「私がやります」を飲み込んで。気遣い屋の私が「頼る」を覚えた日のこと
「あ、それ私がやっておきますよ」
気がつけば、またその言葉が口をついて出ていた。
誰かに頼まれたわけでもないのに、周りの状況を見て「誰かがやらなきゃいけないこと」を瞬時に察知してしまう。そして、一番波風が立たない方法を選んだ結果、自分の仕事がまたひとつ増える。
家に帰り、どっと押し寄せる疲労感の中で、ふと思うのだ。
どうして私は、いつもこうやって全部ひとりで抱え込んでしまうんだろう。もっと器用に「これお願い」と言える人が、少しだけ羨ましかった。
「頼れない」のは優しすぎる星たちのせい
そんな自己嫌悪のループから私を救い出してくれたのは、四柱推命という古い知恵だった。
自分の星を読み解いてみたとき、私の本質を表すど真ん中に「正財(せいざい)」という星が鎮座しているのを見つけたのだ。
正財は、周りとの調和や信頼を何より大切にする、とても真面目な星だという。波風を立てるのが嫌で、「私が我慢すれば丸く収まるよね」と責任を背負い込みやすいんだとか。
さらに私の命式には、相手の状況を先回りして考えすぎる「印綬(いんじゅ)」と、場の空気に敏感な「傷官(しょうかん)」という星まで並んでいた。
その解説を読んだとき、なんだか笑ってしまった。 ああ、私が人に頼れなかったのは、意地を張っていたわけでも、ただの不器用だったわけでもなかったんだ。
「今お願いしたら迷惑かな?」(印綬) 「人に任せて空気が悪くなるくらいなら」(傷官) 「私が我慢すれば丸く収まるよね」(正財)
私の中にある星たちが、あまりにも周りを気遣いすぎて、見事な連携プレーで私自身に「全部ひとりで背負いなさい」という指令を出していただけだったのだ。
しかも、ちょっとでもその場が気まずい雰囲気になろうものなら、もう大変だ。「ヤバい、誰かが笑いをとって、この緊張感を回避しなければ!」と謎の使命感が発動し、大して面白くもないのにヘラヘラと笑ってその場をごまかそうとしてしまう。そして夜になってから「なんで私、必死におどけちゃったんだろう……」とお風呂の中で一人反省会を開くのがお決まりのパターンだ。
それって、ほんと、人生ゲームでいったらバッドステータス異常みたいなもんですよ。
我慢の限界点、「シャンプー台ジタバタ事件」




そんな私が「この我慢の呪いを本気で解かなければヤバい」と決意したのには、ある決定的な事件が関係している。
私はもともと頸椎(首)が弱く、首に負担がかかる姿勢がとても苦手だ。 ある日、美容室に行った時のこと。そのお店のシャンプー台は最近のフラットに寝転がるタイプではなく、首だけで頭の重さを支える、私の頸椎にとっては「拷問器具」のような少し古いタイプだった。
シャンプーまではなんとか耐え抜いた。「ふぅ、終わった……」と安堵したのも束の間、担当の美容師さんが優しくこう言ったのだ。
「それではトリートメントを浸透させるために、このまま数分おきますね〜」
美容師さんの足音が遠ざかっていく。 私の脳内で、瞬時に緊急事態宣言が発令された。
(ヤバい。私の首、あと数分も絶対に持たない……!)
今すぐ「すみません、首が痛いので起き上がってもいいですか」と呼ぶべきだ。しかし、ここでも私の「気遣いの星たち」が全力で止めに入ってきた。
相手を気遣う「印綬」が『忙しいのにわざわざ呼び戻すなんて申し訳ないわ!』と囁き、波風を立てたくない「正財」が『大丈夫、あとたった数分のことじゃない。私が我慢すれば、トリートメントも完璧に浸透して丸く収まるから!』と説得にかかる。
そうだわ、ここはアレを使うのよ。 人間の脳は、「快」と「不快」を同時に感じることはできない仕組みになっている。だとしたら、首の痛み(不快)から完全に意識を切り離して、何か最高に心地よいこと(快)に集中すれば、このピンチはやり過ごせるはず……!
私はタオル越しに目をギュッとつむり、愛兎ハシゾウの、あのふわっふわのお尻を撫でている映像を脳内に必死で再生し始めた。 ハシゾウのやわらかな手触り……ハシゾウの牧草の匂い……ハシゾウの……。 見事なまでの、心理学を用いた自己犠牲である。
しかし、現実は非情だった。 物理的な頸椎の悲鳴は、脳のメカニズムや星の説得など一切通用しなかったのだ。
体感にして、おそらく1分も持たなかったと思う。 「ピキピキピキッ」という首からの危険信号と共に、私はハシゾウの幻影から容赦なく現実に引き戻された。
「す……」
声が出ない。仰向けで顔にタオルをかけられた状態の私は、もはや言葉ではなく、本能でSOSを発信していた。
バタバタバタバタッ!!
