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陰陽は、対になっているという見方です──良し悪しではなく、傾きを見る

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皆さん、こんにちは。悠々漢方です。

これまで二週間、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」と「五臓(ごぞう)」という、体を見るための二つの枠組みを見てきました。今週は、その手前にある考え方に降りていきます。

「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)」「寒熱(かんねつ)」、そして「証(しょう)」と「未病(みびょう)」。漢方の判断を支えている、いちばん土台に近い部分です。

今日はその一つめ、陰陽です。

陰陽は、良し悪しの話ではありません

陰陽と聞くと、陰が悪くて陽が良い、という印象を持たれる方が多いと思います。「陰気」「陽気」という日本語の使われ方からすれば、自然なことです。

けれど東洋医学の陰陽に、良い悪いはありません。あるのは、対になっているという事実だけです。

夜と昼。冬と夏。静と動。内と外。冷と熱。下と上。

どちらか一方だけでは成り立たない。夜のない一日はなく、冬のない一年もない。そして、どちらも常に同じ量ではなく、揺れ動いている。この見方が陰陽です。

陰が悪いのではありません。夜が来なければ眠れないように、陰には陰の仕事があります。体を休め、冷まし、潤し、蓄える。それが陰の受け持ちです。対して陽は、動かし、温め、守り、押し上げる。

健康とは、傾きが小さいこと

ここから、東洋医学の健康観が出てきます。

陰と陽のどちらかを増やすことが健康なのではありません。「二つが釣り合って揺れている状態」を健康と考えます。

たとえば、体が冷えているとします。これには二通りの見方があります。温める力である陽が足りないのか、それとも冷ます側の陰が多すぎるのか。同じ「冷え」でも、原因が違えば手当ての方向も変わります。

のぼせも同じです。熱そのものが多すぎるのか、それとも冷ます力が足りずに相対的に熱く感じているのか。年齢を重ねて手足がほてる方に、冷ますだけの手当てが合わないことがあるのは、後者のことがあるからです。

片方が減ることでも、もう片方が増えることでも、傾きは生まれる。これが陰陽で見るということの実際です。

一日の中にも、一年の中にも

陰陽は、季節や時間にも当てはめて考えます。

一日でいえば、朝から昼にかけては陽が盛んになり、夕方から夜にかけて陰が増していきます。だから、夜に活動を続けることは陰の時間に陽を使うことになり、体の傾きを大きくすると考えます。「夜更かしはよくない」という言い方に、東洋医学なりの理屈があるわけです。

一年でいえば、夏至(げし)に陽が極まり、そこから陰が増していく。冬至(とうじ)に陰が極まり、そこから陽が戻る。極まった瞬間から、もう反対側が始まっている。この見方も、陰陽の特徴です。

今はちょうど、陽が極まったあとの時期です。まだ暑い盛りですが、暦の上では立秋(りっしゅう)を過ぎ、陰が増え始めています。夏の疲れがこの時期に出やすいのは、盛りを過ぎた陽と、まだ整わない陰の入れ替わりの最中だから、と考えることもできます。

覚えなくてよいこと

ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。

陰陽は、突き詰めると哲学の領域に入っていきます。陰の中にも陰陽があり、その中にもまた陰陽がある。そういう話が続きます。面白い分野ですが、暮らしの養生にはそこまで要りません。

今週持ち帰っていただきたいのは、これだけです。

  • 陰と陽に、良い悪いはない

  • 健康とは、二つが釣り合って揺れている状態

  • 傾きは「片方が減る」でも「もう片方が増える」でも生まれる

明日は、この見方を実際の判断に使う形にしていきます。「虚実」、つまり足りないのか多すぎるのか、という軸です。

今日の小さな養生:夜に、陽を使いすぎない

今日できることを一つだけ。

夜、陰の時間に入ったら、陽の活動を少し減らしてみてください。強い光を浴びない、激しい運動をしない、興奮する情報に触れない。眠る一時間前だけで構いません。

これは「夜更かしをやめましょう」という一般的な助言と同じことを言っています。ただ、理由がひとつ加わると、続けやすくなることがあります。夜は陰の時間で、そこに陽を重ねると傾きが大きくなる。そう思うと、照明を一段落とすくらいのことが、意味のある行為に見えてきます。

※体調に不安がある場合や、症状が長く続く場合は、自己判断をなさらず、医療機関を受診してください。漢方薬を用いる際も、必ず漢方に詳しい薬剤師や医師にご相談ください。

あなたの毎日が、少しでも元気で快適なものになりますように。

悠々漢方


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