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#26 お受験産業の闇を迫う(小学校受験)

私立のお受験幼稚園・附属幼稚園・小学校受験(以下:お受験)が、学校とご家庭との相性であることは、これまでのnoteでお伝えしました。

その相性選考という極めて不透明な選考であるのをいいことに、情報をクローズして迷える親御さんを誘導しているのが、現在の受験産業と言っても過言ではありません。

こういうのを、「情報の非対称性」と言うそうです。売り手と買い手が保有する情報に格差が大きく、買い手が効率的な判断ができない状態です。

本noteは、「#3 課金地獄の足音」の続編としてご覧下さい。


▌受験産業の煽りは2種類

受験産業の煽り方は主に2種類です。
一つは、「フリーでも受かる!」を合言葉に、良く言えば夢を与えて、悪く言えば属性に触れもせず、親の憧れや欲望につけ込む重課金です

もう一つは、この講座を取らないと合格しない、付いていけなくなるという、親の不安につけ込む重課金です

前者に多いのは、言わずと知れた幼稚舎志望の富裕層家庭狙いの教室。後者に多いのは、非参観型で子供の様子が見えない教室。どちらも冷静な判断ができずに、教室の言いなりになりがちです。

前者は属性戦略を考えての冷静な判断を、後者は面談を希望して教室がどれくらい本当に子ども、ご家庭を理解しているかを判断しましょう。

▌貴重な情報資源が使われない謎

大手教室を中心に、毎年これだけの人数の合格者を出しているということは、膨大な数の在校生家庭にアクセスできるということです。

そこからの幼稚園・小学校の現場の情報が出てこないのかが不思議でなりません。実際に学校に通ってみて通わせてみて、見たこと知ったことの話を聞きたいご家庭は多いはずです。

初めて学校研究会なるものに参加した時、どれだけ「学校の情報」が伺えるのか期待しましたが、ほとんどがHPや学校案内の焼き直しでした。残念ながら時間の大半は考査内容について。そのお話は頂いた分厚い冊子に書いてあります。確かにこの冊子は非常に貴重なのですが。

「共働きか否か」
「共働きならどんな工夫を」
「校風は?」
「トラブルは?」
「どんな雰囲気の保護者が多い?」

在校生家庭に聞きたいことは山ほどあります。そのまま附属中高の雰囲気も聞いてみたいところです。こんなん、いくらあっても困りませんから。

「こちらの学校は共働き家庭もたくさんいらっしゃいます。」
社会人になった時、「たくさん」じゃなくて「数字で報告しろ」と教わりました。「当会に所属してたこの学校の6年間の合格者のうち、40%が共働き家庭です。平均は25%です。」くらい言って頂けないでしょうか。

▌親の鍛錬の場が少ない理由

「良く書けてます💮」、「ここの表現をもう少し分かり易く」では正直物足りません。大手教室の願書添削は、文章の入れ替えや言い回しの訂正など、文章校正と言った方が近いかもしれません。

「この学校には、◯◯さんのご家庭のこのエピソードを入れましょう」「この学校はこの属性を中心に組み立てましょう。」と言ったご指導は、一部ではあるかもしれませんが一律的には望めません

大手教室は簡単なフレームワークを用意して下さいますが、そのフレームワークから見直す場面は少ないでしょう。

どうして教室がそこまで時間を取れないか。その理由は「儲からない(効率が悪い)から」と思わざるを得ません。
願書添削をとことんやるより、子どもを集めた志望校対策の方が収益が大きいのは明らかでしょう。

面談や面接演習も同じです。しかも親の面接演習に毎週1回は必要ありませんから、安定収益にもならないわけです。

大手教室の室長の中にも、分け隔てなく真摯に願書添削に向き合って下さる方もいらっしゃいます。また、個人の先生方をはじめ、多くの先生方は寝る間も惜しんで全てのご家庭に向き合って下さいます。
先生方というよりは受験産業の構造の問題だと思います。どうぞご理解下さい。