静かでオシャレな美容室に、空を切ってジタバタと暴れる私の足音が響き渡る。
「すみませーーーーん!! 首がぁぁぁ!!」
結局、私は耐えきれずにシャンプー台の上で足をジタバタさせながら、大声で叫ぶ羽目になったのだ。 慌てて飛んできた美容師さんに「だ、大丈夫ですか!?」と平謝りされながら起き上がった時の、あの大恥といったら……。
その時、私は悟ったのだ。 「私が我慢すれば丸く収まる」なんて、大嘘じゃないか。 変に気を使って限界まで我慢した結果、足はジタバタさせるわ大声は出すわ、かえって美容師さんをパニックにさせて大迷惑をかけている。
魔法のクッション言葉
私たちの無意識(潜在意識)は、心の中で何を思っているかよりも、「実際にどんな行動をとっているか」をじっと観察しているという。
毎日毎日「私がやります」「私が我慢します」を選んでいたら、脳も「この人は自分をすり減らすのがデフォルトの人間なんだな」と判定してしまう。
考え方を変えるんじゃない。行動を変えなければ、現実は変わらない。 その呪いを解くには、「いつものパターンの逆」をやってみるしかなかったのだ。
ある日の午後。またしても私の前に「誰かがやらなきゃいけない、ちょっとした面倒な作業」が転がってきた。 いつもの私なら、0.2秒で「やります」と手を挙げている場面だ。星たちが「ほら、あなたが我慢してやりなさい」と囁いている。
しかし、今日だけは違う。私はぐっと言葉を飲み込み、隣の席にいる同僚に声をかけた。
「すいません、ここ、ちょっとだけお願いしてもいいですか?」
心臓がバクバクしていた。「すいません」という言葉は、波風を立てたくない私の星たちが最も恐れるリスク行動だ。でも、これは人間関係の潤滑油として使ってみる、私にとっての壮大な実験だった。
「あ、いいですよー」
返ってきたのは、拍子抜けするほど軽い返事だった。 世界は崩壊しなかった。嫌な顔もされなかったし、人間関係が壊れることもなかった。 ただ、私の肩の荷がほんの少しだけ軽くなっただけだった。
小さな反逆を書き留める夜
その日の夜。私はお気に入りの万年筆を手に取り、いつものノートを開いた。 ペン先が紙の上を滑る、サワサワという音が静かな部屋に響く。この時間が、私はたまらなく好きだ。
ノートに今日あった「できたこと」や「嬉しかったこと」を書き留める。私が『幸積み(さちつみ)』と呼んでいる、大切な日課だ。
『今日、初めて自分から人に仕事をお願いできた。』
インクの跡を見つめながら、私の中の潜在意識が「おや?」と顔を上げるのを感じた。
「いつも自分を犠牲にしていたこの人が、今日は自分のために周りを頼ったぞ。ということは、この人は大切にされるべき存在なんだな」と。
いきなり、人に甘え上手になることはできない。私の中の星たちは、これからもきっと、隙あらば周りの空気を読んで全部を背負い込もうとするだろう。
でも、それでいい。
「すいません、お願いできますか?」という小さな反逆の言葉と、それを綴るお気に入りのペンとノートがあれば。
私は少しずつ、私自身を「大切にされる存在」へと書き換えていけるのだから。
【おまけ】あなたの「気遣い」はどの星から?
エッセイを読んで「これ、もしかして私のこと?」と心当たりがあった方へ。 四柱推命の命式を調べられるサイトなどで、ご自身の「通変星」と「蔵干通変星」の欄をチェックしてみてくださいね。
もし、この位置のどこかに【正財】【印綬】【傷官】があれば、あなたにもこの「優しすぎて損をする」気質が潜んでいます。
正財(せいざい) 波風を立てるのが嫌で、責任を背負い込みがち。「私が我慢すれば」が口癖になってないですか?
印綬(いんじゅ) 相手のことを考えすぎて、連絡やお願いを遠慮しがち。「今お願いしたら迷惑かな」ってすぐ思っちゃう人。
傷官(しょうかん) 完璧主義で空気に敏感。「自分でやった方が早い(二度手間が嫌!)」になりがち。気まずい空気にも耐えられません。
そして、「どの位置にあるか」で、その性質が一番強く出る場面が変わってきます。
① 月柱の蔵干通変星(主星:影響力★★★★★) オフィシャルな自分・本質。ここにある星が「その人の本気」です。
② 日柱の蔵干通変星(自星:影響力★★★★★) プライベートな自分。家族との関係で出やすい。
③ 月柱の通変星(影響力★★★☆☆) 仕事のスタイル。職場でのあなたの立場。
④ 年柱の通変星(影響力★★☆☆☆) 第一印象。初対面の人に与えるイメージ。
⑤ 年柱の蔵干通変星(影響力★★☆☆☆) 祖先から受け継いだもの。家系からの影響。
星の性質は、あなたの素晴らしい才能です。 でも、たまにはその星を休ませて、自分のために「小さな反逆」をしてみてくださいね。 その小さな選択の積み重ねが、後から「あなた」という存在を書き換えていくのだから。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
皆さまの心が、自分のための光で輝きますように(。-人-。)✨
Love & Peace💕
※この作品は、AI漫画生成ツール(新宇佐美式AI漫画)を使用し、 著者の指示のもとで制作されたコミックエッセイです。
いいなと思ったら応援しよう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。少しでも心に留まるものがあれば、応援していただけると嬉しいです