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レポート:NPO法人U Journey 設立記念イベント|意識に基づくシステムチェンジ~Attention→Intention→Agencyで可能性の未来を引き寄せる

本記事は、NPO法人U Journeyが主催した法人設立イベント『意識に基づくシステムチェンジ~Attention→Intention→Agencyで可能性の未来を引き寄せる』についてレポートしたものです。

NPO法人U Journeyは今年2024年8月に設立された、U理論(Theory U)の普及啓発・社会実装のための新たなイニシアチブです。

設立記念イベント当日には、中土井僚さんオーセンティックワークス株式会社)と小田理一郎さん有限会社チェンジ・エージェントのお二人がゲストとして登壇され、当日集ったU Journeyの皆さん、参加者の皆さんのこれからの旅路に向けた話題提供をいただきました。

中土井僚さんはU理論提唱者オットー・シャーマー博士(C.Otto Sharmer)の書籍の邦訳出版等を通じて国内企業・ビジネス領域へとU理論を紹介してきた第一人者であり、イベント当日にはU Journeyの顧問に就任されたとお話しされていました。

小田理一郎さんはオットー・シャーマー博士との関わりも深いピーター・M・センゲ氏(Peter M, Senge)が提唱し、システム思考(System Thinking)を企業でのマネジメントに取り入れた体系学習する組織(Learning Organization)の国内への紹介を行われてきた第一人者であり、当日はご自身の現在の活動に至る旅路についてもご紹介いただきました。

以下、今回のイベントを通じて得た気づき・学びや、印象的だったトピックなどについてまとめたいと思います。


U理論(Theory U)

U理論(Theory U)とは?

U理論(Theory U)』とは、2000年にマサチューセッツ工科大学のC.オットー・シャーマー博士(C.Otto Sharmer)が発表した論文『Presencing: Learning From the Future As It Emerges』の中で紹介されたプレゼンシング(Presencing)という概念及びプロセスを体系化した理論です。

オットー・シャーマー博士及び彼の同僚は「あなたの仕事の根底にある問いは何ですか?」という問いから始まるインタビューを学者、起業家、ビジネスパーソン、発明家、科学者、教育者、芸術家など約130名の革新的なリーダーたちに対して行う研究を行いました。

そしてその研究から、繰り返されてきた過去のパターンの延長線上ではなく「出現する未来」から学び、行動することから個人・組織・コミュニティ・社会で変容・イノベーションを生み出す原理と実践の理論体系……U理論(Theory U)の体系化に至ります。

参照:Theory U - Wikipedia

U理論の国内における広がり

U理論(Theory U)は2006年、『出現する未来(原題:Presence)』(講談社)の邦訳出版以降、少しずつ国内において知られ始めました。

ピーター・M・センゲ(Peter M, Senge)オットー・シャーマー博士
ジョセフ・ジャウォースキー(Joseph Jaworski)ベティ・スー・フラワーズ(Betty Sue Flowers)の4名によって著された本書ですが、オットー・シャーマー博士は本書の出版以前からさまざまな場面でこの共著者らと協働してきました。

以下、U Journey設立記念イベント中に取り上げられたトピックに関連して、『出現する未来(原題:Presence)』出版までの流れを簡単にまとめたものです。

1990年8月
ピーター・M・センゲがThe Fifth Disciplineを出版。

1991年9月
ロイヤル・ダッチ・シェル社(現シェル社)の戦略企画部門に所属していたアダム・カヘンAdam Kahane)が、南アフリカの民族和解を推進するモンフルー・シナリオ・プロジェクトにファシリテーターとして参画。
アダム・カヘンにとってジョセフ・ジャウォースキー氏は当時、社外採用の同僚に当たる存在だった。
このプロジェクト以降、アダム・カヘンは企業・政府における問題解決プロセスのオーガナイザー兼ファシリテーターとしての活動を開始する。

1993年
アダム・カヘンがシェルを退職し、ジェネロン・コンサルティング(Generon Consulting)を設立。ジョセフ・ジャウォースキー氏とハノーバー保険元社長ビル・オブライエン氏(Bill O’Brien)がパートナーとして、オットー・シャーマー博士がリサーチパートナーとして参画。

1995年6月
ピーター・M・センゲ著『The Fifth Discipline』が『最強組織の法則』として邦訳出版(『The Fifth Discipline』増補改訂版が2011年6月に『学習する組織』として出版。小田理一郎さんが翻訳者として参加)。

