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「蘭」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~

隠岐後鳥羽院和歌大賞にて古事記編纂1300年記念大賞を頂いたのを機に、梶間和歌、冷泉家時雨亭しぐれてい文庫に入会いたしました。
(大賞関係の記事はこちらに連載しております

そちらの年4回の会報に、題詠の和歌を投稿するコーナーがございます。
4回目の投稿歌もこのたび無事撰を通過し、掲載されましたので、
掲載歌、投稿歌、またその形に至るまでの推敲の様子などをnoteにて公開いたします。

ご自身で和歌をお詠みになる方の参考や刺激としてはもちろん、
歌詠みさんでなくとも、いち歌人が歌を詠み、推敲する過程に触れてみたいという方はぜひお楽しみくださいませ。




らに」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~

題は「蘭」ですが、「藤袴」のことです。


会報「志くれてい」掲載歌

きてみれはほころひぬらしふちはかま霧たつ野辺に匂ふ秋風 梶間和歌

「志くれてい」読者投稿のお歌は濁点を付さずに表記するようですので、私も濁点なしで表記、投稿しております。


おおまかな推敲過程

・題の発表とあわせて付された、冷泉貴実子先生の解説を読み込む
・各種定数歌などで「蘭」詠の先例を読み込む
・「蘭」題で用いるべき語や頻出する掛詞などを把握する
・完成度を気にせず歌を詠む、詠みまくる
・推敲と削除を繰り返す


第1段階

吾妹子わぎもこが裾野に露の風ふきてほころびはつる藤袴かな
咲きにけり露のかごとのふぢばかま霧たちかくす秋の野もせに
きてみればが脱ぎ置きし白露も忘れがたみの藤袴かな
きて馴れし誰が移り香ぞおぼつかな野もせに匂ふふぢばかまかな
野分のわきたつ夕べの野辺にふぢばかま誰が脱ぎ捨ててほころびぬらむ
村雨の名残に露を染めなしてほころびはつる藤袴かな
吾妹子が裾野に結ぶ白露のこぼれて匂ふ藤袴かな
きてみればほころびぬらしふぢばかま霧たつ野辺に匂ふ秋風
脱ぎかけし誰が残り香にふぢばかまほころびわたる野原篠原

・衣類関係の縁語を使う
・誰のものなのか、と主を問う詠み方をする
・香りを詠む

このあたりを踏まえて詠みました。


第2段階

吾妹子が裾野に露の風わたりほころびはつる藤袴かな
咲きにけりぬしはしらつゆふぢばかま霧たちかくす秋の野もせに
きてなれし誰が移り香ぞおぼつかな野もせに匂ふふぢばかまかな
野分たつ夕べの野辺にふぢばかま誰が脱ぎ捨ててほころびぬらむ
村雨の名残に露を染めなしてほころびはつる藤袴かな
吾妹子が裾野に結ぶ白露のこぼれて匂ふ藤袴かな
きてみればほころびぬらしふぢばかま霧たつ野辺に匂ふ秋風
脱ぎかけし誰が移り香にふぢばかまほころびわたる野原篠原

1首削除、微調整。


第3段階

野分たつ夕べの野辺にふぢばかま誰が脱ぎ捨ててほころびぬらむ
村雨の名残に露を染めなしてほころびはつる藤袴かな
吾妹子が裾野に結ぶ白露のこぼれて匂ふ藤袴かな
きてみればほころびぬらしふぢばかま霧たつ野辺に匂ふ秋風
脱ぎかけし誰が移り香にふぢばかまほころびわたる秋の野もせに

微調整しつつ、絞りに入りました。
そして……


会報「志くれてい」投稿歌

きてみれはほころひぬらしふちはかま霧たつ野辺に匂ふ秋風
脱きかけし誰か移り香にふちはかまほころひわたる秋の野もせに

濁点を消し、こちらの2首を投稿しました。
そして、無事撰を通過したのが、


もう一度、会報「志くれてい」掲載歌

きてみれはほころひぬらしふちはかま霧たつ野辺に匂ふ秋風 梶間和歌


2023年10月の「蘭」詠

秋たちて風に馴るめりぬしもなくほころびそむる野のふぢばかま 梶間和歌

「堀河百首」チャレンジで2023年に詠んだものです。ふだん詠まない題なのでこなれていませんね。
ご参考までに。


和歌をお詠みになる方の参考になりましたら幸いです。


和歌の推敲記


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和歌にフルベットして生きる梶間和歌がつつがなく和歌創作、勉強、発信を続けるため、余裕のあります方にお気持ちを分けていただけますと、
私はもちろん喜びますし、それは日本や世界の未来のためにも喜ばしいことであろうと確信しております。

「この無茶苦茶な生き方を見ていると勇気がもらえる」
「こういうまっすぐな人が健康に安全に生きられる未来って、希望がある」
「この人を応援することで、人文知の明るい未来が実現しそう」
なんて思ってくださいます方で、余裕のあります方に、ぜひともご支援をお願いしたく存じます。


noteでのチップ、メンバーシップ、その他様々な形で読者の皆様にご支援いただき、こんにちの梶間和歌があります。ありがとうございます。

特に2023年、令和5年隠岐後鳥羽院和歌大賞で古事記編纂1300年記念大賞を受賞し、表彰式を含む大会のツアーに申し込んだため、ツアー代金(9万円弱)と交通費を生活費と別に工面することになりました。
皆様のご支援のおかげでそちらのツアーに無事参加。
また翌年、城南宮・鳥羽殿賞を頂きまして、こちらの表彰式ツアーにも参りました。

すべて皆様の金銭的なご支援があってこそ叶ったことです。あらためて、心より感謝申し上げます。もちろん、お気持ちでの応援も大変うれしく思っております。

こうした応援のひとつひとつが私の器を広げ、より良い和歌仕事を世界にお返しすることにつながっております。

令和5年、6年分ともに、ツアーの様子はこのマガジンに連載しております。更新をどうぞお楽しみに。


今後とも、それぞれの領分において世界を美しくしてゆく営みを、楽しんで参りましょう。


この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

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