「解剖して形を見る」道ではなく、「生きて働いている体を、外から観察してまとめる」道を歩んできたからです。

お腹を開いて臓器の形を確かめる代わりに、こういう見方をしました。食欲が落ちるとき、体は重だるくなり、便が緩くなり、思い悩みやすくなる。この四つは、なぜかいつも一緒に起こる。ならば、これらをひとまとめにして名前をつけよう。そうして生まれたのが「脾」という係です。

つまり五臓とは、「一緒に動くことが多い症状のまとまり」に、名前をつけたものなのです。

五つの係が、それぞれ受け持つもの

大まかに言えば、こうなります。

肝は、巡らせる係です。気を全身にめぐらせ、感情の波を調える。目や爪、筋の状態にも関わります。

心は、眠りと熱をあずかる係です。意識をはっきりさせ、眠りを支え、体の上のほうの熱を管理します。

脾は、食べたものを気に変える係です。消化と吸収を担い、水の代謝にも関わります。

肺は、呼吸と、体の表面を守る係です。皮膚や粘膜の潤い、外からの寒さや病の元を防ぐ働きに関わります。

腎は、生まれ持った力を蓄える係です。成長と老化、骨や歯、髪、耳、そして水分の調節に関わります。

五臓は、単独では働きません

もう一つ、大切な考え方があります。五臓は互いに支え合い、また抑え合っています。

たとえば脾が弱ると、気も血も作れなくなります。すると心を支える血が足りなくなり、眠りが浅くなる。「胃腸の調子が悪いと、よく眠れない」という経験は、この関係で説明できます。

肝が滞ると、脾の働きが押さえつけられます。緊張やストレスが続いたときにお腹の調子を崩すのは、この関係です。

腎が衰えると、肝を養う力が落ちます。年齢とともにイライラしやすくなったり、目が疲れやすくなったりするのは、ここに理由があると考えます。

こうした結びつきを整理したのが「五行(ごぎょう)」という考え方です。木、火、土、金、水の五つになぞらえて、支え合いと抑え合いの関係を図に表したものです。ただ、この図は覚えようとすると急に難しく感じます。今週は図の暗記はしません。「五つの係があって、互いに影響し合っている」、それだけ持ち帰っていただければ十分です。

今週の地図

今週は、一日に一つずつ見ていきます。

明日は肝、明後日は心、その次に脾、そして肺と腎。土曜日には、五臓それぞれが、悠々漢方のこれまでの記事のどこに対応するのかを一枚の表にまとめます。ご自身の気になる不調から、関係する記事へ辿れるようにするつもりです。

日曜日は、先週と同じく練習問題をお届けします。

今日の小さな養生:気になる係を、一つ選んでおく

今日していただきたいのは、一つだけです。

五つの説明を読んで、いちばん心当たりのあったものを覚えておいてください。感情の波が気になるなら肝、眠りなら心、お腹なら脾、肌や呼吸なら肺、疲れや年齢の変化なら腎。

一つに決められなくても構いません。むしろ二つ三つ気になるのが普通です。ただ、「自分はここが気になる」と当たりをつけておくと、この一週間の読み方が変わります。自分に関係のある話として読めるようになるからです。

明日は、五つのうち最初の「肝」を見ていきます。春の不調やイライラと結びつけて語られることの多い係ですが、実際にはもっと広い範囲を受け持っています。

※五臓の見立ては、体質(証)や症状によって一人ひとり異なります。ご自身に合った漢方薬を選ぶためには、自己判断をなさらず、必ず漢方に詳しい薬剤師や医師にご相談ください。また、症状が強い場合や長く続く場合は、まず医療機関を受診してください。

あなたの毎日が、少しでも元気で快適なものになりますように。

悠々漢方


📩 毎朝届く「朝の漢方1問」──無料で始める養生習慣

「漢方って難しそう」と思っていませんか?
悠々漢方のSubstackでは、毎朝1問ずつ、暮らしに活かせる漢方の知恵をお届けしています。
今ご登録いただくと、「厳選30問・養生ドリル(PDF)」もプレゼント中。

無料で登録する

悠々漢方のほかの活動

🌿 二十四節気と漢方(季節の養生ガイド)

📚 Kindle書籍(電子書籍シリーズ)

😊 LINEスタンプ

いいなと思ったら応援しよう!

悠々漢方 記事が参考になりましたら、チップで応援いただけると励みになります。活動を応援してくださる方、チップでのサポートをお願いします。ご支援いただけると幸いです🌿