記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

貴方は京アニ狂気の作画回、「CITY」第5話を見たか⁉

今回は、今夏クール放映中アニメ「CITY THE ANIMATION」について書いてみたい。
そう、京アニのやつだね。

「CITY THE ANIMATION」監督/石立太一

で、この作品の現時点の評判はどうかというと、Filmarksのスコアで4.0
まずまず、といったところでしょうか。

しかし、レビューを見てると結構な比率でディスってる内容もあって、まぁこれはギャグアニメだし、特に本作はシュール系のやつだからツボにうまくハマらない人もいるということでしょう。
逆に、めちゃくちゃツボ!という人の数も決して少なくはない。
ちなみに私は、かなりのツボ派でして・・。

さて、本作の監督は石立太一さんである。
この名前は、アニメをそこそこ見てる人なら普通にお馴染みの名前でしょう。
京アニといえば

・石原立也
・石立太一
・山田尚子(今はもういませんけど・・)


この3名の名前が最も知名度あると思う。

いや、これらの人たちはあくまで演出家であり、京アニはそっちより作画が売りのカイシャゆえ

・池田晶子(今はもういませんけど・・)
・堀口悠紀子(今はもういませんけど・・)
・門脇未来
・池田和美
・西谷太志(今はもういませんけど・・)


といった作画畑の人たちの方が有名なのかもしれません。

しかし、こうしたお馴染みの方々が随分と減ってしまったものである・・。
それはもちろん例の火災で亡くなった方もいるし、そうではなく普通に社を離れた方も決して少なくはない。

「別に、アニメのカイシャはどこも入れ替わり激しいもんだし、そんなの普通だろ?」


と考える人も多いだろうが、いや、その考え方は少し甘すぎるぞ。

皆さんがアニメ制作に抱くイメージってのは、たとえば「SHIROBAKO」に見るような、制作進行があちこちにTELしまくり、フリーの原画マンの頭数を確保して制作体制を作っていくような感じでしょ

でもあれって、舞台が東京だから成立する話だぞ。

そもそも京アニ本社がある京都って、果たしてどれほどの数の「フリーの原画マン」がいるというんでしょうか?

・・そう、アニメーターが一極集中してる東京から遠く離れたところに拠点を置く京アニは、「自前のアニメーター」こそが生命線なんですよ。
それは、富山県を拠点にしたP.A.WORKSも全く同じことでしょうね。

だからこそ、京アニもP.A.WORKSも「人材育成」に相当なコストを割いてるらしい。
ゆえにアニメーターは社にとって貴重な財産であり、だから一般的なアニメ制作会社と違い、有名な話、京アニは業界でも屈指の「ホワイト企業」だと噂されている。
普通のカイシャは違うよね?

コストのかかる正社員の数なんて絶対増やしたくないだろうし、

「作監さえマトモな人材を押さえとけば、あとの原画屋はただの『装置』でいい」


として、フリーの原画屋を低賃金で雇ってるところが業界では半数以上なんじゃないの?

京アニ、P.A.WORKS、このての地方拠点型はそういう「業界の主流」とは別のやり方を模索してるところであり、また、この両社ともが「業界屈指の作画力」を評価されてるのが実に興味深い。

なんていうかさ、我々ってアニメ見る際、最後のスタッフロールとか見て、そこに並んでいるアニメーターの数が多ければ多いほど「大作だ」「予算がある」「スゴイ作品だ」と思っちゃう傾向がないかい?
逆に、アニメーターの数が少ないと「これ、低予算だわ・・」と萎えたりもしてさ(笑)。

でも、識者に言わせるとアニメーターの数が多いスゴイ作品なんて誤解も甚だしい、ということなのよ。

これはどういうことかというと、ようするに原画屋の数が多ければ多いほど画の均質性を保つのが難しくなり、そこを修正する作監に全てのシワ寄せがいっちゃうものらしいのね。
そうなると作監ひとりでは回せず、2人、3人、いや、極端な例では作監だけで10人ほどいる作品だってある。

・・あれ?
均質性を担保する為の作監が10人もいた場合、その10人の「均質性」は今度どうするの?
・・えぇ、この場合、今度はその10人の均質性を担保する為の「総作監」を設置しなきゃダメじゃん!ということにもなり、なんかイタチごっこみたいに収拾つかない話なんですわ(笑)。
そうやって修正、修正というのばかりで日々を忙殺されてるというのなら、じゃ結局、一番最初の原画を描いた人の仕事は一体何だったの?ということにもなりませんか・・?

ちなみに今回の「CITY THE ANIMATION」は、原画を毎回僅か5名という少なさで回しています!

それでいて、この作画クオリティ!

というより、逆説的にいうと「だからこその作画クオリティ」なのかもしれないな~。
もちろん作監は、常に1名です。
私はこの「CITY 」にこそ、作画のひとつの理想形を見たような気がするんだが?

ところが、実は第5話だけ原画マンの数が7名なんですよ。
通常より2名多い・・。

・・そう、石立監督は公式HPの中で第5話こそが最大の<難関>だったことを匂わせているのね。
一体、その<難関>とは何だったのか?

