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ストレスや不安も高いパフォーマンスを発揮するための意外な要素 #116

ビジネス、スポーツ、教育、そして日常生活―
現代では、さまざまな場面で「メンタル」や「マインド」という言葉が使われています。

なぜ、これほどまでに注目されるのでしょうか。

その理由は、成長することや目標を達成する上で、メンタルやマインドが大きな役割を果たすからです。

目標を実現するためには、経験に裏付けられた知識や技術が必要です。
しかし、最終的に結果を左右するのは、それらを発揮し続けるための「心の状態」ではないでしょうか。

どれほど優れた能力や技術を持っていても、プレッシャーに押しつぶされたり、自信を失った状態では、本来の力を発揮することはできません。

だからこそ、強いメンタル、そしてそこから形成される確かなマインドが重要になるのです。

■ メンタルは「状態」、マインドは「信念」

そもそもメンタルとは、心や精神そのものを指す言葉ではありません。
その時々における心理状態を表すものです。
つまり、状況によって変化することは自然なことです。

目標に向かって努力しているのに、なかなか成果が出ない。
思うように物事が進まない。
そんな時、メンタルはネガティブな状態になります。

「何をやってもうまくいかない」
「自分には無理なのではないか」
そう感じてしまうこともあります。

一方で、努力が結果につながった時や、物事が順調に進んでいる時には、メンタルはポジティブな状態になります。
「やればできる」という感覚が生まれ、さらに良い行動につながっていきます。
この「自分ならできる」という感覚は、心理学では自己効力感と呼ばれます。

小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感は高まり、困難な状況でも挑戦を続ける力になります。

そもそも強いメンタルとは、何も感じないことではありません。
不安やプレッシャーを感じても、自分自身をコントロールし、必要な行動を選択できる力なのです。

そして、その積み重ねによって形成されるものが、行動の軸となる価値観や信念、つまり「マインド」です。

■ 強いメンタルを崩す「ストレス」

強いメンタルを維持する上で、大きな影響を与えるものがあります。

それが「ストレス」です。

一般的にストレスというと、悪いものとして捉えられがちです。
しかし、本来のストレスとは、外部からの刺激によって心身に変化が起こる状態を指します。

その原因はさまざまです。
・ 天候や騒音などの環境的要因。
・ 病気や睡眠不足などの身体的要因。
・ 不安や悩みなどの心理的要因。
そして、
・ 人間関係や仕事の忙しさなどの社会的要因
など
つまり、日常生活の中で起こるさまざまな変化や刺激が、ストレスの原因になります。
例えば、工場の中では、高い集中力や正確性が求められる検査工程などの仕事では、緊張状態が続くことでストレスが蓄積しやすくなります。

その結果、集中力の低下、判断力の低下、イライラ、不安感、体調不良などにつながることがあります。

■ 適切なストレスは、成長と高いパフォーマンスにつながる

しかし、すべてのストレスが悪いわけではありません。

ここで重要になるのが「ヤーキーズ・ドットソンの法則」です。
この考え方では、適度な緊張やストレスがあることで、人は最も高いパフォーマンスを発揮できるとされています。

もちろん、ポイントは「適正なレベル」であることです。
過剰なストレスは、判断力や集中力を低下させます。

しかし、適切なストレスは、集中力を高め、自分の能力を引き出すきっかけになります。

つまり、問題なのはストレスそのものではなく、ストレスとの向き合い方なのです。

■ 最高の集中状態「フロー状態」

脳科学者の茂木健一郎さんは、このような高い集中状態を「フロー状態」と表現されています。
フロー状態とは、「集中力が極限まで高まり、流れるように物事に取り組める状態」とされています。

一流のアスリートや職人、研究者などが、「時間を忘れるほど没頭した」という経験を語ることがあります。

それこそが、フロー状態です。
ゾーンに入ったと表現するケースもあります。

例えば、将棋棋士の羽生善治さんについて、将棋を考え始めると頭の中に将棋盤が浮かび、運転に集中できなくなるという趣旨の話があります。

この話の詳細がどこまで事実なのかは確認できません。
しかし、一流の人ほど、自分自身の集中状態を高いレベルでコントロールしていることは、多くの場面で示されています。

必要な時に最大限の集中力を発揮する。
その能力が、高い成果を生み出す大きな要素になります。

■ フロー状態を導く「マインドフルネス」

一方で、一般の人が自由自在にフロー状態へ入ることは簡単ではありません。

そこで注目されているのが「マインドフルネス」です。

マインドフルネスとは、今この瞬間に意識を向け、自分自身の感情や状態を客観的に把握するための方法です。

不安や焦りに流されるのではなく、「今、自分はどのような状態なのか」を理解する。

その習慣が、適切な緊張とリラックスのバランスを整えることにつながります。

海外では、Googleをはじめ、Meta PlatformsやIntel、McKinsey & Companyなどで研修に取り入れられてきました。

日本でも、企業研修などで活用される事例が増えています。

■ 成長には負荷が必要

挑戦している時、不安を感じることがあります。
「失敗したらどうしよう」
「本当に自分にできるのだろうか」
「このまま続けて大丈夫なのだろうか」

しかし、不安があること自体は悪いことではありません。
むしろ、不安があるということは、それだけ真剣に何かに向き合っている証拠です。

大切なのは、不安を消すことではありません。
不安を成長するための負荷と捉え、前へ進む力を持つことです。

成功する人とは、不安を感じない人ではありません。
不安を味方にできる人です。
悩みは弱さではありません。
向き合うことで、成長するための材料になります。

不安を感じた時は、まず頭の中だけで抱え込まないことが大切です。

例えば、
・不安に感じていることを書き出す
・原因を見つける
・自分にできることへ集中する
・変えられないことは手放す
こうすることで、漠然としていた不安は、具体的な課題へ変わります。

そして課題になった瞬間、人は行動を選択できるようになります。
自分で変えられることと、変えられないことを区別する。

この考え方は、ストレスと向き合う上で非常に重要です。

■ ストレスを敵にするのではなく、味方にする

もちろん、すべてのストレスを個人の努力だけで解決できるわけではありません。
過剰な業務量、不適切な環境、人間関係の問題など、環境そのものを改善する必要がある場合もあります。

しかし、適切なストレスまで否定してしまえば、自分自身の成長や能力を発揮する機会まで失ってしまう可能性があります。

大切なのは、ストレスをすべて排除することではありません。
強いメンタルとは、傷つかない心ではありません。
ストレスを理解し、自分自身でコントロールする力を身につけることです。
揺れながらも、自分自身で立て直す力です。

不安を力に変えた瞬間、人は一歩強くなれるのだと思います。

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