見出し画像

【南アルプス深南部】不動岳東尾根を寸又峡から往復|41km・累積5130mの核心ルート記録

南アルプス深南部の核心といわれる不動岳東尾根。
一般的には水窪側からのピストンが現実的ですが、今回は寸又峡起点でのピストンを選びました。

2日間で41.3km、累積標高±5130m。
数字だけでも重いですが、実際はそれ以上に“削られる”山行でした。

この記事では、

・寸又峡起点のリアルな負荷
・東尾根の核心がどこに集中しているか
・判断が問われるポイント

を具体的にまとめています。

深南部に踏み込もうとしている方、
丸盆岳・黒法師岳と線でつなぎたい方の参考になれば幸いです。

▶︎不動岳をぐるりと歩いた深南部周回ルートはこちら
【不動岳ぐるり周回|26kmの深南部稜線】


山行概要

山名:不動岳
山域:南アルプス深南部
日付:2021年5月8日〜9日(1泊2日)
天候:曇り時々晴れ
起点:寸又峡温泉
コース:寸又峡〜朝日岳〜日向山〜千頭ダム〜不動岳東尾根往復
距離:41.3km
累積標高:±5130m
行動時間:17時間42分
コース定数:120
体力度:★★★★★(ロング+急登耐性必須)

※ロング慣れしている方向け。標準CTというより“判断力の消耗度”が鍵になります。


コース全体図

寸又峡温泉スタート。朝日岳で高度を稼ぎ、千頭ダム経由で不動岳東尾根へ。往復後、寸又峡へ帰還。


この山を選んだ理由

黒法師岳、丸盆岳を歩き、最後に残ったのが不動岳。

本来は水窪側からのピストンが合理的。
それでも寸又峡から“線でつなぐ”ことに意味を感じました。

静岡の山を立体的に理解するには、
尾根と谷の構造を自分の足で体感するしかない。

そしてこの時期は残雪もなく、
東尾根の状態を確認するには良いタイミングでした。


コースの様子と感想

■ 1日目|朝日岳で高度を稼ぐ

寸又峡〜朝日岳

序盤から急登。
重荷でのピーク越えは想像以上に脚を削ります。

朝日岳から見える不動岳は遠い。
「明日、本当に届くのか?」と素直に思いました。

不動岳

日向山経由で下降点へ

荷物をデポし日向山をピストン。
千頭ダムへ下降。

この時点で累積はすでに大きい。
2日目を少しでも軽くするため、下降点近くで幕営。

結果的に、この“高度稼ぎ”が後半の余裕をわずかに作りました。

お立ち台

■ 2日目|不動岳東尾根核心

04:54 行動開始。

千頭ダムまで下り、軽量化して不動岳へ。

千頭ダム

天地第一吊橋

精神的核心その1。

横揺れ・縦揺れが不規則。
強風時は難易度が一段上がると感じました。

天地第一吊橋

天地のコルへ(トラバース道)

今回は直登せず、ロープ整備されたトラバース道を選択。

以前の丸盆岳では直登地獄でしたが、
この時はロープが機能しており非常に快適。

体感的にも明らかに速く天地へ到達できました。

※状況は変わる可能性あり(2021年5月時点)

天地にある杉

上西河内への急下降

ここが心理的核心。

・急斜面
・マークはあるがラインが見えにくい
・下りの着地点が見えない

一度立ち止まり、
着地地点を視認してから下降。

疲労時ほど“止まる判断”が重要になります。

上西河内への急下降

渡渉〜東尾根取り付き

沢を渡り、再び急登。
宿舎跡を過ぎてようやく東尾根へ。

尾根に乗るまでが最もきつい区間。

沢を渡り、再び急登

東尾根上の実態

意外にも、

・踏み跡が残る区間が多い
・巻き道も機能している

ただし、

・崩壊地
・痩せ尾根
・偽ピーク

気を抜ける場所ではありません。

丸盆岳東尾根よりは歩きやすい印象でした。

丸盆岳東尾根よりは歩きやすい印象

不動岳山頂

標識が見えた瞬間、自然にガッツポーズ。

寸又峡から“つながった”。

景色よりも、その事実が嬉しかった。

不動岳山頂

下山が本当の試練

時間制限あり。

急下降を戻り、
再び天地へ登り返し。

この登り返しがこの日最大の壁。

少し進んでは止まり、呼吸を整える。

再び天地へ登り返し

分岐ミス

吊橋方向への分岐を一度通過。

疲労時は判断力が落ちる。
深南部ではこれが事故に直結します。

ロープ補助区間

コース状況・注意点(※2021年5月時点)

✔ 核心は「天地〜上西河内〜取り付き」

・急下降でラインを誤ると危険
・疲労時の判断低下に注意

✔ トラバース道はロープ整備あり(当時)

・直登より安全で速い可能性あり
・ただし整備状況は変わる可能性

✔ 渡渉後の急登が長い

・水量次第で難易度変化


向いている人

・ロング+急登耐性がある
・ルート判断を冷静にできる
・撤退基準を持てる


深南部で大切なこと

・タイムリミットを決める
・撤退基準を持つ
・疲労時に止まる勇気

登頂よりも「無事下山」が本質。


振り返り

去年は行けなかった不動岳。
遠回りに思えた一年でしたが、その間に増えた東尾根の記録が、今回の大きな判断材料になりました。

今年のGWは遭難のニュースも多く、直前まで迷いました。
それでも、撤退ラインを決め、何度もルートをイメージし、できる準備を重ねて当日を迎えました。

結果は、ほぼ予定通りのタイムスケジュール。
登頂できたことよりも、「想定の範囲内で帰ってこられたこと」が一番の収穫だったと思います。

深南部は、勢いで登る山ではなく、
準備と判断を積み重ねて向き合う山域。

黒法師岳、丸盆岳、そして不動岳。
点だった山が線でつながり、地形が少し立体になりました。

皆さまの記録とサポートに、心から感謝いたします。
本当にありがとうございました。

▶︎深南部をじっくり歩いた2泊3日の大周回はこちら|寸又峡〜黒法師岳周回

▶︎【丸盆岳東尾根|激薮+残雪期の核心記録(32km / ±3,437m)】

▶︎不動岳をぐるりと歩いた深南部周回ルートはこちら
【不動岳ぐるり周回|26kmの深南部稜線】


おわりに

静かな稜線を長く歩く時間が好きです。

静岡の山を中心に、
毎週末山を歩いています。

このNOTEでは

・山行記録
・静岡の山
・長く歩ける稜線ルート

を中心に書いています。

▶ 山行記録まとめ
マガジン「一座ずつ、山行記録」

山が好きでしたら、
フォローしていただけると嬉しいです。

次は、また別の山の記録で。

いいなと思ったら応援しよう!

HiRO|稜線を歩く ここまで読んでくださりありがとうございます。 チップは、次の山へ歩き続けるためのエネルギーになります。 無理のない形で応援していただけたら嬉しいです。