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「肺」と「腎」は、乾きと老いをあずかります──秋の入り口に知っておきたい二つの係

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皆さん、こんにちは。悠々漢方です。

五臓(ごぞう)の最後、「肺(はい)」と「腎(じん)」です。今日は二つまとめて見ていきます。

この二つは、季節でいえばこれから出番を迎える係です。肺は秋、腎は冬。まだ暑い盛りですが、先に知っておくと、季節の変わり目が来たときに慌てずにすみます。

肺は、呼吸と、体の表面を守る係です

東洋医学の肺は、呼吸を担うところまでは西洋医学と重なります。違うのは、その先です。

肺は、体の表面を守る係でもあると考えます。皮膚、鼻、喉といった、外界と接している場所です。ここに気を配って、寒さや乾燥、病の元が入ってこないようにする。関所の番人のような役目です。

だから、肺が弱っているサインには、こういうものが並びます。

  • 風邪をひきやすく、長引きやすい

  • 空咳が出る、痰が切れにくい

  • 喉や鼻が乾く

  • 肌が乾燥する、かゆくなる

  • 汗をかきやすい、あるいはかきにくい

  • 声に力が出ない

「呼吸器の話なのに、なぜ肌が出てくるのか」と思われるかもしれません。けれど皮膚も呼吸をし、外界と接している境目だと考えれば、同じ係が受け持つのも自然に思えてきます。

そして肺は、乾燥を苦手とします。秋になると空咳や肌のかゆみが増えるのは、この季節が肺にとって厳しいためだと考えます。

腎は、生まれ持った力を蓄える係です

腎は、五臓のなかでも少し性格が違います。

東洋医学では、腎に「精(せい)」が蓄えられていると考えます。精とは、生まれたときに親から受け取り、生涯かけて使っていく生命の元手のようなものです。

だから腎は、成長と老化に深く関わります。子どもが育つのも、髪が白くなるのも、足腰が弱るのも、腎の働きの移り変わりとして捉えます。

腎が受け持つとされるのは、骨と歯、髪、耳、そして水分の調節です。

腎の力が落ちた状態を「腎虚(じんきょ)」と呼びます。

  • 足腰が重い、だるい

  • 夜中にトイレで目が覚める

  • 耳が聞こえにくい、耳鳴りがする

  • 白髪が増える、髪が薄くなる

  • 骨や歯が弱くなる

  • 冷えやすい、あるいは逆に手足がほてる

  • 気力がわきにくい

腎虚は、加齢とともに誰にでも訪れます。異常ではありません。ただ、その進み方は暮らし方で変わると考えられています。

そして、腎は「恐」と関わるとされます。強い不安や恐れは腎を消耗し、腎が弱ると気持ちが萎えやすくなる。年齢を重ねて、なんとなく心細さが増したように感じる。そうした変化も、腎の側から説明されることがあります。

二つは、深いところでつながっています

肺と腎には、呼吸を通じた結びつきがあります。

東洋医学では、肺が空気を取り込み、腎がそれを下に引き受けると考えます。この働きを「納気(のうき)」と呼びます。

腎の力が落ちると、この引き受けが弱くなる。すると息が浅くなり、少し動いただけで息切れがする。「年齢とともに息が上がりやすくなった」という変化を、肺だけでなく腎の側からも見るわけです。

昨日までの脾との関係もあります。脾が作った気血が、肺を通じて全身に配られ、余った力が腎に蓄えられていく。五臓は、こうしてつながっています。

漢方の知恵

肺の乾きに対しては、潤す方向で考えます。麦門冬湯(ばくもんどうとう)は、乾いた空咳が相談の中心にあるときによく名前の挙がる処方です。中心となる麦門冬(ばくもんどう)は、潤いを補う代表格とされてきました。

腎に対しては、蓄えを補う方向です。八味地黄丸(はちみじおうがん)は、腎を補う処方の基本形として知られています。牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、そこに足腰の重さやむくみへの配慮を加えた組み立てになっています。

生薬では地黄(じおう)、山薬(さんやく)、山茱萸(さんしゅゆ)といった名前が並びます。

※漢方薬は体質(証)や症状によって、合うものが一人ひとり異なります。ご自身に合った漢方薬を選ぶためには、自己判断をなさらず、必ず漢方に詳しい薬剤師や医師にご相談ください。また、咳が長く続く場合、息切れが強い場合、耳の聞こえに急な変化がある場合は、まず医療機関を受診してください。

今日の小さな養生:潤いを守り、腰を温める

肺が気になる方へ。乾燥を避けることが第一です。まだ夏ですが、冷房の効いた部屋は思いのほか乾いています。加湿、こまめな水分、そして喉を乾かさないこと。白い食材(れんこん、白きくらげ、梨、豆腐など)が肺を潤すと、昔から言われてきました。

腎が気になる方へ。温めることと、使いすぎないことです。腰から下を冷やさない。夜更かしを続けない。腎の蓄えは、休んでいる間に少しずつ回復すると考えられています。黒い食材(黒ごま、黒豆、ひじき、海苔など)が腎を養うとされるのも、覚えておくと役に立ちます。

そして、腎については焦らないことです。生まれ持った蓄えは、急に増やせるものではありません。減らし方を少し緩めるくらいの気持ちで十分だと思います。

明日は、五臓の全体をまとめた完全ガイドをお届けします。五つの係が、悠々漢方のこれまでの記事のどこに対応しているのか、一枚の表にします。ご自身の気になる不調から、関係する記事へ辿れるようにするつもりです。

あなたの毎日が、少しでも元気で快適なものになりますように。

悠々漢方


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