写真はなぜアヴァンギャルドになれなかったのか(前半)―ジェフ・ウォール「取るに足らないものの印」読書ノート
口上(保坂肉声)
ジェフ・ウォール「取るに足らないものの印」をまた読み直しています。
今回は、ChatGPTに日本語訳自炊pdfと原著pdfを読み込ませて、自分は本を開き、蛍光マーカーで線を引き、ChatGPTに気になるところを音読し、読み上げていきました。
当然、対話がテキストの形で残るので、読書ノートでまとめました。
音声でのChatGPTとの対話は最大1時間と決まっているらしく、とりあえず109ページまでをまとめました。
書誌情報
ジェフ・ウォール「取るに足らないものの印」
原題:Marks of Indifference: Aspects of Photography in, or as, Conceptual Art(1995)
はじめに|なぜウォールを読むのか
写真は前衛だったのか。
あるいは、前衛になれなかったのか。
この問いは単なる美術史の整理ではない。
写真というメディウムが、制度・市場・社会とどう関係してきたのかという問題である。
ウォールはこの問いを、1965年前後という節目から逆照射する。
Ⅰ|写真は「前衛」だったのか
1|前衛と呼ばれながら前衛ではなかった
ウォールの出発点は冷静だ。
写真はしばしば「アヴァンギャルド」と呼ばれてきた。
しかし実際には、絵画や彫刻のような自己否定を経ていない。
絵画は1910年前後にミメーシス(描写)を自己批判した。
写真はそれができなかった。
なぜか。
描写は写真の物質的本質だからである。
写真は描写を放棄できない。
だからこそ、描写性を「反省する」ことでしか前衛化できない。
ここが第一の転回点である。
Ⅱ|ルポルタージュという方向
1960年代初頭、写真はタブロー的美を再生産するのではなく、
即時性
自動性
予測不能性
バーナキュラー(俗なる視覚)
へ向かった。
重要なのは:
ルポルタージュは社会制度の副産物ではない。
それは写真メディウムの内在的可能性である。
ウォールはここで技術決定論を避ける。
彼は「ベトナム戦争」と言わず「1965年」と言う。
歴史事件に還元しない。
しかし歴史から切断もしない。
写真の変化を、メディウム内部の論理として読む。
Ⅲ|1920–30年代前衛の教訓
当時の前衛は理解していた。
ルポルタージュだけでは足りない。
新たな画像モデルを提案しなければならない。
だから:
古典的美学の拒否
プロレタリア的アマチュアリズム
形式と社会の同時革新
が模索された。
だが冷戦期、40–50年代に主観主義化・形式主義化が進む。
政治性は後退する。
Ⅳ|1965年前後の再前衛化
1960年代ネオ・アヴァンギャルドは単純な革命回帰ではない。
それは:
描写を保持したまま制度へ侵入する
運動である。
ここで重要語が出る。
ポスト自律的実践
写真はそもそも完全な自律を持てない。
報道
広告
記録
市場
と常に接続している。
したがって写真は、
最初からポスト自律的である。
この逆説がウォールの核心である。
Ⅴ|唯美主義の延長線という問題
しかし問題は残る。
1960年代以降の写真は:
大判化
高品質印刷
美術市場への接続
によって再びタブロー化する。
急進性は市場に回収される。
制度批判は制度内部へ組み込まれる。
ウォールはこの矛盾を否定しない。
むしろ言う。
この矛盾こそが写真の歴史的条件である。
Ⅵ|写真の前衛性の再定義
写真は:
描写を捨てられない
制度から切断できない
市場に巻き込まれる
それでもなお前衛たりうる。
条件は三つ。
描写性の自己反省
制度への意識的介入
オブジェクト性の揺さぶり
前衛とは形式破壊ではない。
構造への批評的参与である。
仮縫い
ここまでで見えるのは、
写真は純粋になれないという事実である。
しかし純粋でないからこそ、
制度の内部で揺さぶることができる。
それは弱さではなく、構造的条件である。
遷移
残る問いはこれだ。
フォト・コンセプチュアリズムは本当に反市場的だったのか。
反オブジェクトはどのように再オブジェクト化されたのか。
そしてウォール自身(大判タブロー写真家)は、この構造のどこに立つのか。
後半では、ウォールの自己位置の問題に入る。
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ベストを尽くしたチェック
要約はテキスト内容に忠実か:✓
解釈と事実を分離したか:✓
市場・制度・前衛の三軸を可視化したか:✓
結論で閉じず遷移を残したか:✓
読者導線を確保したか:✓
