見出し画像

今週やったこと:行為主体性読書シーズン2

はじまりの一週間

今週、十数年来ひっかかっていた問いが、ひとつ言葉になった。
〈写真の物質性〉とは何だったのか。
長いあいだ、その言葉だけは耳にしてきたのに、どうにも手触りが持てなかった。その輪郭が、ようやくジェーン・ベネットの生気的物質主義へとつながった。ぼんやり見えていた景色に、急に焦点が合ったような感覚があった。
そんな発見があったので、これはもう「行為主体性読書シーズン2」が始まったと言っていいのだと思う。今週は、その入口に立った一週間だった。

先週の宿題にしていた三冊を、まず買った。

いわばニューマテリアリズムの総本山といっていい二冊に、日本での受容を考えるための一冊を加えて、これからしばらく腰を据えて読んでいく準備が整った。
こういう読書の計画を立てるとき、ChatGPTはかなり役に立つ。難しい本ほど、入り口が見つからないまま時間だけが過ぎてしまうことがある。でも、読む順番や論点の見取り図をいったん外部化できるだけで、気持ちはずいぶん軽くなる。
その流れで、佐藤竜人「新しい物質主義の展開と可能性」という論文も見つけた。こういう論文が一本あるだけで、いきなり専門書の山に分け入るのではなく、まず地図を広げてから歩き出せる。難しい本の“つまみ読み”をガイドしてくれる相手として、先人の論文とChatGPTがいてくれるありがたさをあらためて感じる。

そして一冊目を新しい読書ノートのスタイルでまとめることもできた。ChatGPTに本を読み込ませ、自分でも本を手に取り、心に残った文章を音読しながら、その場で考えたことや感想を口に出していく。四十五分ほどの口述をもとにして、ひとつの読書ノートにした。

このやり方は、ただ要約するのとは少し違う。本の内容を整理するというより、こちらの身体や声を通して、本とどう出会ったかを記録していく感じに近い。黙読だけでは通り過ぎてしまう言葉が、音読すると急に引っかかってくる。その引っかかりをそのまま口に出してみると、自分でも思っていなかった考えが出てくることがある。
だからこそ、今週いちばん大きかったのは、その読書の途中で、十数年来ひっかかっていたものがふいにつながったことだった。やっぱりそうか、と思った。〈写真の物質性〉とは、ジェーン・ベネットのいう生気的物質主義のことだったのだ。
もちろん、それだけで何もかも説明できるわけではない。でも、長いあいだ言葉だけが先に流通していて、どこか手触りを持てずにいたものに、ようやく足場ができた感じがした。あのころ盛んに語られていた〈写真の物質性〉とは何だったのか。その輪郭が、少しずつ見えてきた。
今回は、ChatGPTと素読するように読み進めながら、この論文のまとめも作った。新しい物質主義、つまりニューマテリアリズムを紹介するこの論文は、写真をやっている人にはぜひ読んでほしい。一時期よく聞いた〈写真の物質性〉という言葉の意味が、かなり具体的に見えてくるはずだ。

さらに、読書会に向けてジェフ・ウォール「取るに足らないものの印」も読みなおした。PDFをChatGPTに読み込ませ、声で対話しながら、ときどきこちらが音読したり読み上げたりしながら読み進めて、最後は読書ノートにまとめる。この流れがだんだん、自分の中でひとつの読書方法として形になってきた気がする。
ただ、今のところ一回一時間くらいが限界でもある。集中して読み、声に出し、対話し、まとめるところまでやると、それくらいでちょうどいっぱいになる。でも逆にいえば、その一時間はかなり濃い。
ライター時代、「媒体を変えて推敲すると文章はよくなる」と教わったことがある。ディスプレイで確認する。プリントアウトして確認する。黙読する。音読する。そうやって何度も別のかたちで文章に触れなおすことで、文章そのものが変わっていく。
昔から、ペンで書いたり、口述筆記を試したりしていたのも、キーボードとは違う文体が現れる気がしていたからだった。いま、その延長線上に生成AIがいるのだと思う。
生成AIと読書するのは楽しい。しかも毎回、読み方そのものが少しずつ変わる。読むこと、書くこと、話すことが、以前よりもずっと行き来しやすくなっている。
今週は、そのことを何度も実感した。ニューマテリアリズムの本を読み始めた週であると同時に、自分にとっての新しい読書の方法が、少し輪郭を持ちはじめた週でもあった。

ということで、またジェフ・ウォールである。

#読書 #読書記録 #読書ノート #行為主体性 #ニューマテリアリズム
#新しい物質主義 #ジェーンベネット #カレンバラッド #マテリアルセオリーズ #写真論
#写真の物質性 #ジェフウォール #現代美術 #批評 #思想
#生成AI #ChatGPT #AIと読書 #音読 #note更新

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集