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このまま一人でいるつもりだった私が、とんでもない人に捕まった話【初デート編】

「1ヶ月会うために仕事頑張ったんだけど。」

一緒に住もう?とか言われた衝撃の初対面から約1ヶ月。
彼からのこのメッセージを見た瞬間、私の心は複雑に揺れ動いていた。
「忙しいしまた別日にしようよ」そう返したのだけど、彼から「絶対楽しませる!会うことで得るものが絶対にあるから時間をください」という言葉には、嘘偽りのない真剣さが滲み出ていて。

結局、私はいやいやながらも初デートに向かうことになった。

まずは出会い編からみてください。

遠距離の現実と、拭えない疑念

新幹線で2時間半。車なら7時間。私たちが住んでいるのは、そんな遠距離だった。

そして今回、最大の問題は宿泊だった。
付き合ってもいない、それどころか2回目に会う相手と一緒に泊まる?私の頭の中では警報が鳴り響いていた。
これは結婚詐欺なのではないか。優しい言葉で私を騙そうとしているのではないか。

家を出る前、鏡の前で自分を見つめながら思った。特に飾らない服装を選んだのは、警戒心の表れだった。だって詐欺かもしれないし、私は好意を持たれても壁を作ってしまう。だから、変に期待させるのも申し訳ない。

回避型の怖いところは、最初は「この人だったら大丈夫かも!」と思い頑張るのだけど、やっぱりダメで離れてしまう。
そのたびに相手を傷つけてしまう自分が嫌になる。今回も同じことを繰り返すんじゃないか。彼が本気なのがわかるからこそ、向き合うのが怖かった。

心境は不安8割、期待2割。それでも新幹線に乗った私は、きっと何かを求めていたのかもしれない。

雨の駅での再会

雨が降る寒い日の駅。改札を出ると、彼が車で迎えに来てくれていた。

有名な観光地での食べ歩きデート。特定のお店でゆっくりするのではなく、街を歩きながらいろいろなグルメを味わう。彼は私の歩くペースに自然と合わせてくれる。私がチケットを無くしそうだと察して「おれが持ってる!」と気を遣ってくれる。

そういえばコーヒーが好きだと話したことを覚えていてくれて、疲れた頃合いを見計らって「カフェ行く?」って声をかけてくれた。

こういう細やかな気遣いが、彼らしいなと思った。計算ではなく、自然に相手を喜ばせたいと思う心から出てくる行動。

しかも、会計は全部彼が持ってくれて、申し訳なさそうにする私に彼は言った。

「俺って別に物欲ないからこういうときにお金使ってるんだよね。これが趣味っていうか喜んでくれてたらそれで幸せ!」

その言葉に計算を感じなかった。純粋に、私が楽しんでいることを喜んでくれている。そのことが、少しずつ私の警戒心を溶かしていく。

ただ、この日一日を通して、彼の発言で少し気になることがあった。私が何かに興味を示すと「俺は興味無い!」とズバッと言ったり、「こっちにしようよ!」と有無を言わさず決めてしまったり。白黒はっきりした物言いが多くて、なんとなくモヤモヤした気持ちを抱えていた。

おみくじが運んだ小さな奇跡

有名な神社を訪れたとき、「おみくじひく?」と彼が提案してきた。

「1月に引いたからいいや」

そう断った私だったけど、「ほら私の年明けに引いたおみくじあるよ?」財布の中に入っていたおみくじを見せると、彼は興味深そうに覗き込んだ。

「転居 吉だって!いいじゃん!交際、あなたが話しかけるのを待っている人がいる…?」

茶化すような彼の言葉に、「ねえ!笑」と突っ込む私。でも心の奥で、小さな運命めいたものを感じていた。偶然だと思いたい気持ちと、もしかしたらという期待が、胸の中で静かに混ざり合っていく。

出会った時からそうだったけど、私たちは会話が本当に途切れない。歩いている間も、食べ歩きしている間も、とにかく喋り続けている。笑い声が絶えない。こんなに自然に時間が流れることが、私にはとても新鮮だった。

ホテルの部屋で感じた不思議な安心感

ツインルームにチェックイン。少し仕事の時間を取った後、夜は地元の居酒屋へ。

この日、私の中で不思議なことが起きていた。いつもなら発動する回避スイッチが、全く入らない。なんでだろうと自分でも考えていたけれど、たぶん初めて会った時より恋愛モードではなく、友達寄りの雰囲気だったからかもしれない。

彼も私に対して恋愛的なアプローチをするのではなく、まずは一緒にいる時間を楽しもうという姿勢だった。その距離感が、私には心地よかった。

仕事に対する熱量や価値観についても、驚くほど似ていることがわかった。ただ、遠距離については現実的な問題として立ちはだかる。

「したことがないからできない。だからこっちに来て欲しい」

彼の一点張りに対して、私は正直に答えた。

「それなら現実的じゃないかも」

でも、その会話さえも重苦しくならない。お互いの立場を理解しようとする姿勢があった。

深夜に解けた心の鍵

ホテルに戻って、お酒が入った状態でふたりで語り合う時間。彼がぽつりと漏らした言葉が、私の心に深く響いた。

「なんか一緒に泊まってるのに、はじめて会った気がしない。実家みたいに落ち着くし違和感ないんだよね」

私も全く同じことを感じていた。この不思議な感覚をどう言葉にしていいかわからなくて、正直に伝えた。

「私も違和感なかったから、不思議で……正直、戸惑ってる」

すると彼が、まるで試すように聞いてきた。

「ねえ、今日過ごしてみて俺へのイメージってどれくらいまで上がった?100%中だとどれくらい?」

「えっと、50%」

正直に答えた私に、彼は驚いたような声を上げた。

「低!ねえ、なにがだめ?俺結構素だしだよね?」

私は少し迷ったけれど、思い切って本音を話すことにした。

「ごめん、いい子なんだってことは分かったんだけど、なんかずっと闇深そうで、出会った時からずっと寂しそうなの。だからそれがなんなのかな……私のこと騙そうとしてるのかな……みたいな。だからまだ1歩踏み出せない」

