暑さも寒さも受け入れるのよ! ドイツの夏
日本の皆様方、暑中お見舞い申し上げます。
猛暑日が続き、ご体調を崩されていらっしゃらないでしょうか?
適切な水分補給と、適切なエアコンの使用を心掛けていただき、どうぞこの夏も乗り切ってくださいませ。
私は、熱中症で救急車に乗った経験があります。少しでも異変を感じたら、すぐに対処なさってください🚑
なおドイツは雨が続いて、ここ数日大変寒い日が続いております。
『夏が終わって、また冬がやってくる‥‥』と思ってしまいそうな寒さで、先週の暑さが嘘のような天候が続いております。今朝も気温9度です。
先程、外の様子を眺めましたら、雨風が激しく、ダウンを着ている人を見かけました。我が家では、片付けた毛布をまた引っ張り出したところです。
この雨が止めば、すぐまた暑くなるに違いません。この極端すぎる天候の変化こそ、ドイツらしさだと思っております。身体はなかなか慣れませんけれど。
それではまた。
皆様方、どうぞご自愛くださいませ。
かしこ
✨☀️☔️✨☀️☔️✨
この街の本日の天気予報は、雨100パーセント。ここ数日は雨一時曇りで、日に日に寒さを増し、換気の為に窓の上部を開けていると、それだけでも冷え過ぎてしまうので、ぴっちりと閉めている。
昨夜は、夕食後外を眺めていたら、2、3秒後に大粒の雨が降り出し、嵐のようになった。
バルコニーにダッシュし、クッションを中に投げ入れ、ソファの座部を後ろに移動させた。この間10秒ほど。それでも全身びっしょりになった。
この前の大雨の時は、丁度そのソファに座っていて、まずい!と思って立ち上がり、部屋に戻った時には、既に吹き込む雨でびしょ濡れになった。2メートルほどの移動であったにも関わらず。
この突然さ、この激しさ、何なの?と毎回思う。
こうした突然の大雨は度々あり、あまりにも突然の為、外にいる人は雨宿りをしようと思っても移動が間に合わない。ハッとした瞬間に、嵐に巻き込まれた状態になる。
この時期はいつもそうだ。晴れて暑い日が何日か続いて耐え難い、と思えば、今度は長雨が続く。またある日止んだと思えば、いきなりの暑さが訪れる。これが繰り返されるうちに、気づけば秋になる。
「この前の暑さは何だったの?」これまで何回口にしただろう。
暑いのは嫌いなので、夏に期待をしているわけではないけれど、先週、あれだけ暑くなったというのに、晩秋のようなこの寒さは何なの?!と思ってしまう。
今、下を向いてこれを書いていて、ふと目を上げたら、一瞬のうちにまた嵐になっていた。大慌てでバルコニーのソファの座部を跳ね上げに行った。
あまりに雨が激しく、雷が轟き、雹も降ってきたので、それが精一杯で、部屋に逃げ込んだ。そう、雹❄️にもしばしば見舞われる。
「今日はお散歩無理よ〜」と愛犬に声をかける。
犬も、この寒さと、打ちつける雨と雷の音に納得しているので、ぬくぬくした秋冬用ベッドでお昼寝を始めた。
先週まで、順調に夏に向かっていた。気温も上がり、女性の服装も突然変化した。
『魔法の若見えワンピース』を書いた頃は、カジュアルな姿の人が多く、ワンピースの人はなかなか見られない、と書いた。
実際、女性の皆さんはTシャツにストレッチパンツの人ばかりであったのに、いきなり始まった暑さで、もう足にまとわりつく衣服などあり得ない!とばかりに、服装はがらりと変化する。
いきなり足出し、肩出し、背中出し、お腹出しのリゾート風の華やかな色合いのワンピースや短パンに変わった。
急に柄物の服が溢れるので、別の街にいるような気分になる。
お年寄りでも、背中が完全に開いたワンピースや短パンは当たり前であるし、見ていても何の違和感もない。
暑いので、できるだけ涼しくする、それだけのことだ。二の腕のお肉がどうの、といった日本的な感覚はない。

もし日本の家の近所で、この写真のような服を私が着ていたとしたら、2時間後くらいには近所中の話題になることだろう、と思い浮かべる。
地方新聞の読者のコラムに、「嘆かわしい、年配の女性は慎み深くすべき」とか投書されてしまいそうだ。
この静かな城下町のご近所のお年寄りは、茶色やグレーの服が定番で、地面に同化しそうな色ばかり。
ごく僅か、赤やオレンジなどはっきりした色の服を着る人もいて、当然目立つ。そして当然のように変人扱いされている。こういうところが日本は残念だ。
この派手目の色を着る人と、眼科の待合室で一緒になったことがある。
「自転車で毎日仕事に行くので、動きやすい格好じゃないとね。自分が明るい気分になる為に、明るい色の服を着ないと」
と、話していた。
変人どころか、70歳過ぎても元気で働く頼もしいお年寄りだ。毎朝勢いよく自転車を漕いで坂道を上っていく(しかも電動自転車ではない)。
元々都会暮らしだったそうで、服装をこの地域のお年寄りに合わせるつもりなどないそうだ。
それでいいではないか、と思いながら聞いていた。この静かな町で、人から何か言われているのも承知で、自分のスタイルを貫いているのは貴重だと思う。