1997年4月
ピーター・M・センゲ氏がSoL(The Society for Organizational Learning:組織学習協会)を設立。(後にSoLジャパンが地域コミュニティとして立ち上がり、現在、小田理一郎さんはGlobal SoLの理事、SoLジャパンの理事長を務めている)

2000年1月
オットー・シャーマー博士が『Presencing: Learning From the Future As It Emerges』を発表。
本論文の発表に際し、ピーター・M・センゲ、ジョセフ・ジャウォースキー、アダム・カヘンをはじめとする協働パートナーや、『知識創造企業』著者・野中郁次郎、組織心理学の第一人者エドガー・H・シャインEdgar Henry Schein)、組織開発の大家ビル・トルバートBill Tolbert)らへ協力に対する謝辞を述べている。

2001年1月
オットー・シャーマー博士、ピーター・M・センゲが共同執筆した『Community Action Research1』が、『Handbook of Action Research』に寄稿される。

2004年8月
アダム・カヘンが『Solving Tough Problems(邦題:それでも、対話を始めよう)』出版。
オットー・シャーマー博士が後に自身の書籍で紹介することとなる3つの複雑性(ダイナミックな複雑性、社会的な複雑性、生成的な複雑性)や、4つの話し方・聞き方について紹介している。また、本書の序文はピーター・M・センゲが担当している。

2005年8月
ピーター・M・センゲ、C.オットー・シャーマー、ジョセフ・ジャウォースキー、ベティ・スー・フラワーズの4名の共著で『Precense』が出版され、翌年2006年5月に『出現する未来』として邦訳出版される。

この後、オットー・シャーマー博士は2007年に『Theory U: Leading from the Future as It Emerges』を出版し、2010年11月に中土井僚さん、由佐美加子さんらの翻訳によって『U理論―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』が英治出版より出版されます。

この、2010年の『U理論』(英治出版)出版をきっかけに、U理論は本格的に国内へと紹介されていくこととなります。

中土井僚さん、由佐美加子さんのお二人はその後も継続的にオットー・シャーマー博士の著作の翻訳出版を続けられ、現在、邦訳出版されているU理論関連書籍には、以下の5冊が挙げられます。

『出現する未来』
『U理論―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』
『出現する未来から導く―U理論で自己と組織、社会のシステムを変革する』
『U理論[第二版]―過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術』
『U理論[エッセンシャル版]―人と組織のあり方を根本から問い直し、新たな未来を創造する』

イベント当日のプログラム構成

設立記念イベント冒頭には、台湾、フィリピン、インドネシア、オーストラリアのグローバルコミュニティの実践者や、U理論提唱者オットー・シャーマー博士からのビデオメッセージが紹介され、国際的なコミュニティからの祝福ムードの中、U Journey設立記念イベントは開始されました。

NPO法人U Journeyとは、Presencing Instituteの学習プラットフォームu-schoolが提供する「u-lab」で出会った参加者たちの有志のチームによって結成されたU理論普及啓発・実践のイニシアチブです。

U Journey共同代表・鳥居正年さんによる設立趣旨、事業内容等についての紹介の後、中土井僚さん、小田理一郎さんのお二人によるお話をいただき、その後は集まった皆さんでのグループ対話やネットワーキングの時間が設けられました。

以下、中土井僚さんのお話、小田理一郎さんのお話についてもごく簡単にまとめられればと思います。

中土井僚さんのお話

僚さんからは、個人と組織におけるU理論の実践という観点からお話をいただきました。

その中で扱われたテーマは、ご自身がU理論に出会われた背景と、オットー・シャーマー博士の述べる3つの分断の大きく2つです。

3つの分断とはすなわち、人と自然の分断であるEcological Divide、私と他者との分断であるSocial Divide、自分自身との分断であるSpiritual Divideです。

まず、僚さんはご自身の経験を振り返りながら、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を退職され、その後2社を経る中でコーチングに出会い、「これが自分のやりたいことだ」と傾倒していったと言います。

「自分の傷つきや痛みに向き合い、内面を深掘りすると、手放すべきものが出てくる。そして、手放すことで新しいものが現れる」

この感覚はU理論に出会う以前から僚さんの中に実感として存在し、また、クライアントにコーチングを提供していく中でも、この感覚に手応えを感じられていました。

こうした経験を重ねる中で僚さんはU理論のモデル図に出会い、「自分はこのU理論を国内に紹介することになるだろう」と確信されたそうです。

参照:Theory U - Wikipedia

この時、僚さんはオットー・シャーマー博士や現在のU Journeyが志向する社会変革やソーシャル・チェンジに直接生かす実践として紹介するのではなく、ビジネスや企業の世界に浸透させるというアプローチを選んだとお話しされていたのが印象的でした。

