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ダニエル書の終末預言──七年間に多くの者と契約する「彼」とは誰?

【ダニエル書 9章27節】
彼は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶでしょう。そして彼はその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃するでしょう。

また荒す者が憎むべき者の翼に乗って来るでしょう。こうしてついにその定まった終りが、その荒す者の上に注がれるのです」。

口語訳聖書

① 彼は 一週の間多くの者●●●●と 契約を結ぶ
② 彼は 週の半ばに 犠牲と供え物とを廃す
③ 荒す者が 憎むべき者の翼に乗って 来る
④ 終りが その荒す者の上に 注がれる


多くの者と契約を結ぶ「彼」とは誰か?


ダニエル9章27節は、一般的に終末期の預言と理解されます。
この一週とは七年のことで、終末期の七年間を意味しています。

多くの者と契約を結ぶ「彼」とは誰か?

📌この記事では──
「彼」がキリストであることを証明し、終末期に多くの者と契約を結ぶストーリーを示します


1|複数の解釈


この「彼」については、実は複数の解釈があります。
代表的な解釈を三つ紹介します。

① 反キリストとする解釈

「契約を結ぶ彼」を終末期に現れる反キリストとする解釈です。
反キリストとは神に背く人物や勢力を指します。

② 歴史的な解釈

イスラエルの歴史と関連づける解釈で「契約を結ぶ彼」を古代の支配者や特定の王と見る解釈です。一般的には、ローマ皇帝を指します。

③ キリストとする解釈

「契約を結ぶ彼」を終末期のキリストとする解釈です。


福音派を中心とした教会では、多くの場合、①の解釈をとっています。
実際、聖書にはどう書かれているのか丁寧に読んでみましょう。


2|神学論争ではなく、読解力の問題


「彼」とは人称代名詞

「彼」とは人称代名詞ですので「彼」に対応する元の名詞(人物)が文中にあるのです。27節の「彼」が何を指すのか、該当箇所を読んでみましょう。

以下は、口語訳こうごやく聖書です。
24節から27節までを示します。


ダニエル書 9章24~27節【口語訳】

  • 24節:あなたの民と、あなたの聖なる町については、七十週が定められています。これはとがを終らせ、罪に終りを告げ、不義をあがない、永遠の義をもたらし、幻と預言者を封じ、いと聖なる者に油を注ぐためです。

  • 25節:それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりのきみが来るまで、七週と六十二週あることを知り、かつ悟りなさい。その間に、しかも不安な時代に、エルサレムは広場と街路とをもって、建て直されるでしょう。

  • 26節:その六十二週の後にメシヤは断たれるでしょう。ただし自分のためにではありません。またきたるべききみの民は、町と聖所とを滅ぼすでしょう。その終りは洪水のように臨むでしょう。そしてその終りまで戦争が続き、荒廃は定められています。

  • 27節:は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶでしょう。そしてはその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃するでしょう。また荒す者憎むべき者の翼に乗って来るでしょう。こうしてついにその定まった終りが、その荒す者の上に注がれるのです」。


27節の「彼」に対応するのは、何でしょうか

人称代名詞に対応しそうなのは、25節の「メシヤなるひとりのきみ」。それと26節の「メシヤ」。これらは同一だと分かりますね。
その他は、「きたるべききみの民」と27節の「彼」の後にある「荒す者」「憎むべき者」ですね。

①「メシヤなるひとりの君」「メシヤ」
②「きたるべき君の民」
③「荒す者」
④「憎むべき者」


27節をご覧ください。

27節 彼は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶでしょう。そしてはその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃するでしょう。

また荒す者憎むべき者の翼に乗って来るでしょう。こうしてついにその定まった終りが、その荒す者の上に注がれるのです」。

「彼」に該当しないものを消去していきます。

まず、「彼」が「荒す者」である可能性はありませんね。
なぜなら、27節の前段で「彼」について述べており、その直後に「また荒す者が~来る」とあるため、「彼」は既に居るのに、また来るというのでは辻褄が合いません。
「荒す者」と「彼」とは別人だと分かります。