▌合格実績はいつも謎

いつの時代も、どのカテゴリーも、受験産業の合格実績は不透明です。

小学校受験においても、大手教室の合格実績を合計すれば、合格者数は定員を大幅に上回るのは周知の通りです。

さらに小学校受験では、教室が受験番号を聞いておいて確認するという作業は耳にしません。つまりご家庭の自己申告ベースです。

残念ながら、プライドもあって家庭からの自己申告が正しいかどうかも不明です。進学先の虚偽は難しいでしょうけど、併願はどうとでも言えてしまうからです。

教室選びは、決して合格実績には惑わされず、大手については志望校の担当校、個人や中堅教室については、ご家庭・子どもとの相性、先生への信頼感で決めるのがよろしいかと存じます。

▌なぜ縁故や属性の話は聞こえてこないのか

縁故や属性というのは、受験産業から言わせれば都市伝説ですが、学校の立場から見れば、大なり小なりフィルターになることは否めないはずです。

あらゆる願書(履歴書)・面接を伴う選考がそういうものです。
あまり言いたくはありませんが、ここまで頑なに、受験産業がそこに言及せずに子供の鍛錬ばかりにフォーカスするのは、課金目的と言われても仕方ありません。

また、お受験の先輩家庭にもその一因はあります。合格した場合は子どもの出来栄えやそれを鍛え上げた親の力、不合格の場合は子どもがダメだったと、属性や親の資質をスルーしがちです。

合格座談会の声を拾っても、「属性のおかげ」「フリーだけど実家は病院経営」とは聞こえてきません(お受験終了後の仲間内では、はっきり縁故と言う声も聞こえますが…)。

▌合格座談会で聞くべきこと

その合格座談会についてもう少し詳しく。

毎年、12月〜1月にかけて、大手教室をはじめ個人の教室でも合学座談会が開催されます。素晴らしい合格実績を携えた親御さんからの合格体験記です。

ここでの定番文句は「我が家はフリー(縁故なし)で合格」ですが、残念ながらそのご家庭の属性は全く分かりません。代々の医師家系かもしれませんし、慶應家系のご家庭があえて青山学院初等部を受けたのかもしれません。

もちろん、「平凡なサラリーマン家庭で私も公立の小中出身で」と仰るお父様もいらっしゃいますが、やはり属性は全く見えません。

自称「平凡なサラリーマン家庭」

つまり、こういった場面で仕入れるべき情報は、属性の異なるご家庭のお受験体験ではなく、「学校の情報」「その学校の保護者となる家庭の雰囲気」、何より「受験戦略」です。第一志望と併願の組み合わせ、その戦略の根拠、その結果がどうだったかなどです。

ペーパーを一日何枚やった、いつ頃から願書書いたは、ご家庭によって全く異なります。各ご家庭の受験対策そのものは、必ず教室に直接伺いましょう。

例えば願書。お受験を全く知らないご家庭は、春先にまともな願書など書けません。年長時の説明会を通して、志望校について学ぶべきことは多々あります。
ペーパーの枚数にしてもそうです。志望校、併願戦略や子どもの理解度で全く異なります。あらゆる対策が平準化できないのがお受験です。

▌まとめ

なぜ、受験産業が膨大な在校生にアクセスしないのか。合格座談会という、まだ入学していない親御さんの話ばかりで、在校生座談会は開催して頂けないのか。

その理由は、「入学(入園)してみたら、合格者は卒業生や兄姉が在校生の方が多数いらっしゃいました」という声を届けるわけにはいかない。そう思わずにはいられません。

一方で、もし在校生の親御さんに声が掛かっても、学校とどう繋がっているか分からない大手教室です。「我が子(家庭)のあらぬ事を学校に言われても困ると」考えて、真実を語るご家庭もいないでしょう。

かくして、情報の非対称性は解消されないまま、この閉鎖的な世界は続いていくことになるのです…。

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