頭痛持ちが感じる「頭のぼんやり」の正体
皆さん、こんにちは。悠々漢方です。

「頭痛は治まったはずなのに、頭がなんとなくぼんやりする」「会議中に話の流れを追えなくなる」「さっきまで考えていたことが、もう消えてしまっている」──片頭痛を持つ方が、発作のない日にもこんな感覚を抱えているとしたら、それは決して気のせいではありません。
2026年春、オーストラリアの研究チームがその正体を明らかにしました。片頭痛患者は、短期的な「記憶の保存」には問題がないものの、「考えながら覚える」という高次の処理能力──ワーキングメモリ──が選択的に低下していたのです。
今日は、この研究結果と、東洋医学が古くから大切にしてきた「脳と気血のつながり」についてお話しします。

🌸 美咲
「悠々さん、片頭痛は薬で治まるんですけど……頭痛がない日も、なんか頭がぼんやりするんです。もの忘れが増えたというか、考えながら作業するのがしんどくなってきて」
🍵 悠々
「美咲さん、それは『ブレインフォグ』と呼ばれる状態かもしれません。片頭痛持ちの方によく見られるんです」
🌸 美咲
「ブレインフォグ……? 片頭痛って頭痛の病気じゃないんですか?」
🍵 悠々
「頭痛は表に出る症状ですが、片頭痛は脳全体の働き方に影響を与えている、という見方があります。最新の研究が、そのメカニズムの一端をとても興味深い形で示しました」
「覚えられない」のではなく「考えながら覚える」のが難しい
La Trobe大学(オーストラリア)のKenya McKay氏らは、片頭痛患者の記憶機能を評価した3,880件の研究を精査し、16件の厳選された研究をメタ解析しました。その結果が、Journal of Neurology 2026年3月17日号に報告されています。
結果として明らかになったのは、二つの異なる事実でした。
まず、短期記憶(情報を一時的に頭の中に保存する力)については、片頭痛患者と健康な人の間に、有意な差は認められませんでした。つまり「覚える」という基本的な能力は保たれていたのです。
一方、ワーキングメモリ(情報を保持しながら同時に処理・操作する力)については、片頭痛患者は健康対照者よりも有意に低下していました。
これは何を意味するのでしょうか。「単純に何かを暗記する」のは問題ない。しかし「複数の情報を頭に入れながら同時に考える」──たとえば会議で話を聞きながら返答を考える、料理をしながら買い物リストを思い出す、といった複合的な認知作業が、ずっと負担になっているということです。
著者らはこう結論付けています。「片頭痛は全般的な記憶障害とは関連しておらず、むしろ能動的な操作や認知制御を必要とする高次記憶プロセスにおける脆弱性と関連している」と。

本記事は一般的な健康・漢方知識の提供を目的としており、医学的な診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

🌸 美咲
「『覚えられない』んじゃなくて、『考えながら覚えるのが難しい』……なんか、その違いだけで少し気持ちがラクになりました」
🍵 悠々
「ですよね。東洋医学の視点でも、この状態はとても説明しやすいんです」
🌸 美咲
「どういうことですか?」
🍵 悠々
「漢方では、脳は『髄の海(ずいのうみ)』と呼ばれ、腎(じん)の精気が基盤を支えています。そして脳は、全身の器官の中でもとりわけ『血(けつ)』をたくさん必要とする器官なんです。
片頭痛持ちの方は、この脳への血の供給が不安定になりやすい体質であることが多い。発作がないときも、じわじわと脳のエネルギー不足が続いているイメージです」
🌸 美咲
「なんかわかります。頭痛の後は特にぼんやりするし、疲れるときは頭が霧がかかったみたいになります」
🍵 悠々
「まさに。ワーキングメモリのように複数のことを同時に処理するのには、大量のエネルギーが必要です。電池残量が安定しない充電器みたいな状態では、高負荷な処理から先に影響が出てしまう。だから『考えながら覚える』ことが最初につらくなるんです」
脳の霧を晴らす──漢方的アプローチ
体質別の漢方処方
片頭痛+ブレインフォグには、主に以下のような体質別の処方が参考になります。
釣藤散(ちょうとうさん)──頭がのぼせやすく、肩こりや慢性的な頭痛が続く方に。脳への気血の流れを整える代表的な処方です。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)──冷えが引き金になる頭痛に。手足が冷えやすく、吐き気を伴う片頭痛の方に合うことが多いです。
加味逍遙散(かみしょうようさん)──ストレスやイライラが頭痛の引き金になる方、特に女性に多い体質向け。気の巡りを整えながら、心の揺れも落ち着かせます。
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)──めまいや頭重感、胃腸が弱い方の頭痛に。水の巡りと脾(胃腸)を整えながら、頭部の余分な湿気を取り除きます。
日常の養生法
就寝前のスマートフォンは控えめに。目から入る刺激が肝(かん)に負担をかけ、頭部の充血につながります。
菊花(きくか)や釣藤鈎(ちょうとうこう)を使ったハーブティーは、頭部の熱を冷まし、目の疲れにも効果的な養生法です。
規則正しい食事と、脾(ひ)を養う食事──米、豆類、根菜など──で、気血の生産工場を整えましょう。
🌸 美咲
「ハーブティーか……私でも今日から始められそうです」
🍵 悠々
「そうです。大きなことをいきなりやろうとしなくていい。まず一杯のお茶から、脳への優しさを届けてあげてください」
🌸 美咲
「頭の霧、少しずつ晴れていくかな」
🍵 悠々
「晴れていきます。からだは、丁寧に向き合った分だけ、ちゃんと応えてくれますよ。頭の霧は、漢方の知恵で少しずつ晴らしていきましょう🌿」


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