「憎むべき者」についても、27節前段で「彼」と言っているのだから、憎むべき者が彼であるなら、「彼の翼に乗ってくる」でいいわけです。よって、「憎むべき者」も「彼」ではありません。

「彼」とは別に「荒す者」と「憎むべき者」が存在するということです。

次に、ふたつのきみです。
きみ」とは、王(王子)のことです。
「メシアなるひとりの」とは、イエス・キリストのことです。

「きたるべきの民」は、町と聖所とを滅ぼすとあり、これは歴史的解釈では一世紀当時のローマ皇帝の民(ローマ兵)を、終末的には反キリスト勢力を指すとされますが、そうでしょうか。

25節 それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、七週と六十二週あることを知り、かつ悟りなさい。

25節に「メシヤなるひとりの君が来る」とあります。
「きたるべき君」とは、メシヤのことです。その民ということなので、「きたるべき君の民」とは、メシヤの民、つまり、信仰者です。

26節 その六十二週の後にメシヤは断たれるでしょう。ただし自分のためにではありません。

またきたるべき君の民は、町と聖所とを滅ぼすでしょう。その終りは洪水のように臨むでしょう。そしてその終りまで戦争が続き、荒廃は定められています

26節は、きたるべき君の民(信仰者)が、町や聖所を滅ぼすと言っているのです。
これは信仰者であるが町や聖所を滅ぼすのだから、この「民」は、背教の信仰者(惑わされた信者、堕ちた信者を含む)を指しています。

歴史的には、一世紀のユダヤ人の反乱によって、町と聖所を滅ぼすことになりました。
終末的には、メシヤが絶たれた後(キリスト磔刑たっけいの後)、ノア洪水のように臨む終わりの時まで、不特定多数の背教の信仰者が現れ、聖所(=信仰者自身)を汚し荒廃する、ということでしょう。

意味解釈はさておき、一旦、整理します。

「メシアなるひとりの君」「メシヤ」「きたるべき君」。これらは、すべて同一人物で、イエス・キリストのことです。

①「メシヤなるひとりの君」「メシヤ」「きたるべき君」=イエス・キリスト
②「きたるべき君の民」=不特定多数の信仰者(後に背教する)
③「荒す者」
④「憎むべき者」

①と②に絞れました。続けましょう。

27節 彼は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶでしょう。そしてはその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃するでしょう。

また荒す者が憎むべき者の翼に乗って来るでしょう。こうしてついにその定まった終りが、その荒す者の上に注がれるのです」。

「彼」は、①イエス・キリストか、②不特定多数の信仰者か、どちらでしょう。
もうお分かりだと思いますが、「彼」とは、イエス・キリストですね。

要するにこの節は、
イエス・キリストが、一週の間、多くの者と契約を結び、その週の半ばに犠牲と供え物を廃止する。
すると、荒す者が憎むべき者の翼に乗って来るが、定められた終わりの裁きが、その荒す者の上に注がれる。

と読み取れます。


以下に、「彼=イエス・キリスト」とする解釈によるストーリーを示します。


3|正しい解釈によるストーリー


① 彼は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶ

  • 「彼」とは、「メシアなるひとりの君」「メシヤ」「きたるべき君」であり、イエス・キリストを指します。

  • 「一週」とは、キリスト再臨までの七年間です。

  • 「契約を結ぶ」とは、キリストが世の人々、特に神の民神と共に戦う者=イスラエルと結ぶ契約を指します。

この契約は、まずはキリストの弟子たちに与えられます
その後、多くの人々と結ぶ血の契約を意味します。

【マルコによる福音書 14章22-25節】
一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、
「取れ、これはわたしのからだである」。
また杯を取り、感謝して彼らに与えられると、一同はその杯から飲んだ。

イエスはまた言われた、
これは、多くの人のために流すわたしの契約の血である。
あなたがたによく言っておく。
神の国で新しく飲むその日までは、わたしは決して二度と、ぶどうの実から造ったものを飲むことをしない」。


② そして彼はその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃する

終末的には、反キリストや偽キリストに対する献身(犠牲と供え物)をやめさせると解釈できます。
キリストが多くの者と真の契約を結び、長らく続いていた「荒す憎むべき者」への献身的行為(物質的な犠牲や供え物はもちろん霊的なものも含む)をやめさせます。
これらの無意味な犠牲を廃し、神への真の礼拝が復興されるのです。