静寂が流れた。彼は少し考えてから、静かに言った。

「闇深そうって初めて言われた。けど分かってくれたんだね……」

そして彼は、過去のトラウマについて話してくれた。それは私が想像していた以上に壮絶な内容で、話を聞きながら、私の中で何かが変わっていくのを感じた。

「話してくれてありがとう。強いね……」

そう言うのが精一杯だったけれど、心の中では確実に何かが動いていた。この人と向き合いたい。そう思った。

本気の証明

1夜をともにしたものの、彼と私は身体の関係は持たなかった。正直、この歳で男女が泊まったらなにかあるかもしれないと覚悟していたので、正直驚いた。

「正直今日なんかあっても自己責任だと思ってたの。でも、なんもないから意外だった」

素直に伝えた私に、彼は笑いながら答えた。

「ねえ、俺本気だって言ったよね?ここで手出したらクズだし、嫌われるじゃん。本気の相手に嫌われるリスク高いことするわけなくない?」

その言葉が、彼の真剣さを物語っていた。

車の中で伝えた本音

2日目は朝方まで語り合った影響で、遅めのスタート。彼の運転でドライブに出かけた。車内でも相変わらず会話が途切れることはない。

私がカフェ巡りが好きだと話すと、明らかに興味なさそうなのに「気になるところに行きたい!」と言って付き合ってくれた。この口癖は今も変わらない。
車を走らせながら、私は昨日からずっと気になっていたことを思い切って口にした。
「興味ないのは勝手にこっちでするから別にいいんだけど、なんかあんな冷めた言われ方するのは寂しいし、なんか怖いって思っちゃう。もう少し優しい言い方して欲しい」
彼はハンドルを握りながら、少し考えるような間を置いた。
「分かった」
シンプルな返答だったけれど、その声には真剣さが込められていた。

海辺で繋いだ手の温もり

海沿いをドライブした後、少し海辺を歩くことにした。急な坂道で足元が不安定になったとき、彼が自然に「危ないから!」と手を差し出してきた。
その手を取った瞬間、嫌な感じは全くしなかった。むしろ、温かくて安心できた。それから海辺ではずっと手を繋いで歩いていた。
「なんかデートみたいで嬉しい!」
彼の嬉しそうな声を聞いて、私も心の中で小さく微笑んでいた。そして、車の中での会話以降、彼の言葉選びが確実に変わっていることに気づいていた。

別れ際に口にした約束

豪雪で新幹線が止まるかもしれないという予報で、予定より早めの解散。
彼は最後まで諦めが悪く「新幹線止まったら、俺の地元まで一緒に行こうよ」なんて提案してきたけれど、幸い新幹線は運行していた。

駅まで送ってもらう車の中で、彼が少し不安そうに聞いてきた。

「ねえ、今回会ってよかった?楽しかった?」

私は正直に答えた。

「想像以上に楽しくて、びっくりした」

彼の顔が明るくなる。

「やった!ねえ、また会ってくれる?」
「うん、また会おう」

その言葉が自然に口から出てきたことに、私自身が一番驚いていた。
回避型の私が、こんなにすんなりと次の約束をするなんて。

「やった!嬉しい!!」

彼の純粋な喜びようを見ていると、この人は本当に私に会えることを心から喜んでくれているんだなと実感した。

余韻という名の新しい感情

帰りの新幹線の中、窓の外を流れる景色を眺めながら考えていた。なんか今までの男の人と違う。この人なら信じてもいいのかもしれない。

なんであんなに隣にいることがしっくりきたんだろう。楽しかったなという余韻だけが残っていて、疲れは全く感じなかった。むしろもう少し一緒にいたかった、なんて思っている自分がいる。

彼は雪道を1人で数時間運転して帰らなければならず、道中の実況がLINEで届いていた。

「楽しくて、余韻がやばい」
「俺はもっと一緒にいたかったよー」
「さっきまでが幸せすぎて、現実のギャップがやばい。モチベがあがんない」

そんな彼に「またモチベ作ろうか」と返している自分がいた。

そして後日、彼との会話の中で気づいたことがあった。

「最近興味ないっていわなくなったね」

そう言った私に、彼は少し照れたような表情で答えた。

「だって嫌っていわれたから、やめようと思って意識してる」

その言葉を聞いた時、私の心の中で何かが確実に変わった。
この人は私の言葉を本当に聞いてくれる。
そして変わろうとしてくれる。

結婚詐欺を疑っていた私が、1泊2日で心を開いた。
それは彼の一貫した優しさと、計算のない本気さ、そして私の気持ちを大切にしてくれる姿勢に触れたからかもしれない。
人を信じることを諦めかけていた回避型の私が、「また会おう」と自然に言えた。
それは小さな奇跡だった。

それから次会うまでは数ヶ月空いてしまうのだけど、お互いの気持ちは確実に大きくなっていた。

次回 私が気付いた本当の気持ち。





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