【南アルプス深南部】黒法師岳周回|寸又峡からつなぐ“深南部の核心”2泊3日ロング縦走(40.6km / 3972m)
はじめに
南アルプス南部、いわゆる“深南部”を代表する山のひとつ、黒法師岳。
今回は寸又峡を起点に、前黒法師岳〜黒法師岳〜バラ谷ノ頭〜房小山〜鋸山〜蕎麦粒山〜板取山〜沢口山をつなぐ2泊3日の周回を歩いてきました。
総距離40km超、累積標高約4,000m。
数字だけ見れば長い縦走ですが、本当の核心は「水」と「時間配分」でした。
この記事では、
2泊3日で深南部をどう組み立てたか
水場の実情と補給判断
痩せ尾根・笹薮区間の体感
電波・連絡の現実
を実体験ベースでまとめます。
これから黒法師岳を周回で考えている方の、具体的な判断材料になれば嬉しいです。
山行概要
山名:前黒法師岳・黒法師岳・バラ谷ノ頭・房小山・鋸山・蕎麦粒山・板取山・沢口山
山域:静岡県(南アルプス深南部)
日程:2018年4月27日〜29日(2泊3日)
天候:概ね晴れ
起点:寸又峡温泉
距離:40.6km
累積標高:±約3,970m
行動時間:24時間54分
コース:
1日目:寸又峡 → 前黒法師岳 → 二ツ山
2日目:二ツ山 → 黒法師岳 → バラ谷ノ頭 → 房小山 → 鋸山 → 三ツ合山
3日目:三ツ合山 → 蕎麦粒山 → 八丁段 → 板取山 → 沢口山 → 寸又峡
コース全体図

寸又峡から深南部の主要ピークをつなぐ2泊3日の大周回ルート
この山を選んだ理由
黒法師岳は、深南部の中でも
縦走の“軸”になる山
丸盆岳・不動岳方面への分岐点
笹薮と急登が象徴的
という位置づけの山。
2泊3日で周回することで、
水のつながり
稜線の関係性
エスケープの難しさ
を実地で確認したいと考えました。
また、電車+バス始発利用で8:30スタート。
「初日どこまで進めるか」で周回にするかを決める、柔軟前提の計画でした。

コースの様子と感想
■ 1日目|寸又峡〜前黒法師岳〜二ツ山
前黒法師岳の登り出しは崩れ気味の急登。
テント装備での最初の核心です。

前黒法師岳までは比較的整備されていますが、その先は一気に“深南部らしさ”が出てきます。
マークが減る
踏み跡が曖昧
尾根を外すと危険
ヘリポート付近で水場を探して時間ロス。
この段階で「翌日の水補給計画」を修正しました。
行動終了予定の16時で打ち切り、無理せず設営。
深南部では“早めに止める”のも判断です。

■ 2日目|二ツ山〜黒法師岳〜バラ谷ノ頭〜房小山〜鋸山〜三ツ合山
黒法師岳手前の1812mピークは笹薮と倒木の連続。
テント装備だとバランスを崩しやすい。
黒法師岳まではアップダウンが多く、体力を削られる区間。

黒法師岳からの下りは非常に滑る。
踏み跡はあるが、笹に乗ると逆に滑る。
黒バラ平は良好な幕営候補地。
水場も近く、次回はここを活用したいと感じました。


房小山〜鋸山は細かいアップダウンが続き、集中力が必要。
鋸山までの痩せ尾根とロープ場は、
疲労が出ている時間帯なので特に慎重に。

■ 3日目|三ツ合山〜蕎麦粒山〜八丁段〜板取山〜沢口山〜寸又峡
蕎麦粒山以降は比較的明瞭。
精神的に楽になります。

八丁段からの長い下りは膝にくる区間。
最後まで集中力を切らさないことが大切。

沢口山で電波が入り、下山遅延を連絡。
3日間で電波が入ったのは山犬段と沢口山のみ。
深南部では「電波はほぼない前提」で考える必要があります。
沢口山からの下りは長く、最後まで集中力が必要。
寸又峡に無事下山し、長い周回が完結。

コース状況・注意点
✔ 水場
ヘリポートの目印
黒バラ平
千石沢分岐下
※季節により変動あり。事前確認必須。
尾根上での水期待は危険。
最低1日分+予備を持つ前提で。
✔ 迷いやすい箇所
二ツ山周辺(マーク少)
笹原区間(方向見失いやすい)
房小山〜鋸山の区間
GPS頼みではなく、尾根形状の把握が重要。
✔ 向いている人
30km以上の縦走経験あり
テント泊に慣れている
静かな山域をじっくり歩きたい
向かない人は、
まずは1泊ルートからが安全。
振り返り
黒法師岳周回は、
“距離の山”というより“判断の山”でした。
水をどう読むか。
どこで止めるか。
どこまで進むか。
深南部は派手ではありません。
けれど、尾根を繋ぐたびに少しずつ理解が深まります。
※同じ周回でも、歩く向きが変わると山の印象はかなり変わります。
後年に半時計回りで歩いた際の記録はこちら。
▶︎【黒法師岳〜丸盆岳周回|深南部ゴールデンルート反時計回り】
深南部の核心をつなぐ2泊3日の周回は、静けさ・厳しさ・達成感のすべてが詰まった山行でした。
特に黒法師岳からバラ谷ノ頭にかけての稜線は、深南部らしい雰囲気が濃く、歩くたびに新しい発見があります。
静岡の深南部を中心に、
こうした判断の記録を積み重ねています。
次はどの尾根を繋ぐのか。
また静かな稜線に向かいます。
参考リンク
▶︎【黒法師岳〜丸盆岳周回|反時計回りで歩いた深南部ゴールデンルート(47km / ±4,400m)】
同じ周回でも、歩く向きが変わると景色も難しさもかなり変わります。
丸盆岳を朝のベストコンディションで歩くため、反時計回りを選択した記録です。
▶︎厳冬期の深南部ロングはこちら|バラ谷ノ頭 30kmピストン
深南部の判断は、尾根ごとにまったく表情が違います。
丸盆岳東尾根を直登した際の詳細は、こちらにまとめています。
▶︎【丸盆岳東尾根|激薮+残雪期の核心記録(32km / ±3,437m)】
▶︎【不動岳東尾根|寸又峡から往復|核心ルート記録(41km / ±5,130m)】
おわりに
静岡の山を中心に、
毎週末、稜線を歩いています。
派手な山よりも、
静かな山・深い山・条件を読む山行が好きです。
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次は、また別の山の記録で。
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