はい、そのへん見れば一目瞭然。

まさかの「24 -TWENTY FOUR-」型9分割同時進行アニメww

・・これ、マジ凄かったよねぇ!

今までにアニメでこんな演出は見たことないし、

この第5話は神回として認定・・ということで皆さん異存ないですよね?

・・いやぁ、石立太一、おそるべしである。

石立太一(1979年生まれ)

石立さんって実はまだ若く、どっちかといえば山田尚子あたりとほぼ同世代なんですよ(確か、山田さんが5歳年下だったかな?)。
石原立也さんとは、ひと回り以上も齢が離れている。

だけど石原さんと石立さんって、妙にごっちゃで捉えられちゃうんだよね。
名前の語感が似てるというか、どっちにも「石」と「立」が入ってるから、ややこしいんですよ。
実際私も、よくこの2人を間違えたものである。

「石原さんと石立さんって、どっちかどっちだっけ?」
「・・とりあえず、石立さんはCMで『お前はどこのワカメじゃ』という人だと思うが?」
「それ、石立鉄男」
「石原さんは、慎太郎の息子だと思うが?」
「それ、伸晃」
「・・伸晃?あぁ、欽ちゃんバンドのメンバーな」
「それ、佐藤B作」

・・と、ひとしきりボケて満足したので、とりあえず話を続けます。

この石原さんと石立さんの最も適切な区別の付け方は

「演出の石原、画の石立」

ということになると思うのね。
石立さんは、かなり「画」寄りの演出家である。

大体、石立さんの監督としての経験って「境界の彼方」、「ヴァイオレットエヴァーガーデン」、そして今回の「CITY」、その3つしかないんだ。
そのへんは、20作品以上の監督をしてきた石原さんの経験値にかなり劣る。
だから、「演出」という部分でいえばやはり石原さんに軍配が上がるのよ。

ただ、ひとつ彼が石原さんに勝る部分は「画」である。
よくも悪くも彼は「画の人」であり、おそらく彼の才能なくしてあの名作「ヴァイオレットエヴァーガーデン」は成立しなかっただろう。

この作品は、マジで「京アニのK点越え」ですよね・・。

・・で、上の画を見て何かお気付きになりません?

そう、山田尚子の演出にそっくりなんですよ!


まぁ、どっちも木上益治さんという共通の師匠をもつ存在ゆえ、スタイルが似るのはむしろ当たり前かもしれんが、それにしても似てるわぁ・・。

・・あ、木上さんが誰か知らんという人はこちら↓↓をご覧ください。

で、2018年というのは石立「ヴァイオレットエヴァーガーデン」山田「リズと青い鳥」という「京アニK点越え」2連発の年だったんですよね。

まさか、その翌年にあんなことになろうとは想像してなかったけど・・。

・・でさ、「CITY」に話を戻すが、皆さんにも是非よく見てもらいたいのがオープニングなんだわ。

個人的に、今夏クール最もエモいオープニングだと思ってるし、これの演出はもちろん石立さんで、原画描いてるのは石立さんと作監の徳山さん、何とたった2人だけ、という驚愕の事実。
・・そう、石立さんっていまだに自分で原画を描く人なのよ(石原さんは、もう絶対描かんやろうなぁ・・w)。

で、曲がFruiRihoさんという人のボーカルでやたらとエモいわけだが、特に私が好きなのが曲のサビの部分↓↓

主人公3人が群衆の前で踊るシーン。
まず背中のショットで、顔を映さないんです。

で、背中⇒脚⇒背中⇒手⇒背中⇒

そして最後に、顔!

・・分かります?
この京アニ独特の演出の文法。
いかにも石立さんっぽいというか、山田尚子っぽいというか・・。
もうね、いつもこのオープニングで私は必ず涙腺が緩むんですよ。

こういうジワジワ~っとタメて最後にドーンと落とす手法、なんかさ、このタメが妙に感傷を煽ってくるというか、私の場合、ここでまず浮かんでくるのは6年前の火災のこと・・。
また、それ以降も徐々に減ってきた古株の社員たち・・という寂しい現状を踏まえて、それでもなお、こういう今だからこそ元気に!という演出を施す石立さんの想いみたいなものがここで見えてきて、そして最後、3人の満面の笑顔がドーン!と出た瞬間、ふっと「再生」の2文字が頭に浮かぶようなエモい趣向なんだよね・・。

いやホント、エモいわ~!


もちろん、こういう演出の巧さはオープニングだけでなく、むしろ本編の方にこそテンコ盛りだし、そこをひとつひとつ丁寧に味わっていってほしい。

・・というか、この作品を「不条理ギャグアニメ」と解釈してる時点でまず前提が間違ってると思う。
ぶっちゃけ、これはどっちかというと泣かせる系のドラマですから。

特に第6話のラスト、私は思わず号泣・・

やはり石立さんは「画の人」ゆえ、画で泣かせてくるんですよねぇ・・。
正直、タマらん。

まだ未見の方は、一度ご覧になってみてください。


いいなと思ったら応援しよう!