まとめ

【ダニエル書 9章27節】※括弧内は筆者による。
彼(イエス・キリスト)は一週の間(七年間)多くの者(世の中の人々)と、堅く契約(キリストの血の契約)を結ぶでしょう。

そして彼(イエス・キリスト)はその週の半ば(約三年半後)に、犠牲と供え物と(反キリストや偽キリストへの献身)を廃する(やめさせる)でしょう。

また荒す者(反キリスト=政治的勢力)が憎むべき者(偽キリスト=宗教的勢力)の翼に乗って来る(共に支配しようとする)でしょう。

こうしてついに(西暦2028年)その定まった終り(神の大いなる日の裁き)が、その荒す者(反キリスト=政治的勢力)の上に注がれるのです。


この預言の七年間は、既に始まっていると考えています。

2021年春からこの七年間が始まっており、その半ばごろには、キリストと契約を結んだ者には反キリストや偽キリストへの献身的行為をやめさせるでしょう。
これには、真の神への真の礼拝の復興が含まれます。

すると、政治勢力は宗教勢力と共に、キリストと契約を結んだ者(真の信仰者)を惑わし支配しようとします(マタイ24章24節)。
これが終末期の大患難を構成する苦難となるでしょう。

最終的には、反キリストの上に裁きが下ります。


おまけ


間違った解釈の原因は翻訳にある!?

翻訳によって解釈が間違えたのか、解釈の間違いが翻訳を狂わせたのかは分かりませんが、翻訳によるミスリードがあるようです。

【聖書協会共同訳2018】
26 六十二週の後、油注がれた者は絶たれ彼には何も残らない。都と聖所を次の君主の民が破壊する。その終わりに洪水があり戦いの終わりまで、荒廃が定められている。

【フランシスコ会訳2013】
26 六十二週の後、油注がれた者は絶たれ、彼にはない。次に来る指導者の民によって都と聖所は荒らされる。その終わりは洪水。戦いの終わりまで荒廃が定められている。

【新共同訳1987】
26 その六十二週のあと油注がれた者は不当に断たれ都と聖所は次に来る指導者の民によって荒らされる。その終わりには洪水があり終わりまで戦いが続き荒廃は避けられない。

【新改訳1970】
26 その六十二週の後、油そそがれた者は断たれ、彼には何も残らない。やがて来たるべき君主の民が町と聖所を破壊する。その終わりには洪水が起こり、その終わ りまで戦いが続いて、荒廃が定められている。

【文語訳1917】
26 その六十二週の後にメッシャ絶れん但し是は自己のために非ざるなりまた一人の君の民きたりて邑と聖所とを毀たんその終は洪水に由れる如くなるべし戰爭の終るまでに荒蕪すでに極る


以上の聖書は、26節の「きたるべき君の民」とすべきところを、次のとおり翻訳をしています。

次の君主の民」聖書協会共同訳2018
次に来る指導者の民」フランシスコ会訳2013
次に来る指導者の民」新共同訳1987
「来たるべき君主の民」新改訳1970※
一人の君の民」文語訳1917

※新改訳は、2017年版で「次に来る君主の民」に翻訳が変更になっています。

次の君主」「次に来る指導者」「次に来る君主」では、解釈が変わりますね。これらの聖書を読んでいる人が本来の意味を捉えられないのは残念です。


原語(ヘブライ語)から確認する

ヘブライ語のリンクとKing James Version (KJV)と貼り付けします。
ご覧いただきご自身で判断してください。

King James Version(KJV)
Dan 9:26 And after threescore and two weeks shall Messiah be cut off, but not for himself: and the people of the prince that shall come shall destroy the city and the sanctuary; and the end thereof shall be with a flood, and unto the end of the war desolations are determined.

Google翻訳
ダニエル 9:26 そして、七十二週の後、メシアは断たれるが、それは彼自身のためではない。そして、来たるべき王子の民が町と聖所を滅ぼす。その終わりは洪水で、戦争の終わりまで荒廃が定められている。


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