なぜなら、当時の日本社会にはU理論の実践のための社会的な合意や文脈、共通認識は存在していなかったため、まず、日本社会においてメインストリームとなっているビジネスや企業の世界でU理論という言語がグランドセオリーとして認知されるように意識されていた、とのことでした。

僚さんがこれまでビジネスや企業の世界でリーダーシップ開発、組織開発の領域で取り組んでこられた個人と組織におけるU理論の実践は、いわば私と他者との分断であるSocial Divide、自分自身との分断であるSpiritual Divideを統合していくアプローチと考えられるものです。

そして、U Journeyの設立と今後の展開は、これまでの流れを汲んだ上でさらに、人と自然の分断であるEcological Divideの統合に向かう一歩となっていくのではないか?と僚さんはメッセージを投げかけられていました。

小田理一郎さんのお話

小田理一郎さんからは、ご自身のサステナビリティ分野における活動のきっかけと、その分野での活動がいかにオットー・シャーマー博士やU理論に合流することに繋がったのかについてお話しいただきました。

まず、小田さんがサステナビリティに関心を持つようになったきっかけは、ドネラ・メドウズDonella Meadows)の原案に端を発した『世界がもし100人の村だったら』のチェーンメールだったと言います。

当時、このメッセージを知った小田さんは「会社員をやってる場合じゃない」と思い立ち、2002年以降、サステナビリティの活動に取り組み始められたとのことでした。

ドネラ・メドウズは『成長の限界』の主著者であると共にシステム思考(System Thinking)の実践者・紹介者であり、2001年に急逝された以降も彼女の友人のピーター・M・センゲ、教え子であるジョン・D・スターマン(John Sterman)をはじめとする実践者たちが彼女の遺志を引き継がれています。

小田さんは2000年代初頭、「学習する組織」実践の普及のためにピーター・M・センゲ氏が設立したSoL(組織学習協会)を手伝うようになっていたことと並行し、食糧問題やサステナブル・フード・ラボ(Sustainable Food Lab)での活動の中などでハル・ハミルトン(Hal Hamilton)やアダム・カヘン氏らとの交流、オットー・シャーマー氏とのご縁が生まれていったとのことです。

以上のような小田さんの旅路については、以下のアダム・カヘン著『それでも、対話をはじめよう』の訳者解説においても、その一端が紹介されています。

そして現在、SDGsSustainable Development Goals)の実現のため、人々の内面からのアプローチを強化する枠組みであるIDGsInner Development Goals)への注目も集まる中、私たちはどのような旅路に一歩踏み出そうか?という問いかけで小田さんのお話は締め括られました。

当日の印象的な気づき・学び

ここからはU Journey設立記念イベント当日の気づきや学びで印象的だったものを4つ、ご紹介できればと思います。

変容を導くエッセンスとしての「慈しみ」

U Journey設立記念イベント当日、中土井僚さん、小田理一郎さんのお話の後、U Journeyのメンバーからお二人への問いかけの時間が設けられていました。

その時、まず印象に残ったものが「今の時代、私たちが深い変容を導くために何を大切にすべきか?」といった問いに対する小田さんの回答でした。

小田さんはここで自分、家族、地域、組織、社会において「caring」……「慈しむこと」が広がることが原動力になりうるのではないか、とお話しされていました。

自分自身を慈しむことから始め、それが家族、地域、組織、社会へ広げていくこと……もし、それが難しい場合は傷つきや痛みがあるのかもしれない。

それらを癒し、乗り越え、無理にではなく少しずつ広げていくこと。

そして、対象をコントロールしようとするのではなく、答えを予め持つのではなく、意図と問い、慈しみの姿勢を持ち続けること。

こうした姿勢が変容を導くのではないか、といったように小田さんはお話しされており、とても温かく力強いメッセージとして伝わってきました。

「システムの一部である」という認識・実感

続いてお二人には、「U理論をはじめとする手法・哲学をお二人はどのように日々の実践に活かされていますか?」といった問いが投げかけられていました。

ここで印象的だったのは、僚さんの回答です。

まず、僚さんはU理論に出会ってよかったと感じたことは、プレゼンシング(Precensing)ではなくセンシング(Sensing)についての洞察だったとお話しされていました。

