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No.5【2026年10月改正・経営判断編】改正後も借上社宅制度は有利なのか?

― 制度のメリットは変わらない。ただし、制度設計はこれまで以上に重要になる ―


※本記事は借上社宅制度の改正に関する解説です。

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【ご留意事項】
本記事は、借上社宅制度に関する一般的な情報提供および制度理解を目的として作成しています。記載内容は、一般的な制度上の考え方や実務上の整理を説明するものであり、特定の状況に対する税務・法務・労務上の判断、助言または保証を行うものではありません。
 
実際の運用にあたっては、会社ごとの制度設計・契約内容・運用実態等によって取扱いが異なる場合があります。個別案件については、必ず税理士、社会保険労務士、弁護士、または管轄の行政機関等へご確認・ご相談ください。
 
また、制度改正や行政解釈等により、将来的に取扱いが変更される可能性があります。最新情報については、国税庁・厚生労働省等の公表情報をご確認ください。
内容の正確性には十分配慮しておりますが、本記事に基づいて生じたいかなる損害等についても責任を負いかねます。



■ はじめに

現物給与評価が変わると、借上社宅制度は意味がなくなるのか?
2026年10月から、
社会保険における住宅の現物給与評価方法が見直されます。
 
この改正を知った経営者や人事担当者の中には、
 ・「借上社宅制度はもうメリットがないのでは?」
 ・「制度を廃止した方がよいのでは?」
 ・「住宅手当に戻した方が簡単では?」
と考える方もいるかもしれません。
 
しかし、結論から言えば、そのように考える必要はありません。
借上社宅制度そのもののメリットは、
今回の改正によって大きく失われるわけではありません。

 
一方で、
制度をどのように設計し、運用するかは、これまで以上に重要になります。


■ 借上社宅制度の本来の価値は変わらない

借上社宅制度は、社会保険だけの制度ではありません。
 
実際には、
 ・福利厚生制度として従業員満足度を高められる
 ・採用競争力の向上につながる
 ・転勤・異動への対応がしやすい
 ・住宅手当より柔軟な制度設計が可能
 ・税務・社会保険・労務を総合的に考えた制度運用ができる
といった、多面的なメリットがあります。
 
つまり、
借上社宅制度の価値は「社会保険だけ」で決まる制度ではありません。

[参考]借上社宅制度が企業にもたらすメリットや、住宅手当との違いを
               詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶【Q&A:借上社宅の会社側メリット・デメリットとは?】


■ 改正で変わるのは「制度」ではなく「評価方法」

今回見直されるのは、
住宅という現物給与を社会保険上どのように評価するか
というルールです。
 
借上社宅制度自体が廃止されるわけでもなければ、
利用できなくなるわけでもありません。
 
したがって、
「制度がなくなる」と考えるのは誤解です。
 
重要なのは、
新しい評価方法を前提として制度を運用することになります。


■ これからは制度設計が企業ごとの差になる

今回の改正によって最も重要になるのは、
制度設計の質です。

例えば、
 ・社員自己負担額は適切か
 ・家賃上限は実態に合っているか
 ・高額物件への対応ルールはあるか
 ・役員と従業員の運用ルールは整理されているか
 ・社宅規程は現在の運用と一致しているか
 
このような点を整理している会社と、
「昔作った制度をそのまま使っている会社」とでは、
今後の運用に大きな差が生まれる可能性があります。

[参考]家賃上限の決め方によって制度全体の運用も変わります。
               設定方法については、こちらで詳しく解説しています。
【Q&A:借上社宅の家賃上限はいくらにすべきか?】


■ 「制度を続けるか」ではなく「どう運用するか」の時代へ

これまでの借上社宅制度は、
制度を導入すること自体が重視される場面も少なくありませんでした。
 
しかし改正後は、
制度を導入しているだけでは十分とは言えません。
 
・制度内容
・運用ルール
・社員負担額
・規程
・説明方法

までを含め、制度全体の整合性がこれまで以上に重要になります。


■ 経営者が今確認しておきたいポイント

現時点で確認しておきたい事項としては、
例えば次のようなものがあります。
 
自己負担額は現状のままで問題ないか

社宅規程は最新の運用内容になっているか

家賃上限や対象者の基準は明確か

社会保険だけでなく税務・労務も含めた制度設計になっているか

将来の人材確保や福利厚生まで見据えた制度になっているか

[参考]「結局、自社では何から見直せばよいのか」を実務目線で
                整理したい方は、次の記事も参考になります。
▶【2026年10月改正・実務判断編】借上社宅は見直すべきか?


■ まとめ

今回の現物給与評価の見直しは、
借上社宅制度そのものを否定する改正ではありません。
 
一方で、
従来どおり運用していれば安心、という時代ではなくなります。
 
これからは、
制度を「持っている会社」ではなく、

制度を「適切に設計・運用している会社」が選ばれる時代になると言える
でしょう。
 
借上社宅制度のメリットは今後も変わりません。
 
だからこそ、
改正をきっかけに、自社の制度設計を見直すことが重要になります。

[参考]まずは借上社宅制度全体の仕組みを整理したい方は、
              教科書シリーズ(初級編)、制度設計や改正の位置づけまで
              体系的に理解できます。
【借上社宅制度の教科書(初級編)】


📚 現物給与評価改正シリーズ
 
▶ 第1回|2026年10月改正 借上社宅の現物給与(社会保険)が変わる
改正内容(畳→㎡・居住室→総面積)や実務上の落とし穴をわかりやすく整理しています。
 
▶ 第2回|改正による影響・コストと実務判断
社会保険料への影響やコストの考え方、影響を受けやすいケースなどを実務目線で整理しています。
 
 第3回|現物給与評価改正で借上社宅制度は見直すべきか?
自己負担額・家賃設定・社宅規程は変更が必要なのか。
会社として何を確認すべきかを実務目線で解説しています。

 第4回|なぜ現物給与評価は見直されるのか?
なぜ今、評価方法が見直されるのか。
改正の背景や制度趣旨、「畳→㎡」への変更理由などを分かりやすく
整理しています。
 
 第5回|改正後も借上社宅制度は有利なのか?(本記事)


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借上社宅制度の教科書|初めての方のための全話ダイジェスト
仕組み・家賃・税務・社会保険・社宅規程など、
教科書シリーズ全体のポイントを短くまとめています。


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🧭会社員の人生設計 / 給与・福利厚生・住まい・お金
🏠住まい、第三の選択肢を考える(持ち家・賃貸・借上社宅)


著者
Yoshihiko Tagawa|借上社宅制度の研究家
 
借上社宅制度について、制度運用や社宅管理の観点から情報整理・発信を行っています。
毎月3000戸超の社宅運営に携わる中で、借上社宅制度の運用面・管理面に関する情報整理を行ってきました。
 
本noteでは、借上社宅制度に関する一般的な仕組みや運用上の考え方を、情報整理を目的としてまとめています。
制度にはメリットがある一方で、運用方法や会社ごとの事情によって、税務・労務上の取り扱いが異なる場合があります。
 
中小企業の人事・経営判断に役立つ視点で発信しています。

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