やる気を引き出す漢方薬と、脳に嬉しい「黒い食材」

皆さん、こんにちは。悠々漢方です。
48歳の山田健太さんは、実家で一人暮らしをしている75歳のお父さんのことで悩んでいます。
「最近の親父、出かけるのも面倒くさいって言って、家でテレビばかり見ているんだ。食事の量も目に見えて減ってきたし……。これって認知症の始まりなのかな」

お父さんの「やる気の低下(アパシー)」や「食欲不振」を心配する健太さん。実は、認知症の初期や高齢期の心身の衰えにおいて、こうした「なんとなく元気が出ない」「億劫になる」といった意欲の低下はとても多く見られる症状です。
漢方(東洋医学)では、こうしたやる気の低下に対して、無理に脳を興奮させるのではなく、胃腸や生命力の根本を「底上げ」することで、自然な活力を引き出すアプローチをとります。
今日は、意欲を呼び覚ます代表的な3つの漢方薬と、脳の健康を応援する「黒い食材」についてお話しします。
やる気を呼び覚ます、高齢期に頼れる3つの漢方薬
漢方では、意欲の低下や食欲不振は、体全体のエネルギーである「気(き)」と、栄養である「血(けつ)」が不足しているサインだと考えます。
1. 食欲と意欲を同時にサポートする「人参養栄湯」
胃腸の働きを高めて栄養の吸収を良くし、気と血を同時に補う代表的な漢方薬が 人参養栄湯(にんじんようえいとう)です。
近年、認知症に伴う「意欲の低下(アパシー)」や「食欲不振」に対して、この漢方薬が意欲を改善させることが複数の臨床研究でも確認され、注目を集めています。食べる元気がわくことで、体力が戻り、自然と「やってみよう」という気持ちを引き出します。

2. 体の底からエネルギーを満たす「八味地黄丸」
生命力の貯蔵庫である「腎(じん)」を補い、全身を温めて活力を与えるのが 八味地黄丸(はちみじおうがん)です。
記憶力の低下だけでなく、下半身の冷え、頻尿、足腰の弱り(フレイル)を伴う方に用いられます。体の土台となるエネルギーを満たすことで、億劫さを払い、動く元気を引き出します。

3. イライラや昂ぶりをなだめる「抑肝散」
やる気が出ないのとは反対に、心がトゲトゲしてイライラ怒りっぽくなる、夜間に大声を出す、実際にはないものが見える(幻視)といった症状に対しては 抑肝散(よくかんさん)がよく用いられます。
昂ぶった神経を穏やかになだめ、心身の緊張をゆるめてくれます。

脳のエイジングケアには「黒い食材」
日々の食事でも、脳の若さを保つ「腎」の働きをサポートすることができます。漢方の世界では、五色(青・赤・黄・白・黒)のうち「黒」が、腎を元気にする色とされています。
毎日の食卓に、以下のような「黒い食材」を少しずつ取り入れてみましょう。
黒ごま・黒豆: ご飯に黒ごまを振ったり、黒豆茶を飲むだけでも手軽な養生になります。
きくらげ・ひじき・わかめ: 腎を養い、血液の巡りを良くするミネラルや食物繊維が豊富です。
ブルーベリー・プルーン: 腎を補うとともに、抗酸化作用が高く、脳のアンチエイジングに役立ちます。

小さな「美味しい養生」が、家族の笑顔を守る
山田健太さんは、実家のお父さんに黒ごまをプレゼントし、一緒に人参養栄湯について専門医に相談してみました。
健太「親父、最近黒ごまご飯を美味しいって食べてくれるようになってね。少しずつだけど、庭いじりを再開する元気が湧いてきたみたいだ」

無理をして大きなことを始める必要はありません。
大切な人を心配する優しい気持ちを、お味噌汁に入れるワカメや、ご飯に振りかける黒ごまといった、日々の小さな「美味しい養生」に変えて届けてみませんか。
明日の第6回(土曜日)では、この1週間の「脳の養生」を振り返る完全ガイドと、今日から使えるセルフチェックリストをお届けします。
あなたの毎日が、少しでも元気で快適なものになりますように。
悠々漢方
本記事は一般的な健康知識の提供を目的としており、特定の商品の効能を保証したり、医学的な診断・治療に代わるものではありません。不調がある場合は必ず医療機関を受診してください。

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