参照:Theory U - Wikipedia

センシング(Sensing)の状態について、僚さんはご自身の書籍内で以下のように表現されています。

「感じ取る(センシング)」は、「過去の経験によって培われた枠組みが崩壊し、枠組みを超えた側から今の自分や状況が見えている状態」です。

『人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門』p168

この状態は、自分自身がシステムを内側から観ている状態であり、自身を取り巻く「より大きなシステムの一部である」ことを実感している状態でもあります。

そして、システムの一部として認識できていないと感じた時、話の主語が他者になっていたり、他責思考になっているなどシグナルを受け取ることとなります。

僚さんご自身は日々の実践の中でこのセンシング(Sensing)の状態に移行することを心がけており、センシング(Sensing)に移行した際の「自分はシステムの一部である」という認識を得られたことは、人生にとって貴重な学びだったとお話しされていました。

システムの話題に関連しては、小田さんも「人ではなく構造を見る」視座を持つことで、「あなたのせいじゃない。自己責任でもない。そうさせてしまう構造があるんだ」という発想を持ち、課題に対してアプローチできるようになったとお話しされていました。

U理論を日々、実践するためには?

最後、ブレイクアウトルーム内で参加者同士の対話の時間が設けられましたが、この時のテーマは「U理論、実践するってどうやればいいんだろう?難しくないですか?」というものでした。

ここで私は、小田さんもお話の途中で紹介されていた、話し方・聞き方の4つのモードが、U理論の日々の実践のヒントになるのではないか?と投げかけてみました。

話し方・聞き方の4つのモードとは、以下のようなものです。

ダウンローディング(Downloading)
人々が、普段自分が言っていること・考えてることを、録音されたものをそのまま再生するようにコミュニケーションを取っている、また、礼儀正しく予測的に話す状態。儀礼的会話(Talking Nice)とも称される段階。

討論(Debating)
自分や相手の意見、考え方をオープンに話す・聞く、また、率直に自分の本音を話すが、合理的・客観的に判断するように聞いたり、相手の意見は聞き入れない状態。論争(Talking Tough)とも称される段階。

対話(Dialoguing)
自己の体験や本心を話し、相手の立場や考えを受け入れながら共感的に聞く、また、内省的に話し、聴いている状態。内省的な対話(Reflective Dialogue)とも称される段階。

プレゼンシング(Precensing)
その場で話されていること全体や、今、その瞬間に現れようとしているものやプロセスに真摯に耳を澄ませ、感じ取り、表現している状態。生成的な対話(Generative Dialogue)とも称される段階。

アダム・カヘン『それでも、対話を始めよう』(英治出版)
C.オットー・シャーマー『U理論[第二版]』(英治出版)
Leadership in the New Economy: Sensing and Actualizing Emerging Futures
Facilitating Breakthrough: How to Remove Obstacles, Bridge Differences, and Move Forward Together
上記の参考文献をもとに作成

また、家族内や職場などでの実践に関して、パートナーのどちらかだけがU理論を知っている場合や相手の理解が得られないなど実践が難しい場合は、今回のような仲間同士で対話し、どう日常に活かしていくか考えていける繋がりも大事ではないか?というお話も対話の中で生まれていました。

U Journey共同代表・鳥居正年さんのお話

最後に紹介したいのは、U Journey共同代表・鳥居正年さんにお話しいただいたNPO法人設立に至るまでのプロセスです。

まず、鳥居さんの一連の旅路のきっかけは、2017年に上海で開催されるプログラムに参加を決めたことだったと言います。

そのプログラムは、オットー・シャーマー博士ご自身がファシリテーションする最後の機会と紹介されていたそうで、「オットー本人に会いたい」という思いから参加を決められたとのことでした。

そして参加後、「日本にオットーを招きたい」という感覚が残り、仲間たちと実現に向けて何度も打ち合わせをしていたものの、一旦その動きは休止状態になってしまったと言います。

そして2018年。日本において「u-lab」の実施をリードしてきたお二人が運営から退くことになり、「これを引き継がないと」と恐る恐る手を挙げ、仲間はいないかと募ったところ通訳に福島由美さんが名乗りをあげてくれ、2019年以降は新しい体制でのスタートを切ったとのことでした。

2020年以降は英語でのライブセッションから間を置かずに、よりストイックに短いスパンで日本語プログラムの提供を行うようになり、「ステージが変わったように」感じられたとのことでした。

