このまま一人でいるつもりだった私が、とんでもない人に捕まった話【もしかして彼も同じ?編】
私は小さな違和感を抱えていた。楽しかった、安心した、また会いたい。そう思う反面、胸の奥に何かが引っかかっている感じがしていた。
まずは馴れ初めから読んでください。
白黒すぎる言葉にモヤモヤして
彼の言葉が、ときどき白黒すぎるのが気になっていた。「それ興味ない」「こっちにしよう」。間違ってはいないけれど、言い方がきっぱりしすぎて、私が好きなものを否定されたような気持ちになってしまう。
「興味なくても別にいいけど、突き放された気持ちになるから、ちょっと寂しいかも。もう少しやさしい言い方をしてほしい」と伝えたら、彼は「わかった」とだけ言った。その日以降、彼の言葉は少し丸くなった。話を聞こうとする姿勢に変わった。「あ、ちゃんと届いた」と安心した。
でも、違和感は言い方だけの問題じゃなかった。
なんだかずっと寂しそうなのだ。私の気持ちが動き始めた途端、やけに慎重になる。好意は伝わってくるのに、「距離があるから付き合うのはわかんない」と曖昧にブレーキを踏む。過去に浮気をされた話、自信がない発言、「気持ちに寄り添ってほしい」と甘えるような言い方や突然の電話、遠距離じゃなくなかったらずっと一緒にいたい発言。
かと思えば、急に連絡がなくなったりもする。寂しがり屋で、かまってちゃんで、常にどこかで孤独感を抱えている感じがした。
決定的な「好き」を言ってくれない不安
愛情は伝わってくる。でも、彼が決定的な「好き」を言ってくれない。
「遠距離は絶対に無理」とか言うからそれなら、私たちは成立しなくない?とも思うし、私以外にも優しいから「勘違いなのかな」「結局遊び?」って急に自信がなくなったりもした。だから私も「すき」を隠してしまう。そんなつもりじゃなかったとか言われたら怖いから動けなくて。
好きになってもいいのかな。そんな気持ちを抱えながら、私たちは毎日メッセージを交わし、電話を続けた。
でも、小さなシグナルが積み重なっていった。
強く誘ってくるのに、私がすぐ返事をしないと少しテンションが下がる気配。「なにしてんの?」という連絡や突然の電話。私に期待して、ささいなことで落胆する振れ幅。「それ興味ない」と扉を閉じる言い方。でも、言えば変えられる素直さもある。
「好きだけど、距離があるから付き合うのはわかんない」と安全距離を確かめる慎重さ。ふっと連絡がなくなる夜。私が気持ちに素直になった翌日ほど、静かになる。
ふと彼に「なんか寂しそうだよね」といったら、彼は「常に孤独感がある」と自分で言った。その言葉を聞いて、私は似た感覚を覚えた。
「あ、同じだ」と思った瞬間
決定的だったのは、連絡のリズムが少し落ちた頃だった。私の心が彼に寄っていくのと反比例するみたいに、彼の足取りが慎重になっていった。前のめりに来ていた人が、一歩ひいて呼吸を整える感じ。私が「この人を信じてみてもいいかも」と思った、そのタイミングで。
スマホを見つめながら、ふっと笑ってしまった。自分を見るみたいだったから。
「あ、同じだ」
私が怖くなる場面で、彼も怖くなる。私が距離を取りたくなるタイミングで、彼は安心を確認したくなる。私たちは、根っこの「傷」が似ているのかもしれない。
感情が高ぶった相手の前で、私は言葉が出なくなる。胸がきゅっと詰まって、口が閉じる。逃げたくなる。彼の慎重さや寂しさに触れるたび、私の回避のスイッチも反応してしまう。
お互いを理解しようとする努力
「連絡頻度が少ないの嫌?」と私が聞いたとき、彼は「返したいときに返してくれてるんだなーって思ってる」と笑った。その答えに少し安心した。
彼の過去の話を聞いて以来、私は否定をやめるようにした。すぐに正すのではなく、まず寄り添う。「そう感じるの、わかるよ」と言ってから、「私はこう思う」を小さく足す。すると彼の表情が和らいでいくのがわかった。
今の私たちは、毎日メッセージを交わし、週に二度くらい電話で声を聞いている。遠距離だけど、安心の下地は少しずつ厚くなっている気がする。
私が見つけた安全基地と、新しい決意
気づいたからといって、すべてが楽になるわけではない。彼の中の寂しさが顔を出す夜もあるし、私の回避が出てくる朝もある。でも、責め合う代わりに理解しようとすることができるようになった。
彼が急に慎重になるとき、「怖いのは私だけじゃない」と思い出す。私が黙ってしまうとき、「いまは言葉を探しているだけ」と自分に言う。
そして何より、彼が私に本気でぶつかってきて向き合い続けてくれたおかげで、少し自分のことが好きになれた気がするし、肯定できるようになった。常に味方でいてくれる理解者ができた気持ち。これは紛れもない事実だった。
回避型の私にとって、ずっと求めていた安全基地が彼だった。
だから、今度は私が彼の安心できる存在になろうと思った。弱音を吐くのが苦手なはずなのに、彼は私を頼ってくれる。だからもっと彼の気持ちを理解したい。
過去にたくさん裏切られてきて傷ついてきた彼に、すぐに私を信じてなんて無責任なことは言えない。でも、今まで出会った人とは違うって、時間がかかってもいいから証明したかった。これからは私が彼を幸せにしたい。
一人にしたくないし、一人にできない。そんな感情が芽生えていた。背負ってる恐怖や不安を、私に半分分けてくれてもいいよ。自信がつくまで私が一緒にいるから。そんな気持ちだった。
この気づきのあと、ひょんなことから仕事が決まって、彼の地元に行くことになった。やっと会えるんだ。という気持ちでいっぱいだった。
なのに、まさか喧嘩になるなんて。
そこで気付いた彼との向き合い方のコツをあわせて公開予定。
