子どもが試合に出られない時・・・【出場時間だけでは見えない、子どもの成長と親にできること】
はじめに
子どもが試合に出られない。
ベンチに座ったまま、試合が進んでいく。
アップを始めたから、
「そろそろ出番が来るかもしれない」
と期待したものの、最後まで名前は呼ばれなかった。
そんな姿を見ていると、子ども以上に親の方が苦しくなることがあります。
毎日練習していることを知っている。
疲れて帰ってきても、サッカーのことを考えている姿を知っている。
うまくいかない日も、次の練習へ向かっていることを知っている。
だからこそ、
「少しでも出してあげてほしい」
「この努力は報われるのだろうか」
と思ってしまいます。
子どもがベンチに座っている時、実は親の心も一緒にベンチに座っているのかもしれません。
ただ、その苦しさをそのまま子どもへ渡してしまうと、励ますつもりの言葉が、子どもを追い詰めることがあります。
この記事では、子どもが試合に出られない時に親が苦しくなる理由と、出場時間だけでは見えない成長について考えます。
目次
親が苦しくなるのは、努力を知っているから
励ましたつもりの言葉が、子どもを追い詰める
息子もベンチを温める選手だった
ベンチだからこそ見える人間性がある
親にできるのは、評価ではなく居場所を守ること
次の記事では、具体的な声かけを考える
1.親が苦しくなるのは、努力を知っているから
親が苦しくなる理由の一つは、子どもの努力が報われていないように見えるからです。
朝早く起きて練習へ行った。
遊びたい気持ちを我慢した。
うまくいかなくても、休まずに続けてきた。
それでも試合に出られない。
親からすれば、
「これだけ頑張っているのに」
と思うのは自然なことです。
さらに、試合では他の子との違いが目に入ります。
「あの子より、うちの子の方が走れているのに」
「練習では負けていないと思う」
「どうして、いつも同じ選手ばかり出るのだろう」
コーチの評価に納得できない日もあるでしょう。
自分のサポートが足りなかったのではないか。
違うチームを選んでいれば、もっと試合に出られたのではないか。
子どもが試合に出られないという出来事から、親は自分まで責めてしまうことがあります。
しかし、スポーツでは、努力と出場時間がきれいに比例するとは限りません。
本人が成長していても、周りの選手も成長しています。
チームの戦い方やポジション、相手との相性によって起用が変わることもあります。
試合に出られないことと、努力していないことは、同じではありません。
2.励ましたつもりの言葉が、子どもを追い詰める
試合後、親は何か声をかけたくなります。
「なんで出られなかったんだろうね」
「もっと頑張らないと」
「コーチに理由を聞いてみたら?」
「悔しくないの?」
どれも、親としては子どものために言っています。
責めたいわけではありません。
次につなげてほしいだけです。
しかし、子どもには違う意味で届くことがあります。
「出られなかった自分はダメなんだ」
「親をがっかりさせてしまった」
「もっと頑張らないと認めてもらえない」
親が子どものために言った言葉が、子どもにとっては「出られない自分はダメなんだ」という確認になってしまうことがあります。
子どもは、試合に出られなかった時点で、すでに一つの評価を受けています。
先発に入れなかった。
交代で呼ばれなかった。
最後までベンチだった。
本人が平気そうに見えても、その事実は分かっています。
そこで親まで評価者になってしまえば、子どもは安心して戻れる場所を失ってしまいます。
3.息子もベンチを温める選手だった
私の息子も、中学生の頃に所属していたクラブチームでは、ベンチを温めている時間の長い選手でした。
試合に出られない息子を見るのは、親として苦しいものでした。
もっとできるはずだと思うこともありました。
頑張っている姿を知っているからこそ、出場機会を与えてほしいと感じることもありました。
しかし、息子の姿を見ている中で、出場時間とは別のところに成長が表れていることに気づきました。
息子は、後輩への接し方にとても気を使っていました。
練習で困っている後輩がいれば声をかける。
チームに入りづらそうな選手がいれば、自然に輪の中へ入れる。
自分が試合に出られず苦しい時でも、後輩にその不満をぶつけない。
やがて息子は、後輩から慕われる選手になっていました。
チームの中心選手だったわけではありません。
得点を量産する選手でも、毎試合先発で出る選手でもありませんでした。
それでも、後輩たちにとっては、安心して話しかけられる先輩だったのだと思います。
その姿を見た時、私は気づきました。
試合に出ているかどうかだけでは、その選手がチームの中で果たしている役割は分からない。
出場時間には残らなくても、誰かを支え、チームの居場所をつくっている選手がいるのです。
4.ベンチだからこそ見える人間性がある
もちろん、試合に出る経験は大切です。
実戦でしか伸びない技術や判断力もあります。
だから、試合に出られない悔しさを、
「ベンチでも成長できるから大丈夫」
と簡単に片づけるつもりはありません。
それでも、ベンチにいる時だからこそ見えるものがあります。
仲間が得点した時に、一緒に喜べるか。
試合に出られなくても、声を出してチームに関われるか。
いつ呼ばれてもいいように準備を続けられるか。
思い通りにならない時に、不満を周りへぶつけずにいられるか。
そして、自分より立場の弱い後輩に、どのように接するのか。
試合に出ている時にしか伸びない力があります。
一方で、試合に出ていない時にしか見えない人間性もあります。
ベンチは、失敗した選手が座る場所ではありません。
次にピッチへ立つために準備する場所であり、自分が中心ではない時間に、チームとどう関わるかを学ぶ場所でもあります。
息子が後輩から慕われるようになった経験は、試合の記録には残りません。
しかし、私はそれも、サッカーを通じて得た大切な成長だったと思っています。
5.親にできるのは、評価ではなく居場所を守ること
子どもは、チームの中で評価されています。
コーチに見られ、仲間との競争があり、試合に出られるかどうかが決まります。
だからこそ、家に帰ってまで親が評価者になる必要はありません。
子どもに必要なのは、もう一人の監督ではなく、どんな日でも戻れる場所なのだと思います。
試合に出た日は機嫌よく接する。
活躍した日はたくさん褒める。
出られなかった日は、車内の空気が重くなる。
親にそのつもりがなくても、子どもは敏感に感じ取ります。
「試合に出た自分なら喜んでもらえる」
「活躍できなければ認めてもらえない」
そう感じさせれば、子どもはプレーだけでなく、親の期待まで背負うことになります。
試合後は、まずいつも通りでいいのだと思います。
「お疲れさま」
「お腹すいた?」
「帰ったら何を食べようか」
それだけでいい日もあります。
話し始めたら聞く。
話したくなさそうなら待つ。
親にできるのは、すぐに答えを与えることではありません。
子どもが自分の気持ちを整理し、もう一度挑戦できるように、安心して戻れる場所を守ることです。
6.子どもへの声掛けを具体的に。
子どもが試合に出られない時、親として何を伝えればいいのか迷うこともあると思います。
続編では、避けたい声かけや、子どもの気持ちに寄り添う言葉、試合後の具体的な会話例をまとめました。
親子で苦しい時間を乗り越え、次の成長につなげるための内容です。
▶︎ 続編はこちら
この記事が、子どもの出場時間に悩む誰かの心を少しでも軽くできたなら、フォローしてもらえると嬉しいです。
このnoteでは、サッカーの技術や結果だけではなく、
人がどう育つのか。
チームがどう成長するのか。
大人は子どもとどう関わればいいのか。
そんなことを、サッカーと大学職員としての経験を通して書いています。
また読みに来てもらえたら嬉しいです。