会の初めに鳥居さんからこのような背景について伺いましたが、その内容が私自身が現在、探求・実践を進めているソース原理(Source Principle)というものと響き合うものを感じられました。

ソース原理とは、ピーター・カーニック氏Peter Koenigによって提唱された、人の創造性の源泉、創造性の源泉に伴う権威影響力創造的なコラボレーションに関する洞察・知見の体系です。

ソース原理に関する著作は現在、2冊が邦訳出版されており、トム・ニクソン著『すべては1人から始まる』は日本の人事部「HRアワード2023」書籍部門にて入賞を果たすなど、その注目を高めつつあります。

トム・ニクソン『すべては1人から始まる』
ステファン・メルケルバッハ『ソース原理[入門+探求ガイド]』

そして、ソース原理におけるソース(Source)とは、あるアイデアを実現するために、最初の個人がリスクを取り、初めの無防備な一歩を踏み出したときに自然に生まれる役割を指し、日常レベルの小さな取り組みから社会を変えるプロジェクトに至るまで、誰もがさまざまな形でソース(創造の源)になり得ます。

鳥居さんが「オットーに会いたい」という一心から上海のプログラムへ向かったことや、「u-lab」継続の危機から恐る恐るでも手を挙げ、自らリスクを取って一歩踏み出されたこと、それによって新たに協力者が現れたことなども、鳥居さんがソースとして振る舞ったことで生まれたことだったのかもしれないと個人的には感じられました。

今回ご一緒した小田理一郎さんも昨年4月にソース原理の提唱者ピーター・カーニック氏と対談されており、このことも今回、ソース原理が思い浮かんだきっかけかもしれません。

終わりに

以上、NPO法人U Journeyの法人設立イベントについてまとめてきました。

今回のイベントはつい先日、オーセンティックワークス株式会社主催で実施された、中土井僚『人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門』出版10周年記念特別イベントの中で初めて知ったのですが、今回のイベントもまた気づきや学びの多い時間になりました。

私自身のU理論の探求については先日のイベントのレポートの中にまとめましたが、今回のU Journey設立記念イベントはU Journeyの皆さん、中土井僚さん、小田理一郎さんなど複数の文脈にまたがった皆さんが集う会になったため、U理論の周辺のさまざまな関係者や取り組みについても視野を広げ、レポートをまとめていくこととなりました。

本記事の『U理論の国内における広がり』の章の中で、1990年のThe Fifth Discipline出版から2024年現在までを追うことになったわけですが、まさしく「より大きなシステム」に私自身も参加している感覚が得られたように思います。

30数年余りのさまざまな人々の取り組みの積み重ねが織物のように連なって今回の企画に繋がっているように感じられたのと同時に、連綿と続いてきたこのプロセスを受け継ぎ伝えていくことの尊さや、「人と組織の創造性やポテンシャルを発揮するための智慧を次世代に届けていくこと」という私の人生の旅路の意味にも深く繋がれたように感じました。

これからもU理論、学習する組織のほか、さまざまな「人と組織の創造性やポテンシャルを発揮するための智慧」を継続的に取り上げて発信し、それらの智慧が少しずつ社会へ浸透し、何世代先にも実践され、届いていくようなイメージを持ちながら活動を続けていければと思います。

また、今回のイベントにおいても現在の私の探求テーマであるソース原理(Source Principle)なども想起され、これまでの探求プロセスと現在の私が合流するような、不思議な感覚を感じていました。

この度、私がU Journeyの法人設立記念イベントに立ち会ったことで、そしてその後、このレポートをまとめたことでどのようなプロセスが生起していくのかはまだわかりませんが、これから先の展開が楽しみです。

今回のレポートがU理論に初めて触れる方にとっても、これまで長年実践を続けられてきたという方にとっても、新たな気づきの種や探求の一助になれば幸いです。

さらなる探求のための参考リンク

【まとめ】U理論を学ぶプラットフォーム「u-school」には、どんな学習プログラムやリソースがある?|NPO法人U Journey

SSIR-Jの伝説のアーティクル(3)「システムリーダーシップの夜明け」|チェンジ・エージェント

身体感覚を通じてシステム変容に迫る〜U理論と身体知性を組み合わせたSPTとは?〜|Ecological Memes

『場から未来を描き出す』のC・オットー・シャーマー(『U理論』著者)による序文を全文公開します。|英治出版オンライン


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