着たいものを着て、陽を浴びる為に肌を出す。眩しい日差しの元では鮮やかな柄を着るのが普通、と考えるヨーロッパの人々が羨ましい。
街のカフェで楽しそうに過ごす彼女たちは、やはり素敵だ。
✨👒✨🪭✨👒✨🪭✨
冬が長いドイツでは、年間でも晴天の日が少なく、簡単にビタミンD欠乏症になる。毎日外に出ていても、そうなってしまうのだ。
太陽が出ているのはとても嬉しいことであり、積極的に陽を浴びる。帽子も被らず、当然日傘など見かけない。日本の日焼け防止グッズなど、もし見ても何に使う物かわからず、あり得ない異物と考えることだろう。
そもそもかつてのヨーロッパでは、帽子は貴族が被るものであり、日傘は娼婦が使うものだった。さすがに現代ではそんな見方はされないものの、少なくとも、帽子を被っているだけで、珍しいとは思われている。
日本から持参した、UV加工の深く被る帽子や麦わら帽子で過ごしているけれども、すれ違う人は、『おや?帽子』という目線を送ってくる。 乳幼児や子どもたちは帽子を被っているけれど、幼稚園くらいになると、もう被らないで走り回っている子が多い。暑い日は時々心配になる。
そんな暑い日の帽子事情を懐かしく思うほど、ここ数日は寒い。
しかし、先週は三日間ほど大変な暑さだった。湿度が少なくからりとしているから、じっとりした暑さではないものの、日向に出ると、焦げ付くような危険な暑さ。例えるなら、沖縄の5月以降の暑さ。
空気が乾燥していて、森や林が多いので、午前中は日本の標高の高い高原地帯のような快適さを味わえる。木陰に入ると涼しい風が吹き抜ける。
しかし午後2時あたりを過ぎると、いきなり気温は上昇し、ぎらつく日差しの元、酷い暑さになり、それが19時くらいまで続く。ちなみに日の入りは21時過ぎなので、子どもたちはいつまでも外で遊んでいる。
こうした気候なので、朝は家中の窓を開け、冷たい空気を部屋に取り入れる。十分に清々しい空気を取り込んだところで、窓を閉め、日が当たる側の窓のシャッター状の日除けを下ろす。室内が暑ければ、サーキュレーターを回しておく。
午後になったら、反対側の強い日差しを避ける為に、日除を下まで下ろし、部屋が薄暗くなるので電気を付けて過ごす。
暑さ対策はこれだけ。
エアコンがないヨーロッパでの生活は、大抵こんな感じである。新しいホテルや公共施設や店舗には設置されているものの、一般住宅にはエアコンはなし。
ドイツの住宅は、冬の防寒に対しては完璧であり、建物内部は暑さもある程度までは遮断する。これまではさほど気温も暑くなかったから、それで済んできた。
しかし、今後数十年先はどうなってしまうだろうか。少しずつ確実に、気温は上昇している。
家の窓は天井近くまであり、そもそも日本のように、エアコンを設置するような想定はされていない。
もし今後ヨーロッパの気温が急上昇し続けても、日本のように普及させる事は難しいだろう。そもそも環境問題にこれだけ取り組む国である。少しくらい暑さで人が倒れたところで、エアコンを取り付けましょうなどと言うはずもない。
近所の大型のホームセンターは、店の外に、
[環境に配慮して、この店ではエアコンを使用しておりません]と表示されている。
この時期、ガラスの天井から日が燦々と降り注ぎ、呼吸ができないほどの暑さだ。大急ぎで必要な品物を手にしたら、ダッシュでレジに行き、一刻も早く外に出ないと具合が悪くなる。
働く人たちは、飲み物やアイスクリームを口にしながら働いている。気の毒なほどの暑さである。働く人の健康問題は? と心配になる。
原子力発電所は廃炉となり、風力発電の大きな風車が次々と増え、くるくる回っている。広大な牧草地に何基も並ぶ様子は、なかなかの風景だ。
環境問題への徹底した取り組みは、動物愛護法にもよく表れている。
暑くなってきたこの時期、蜂が増える。ミツバチやスズメバチも生態系のバランスを取る重要な昆虫と考えられている。
ヨーロッパを旅した人は、レストランで大きなミツバチ🐝に寄ってこられて当惑した人も多いことと思う。
肉料理や甘いものに寄ってくる。日本人の間では[俗称 : 肉蜂]と呼ばれたりもするが、ミツバチの一種である。
攻撃性は少ないが、かといって全く刺さないわけではない。知り合いは手を腫れ上がらせていた。
別の知人の家にはこの蜂が巣を作って困っているそうだ。
蜂は保護対象である為、巣を作られたとしても、勝手に駆除などすると。数百万円の罰金が課せられる。被害に遭った場合は行政に相談するにしても、思いついて駆除などしたら大変なことになるのだ。
家の近所や街中ではあまり見かけないが、少し郊外に行くと、外の道に面したパン屋さんのショーケースの中で、飛び回る蜂を見ることができる。
どこのパン屋さんにも売っているが、アイシング(砂糖衣)がかけられた渦巻き状のパンは人気がある。

そのパンは蜂🐝にも大人気で、そのパンが並べられたケースの中で数匹飛び回っているのを見たことがある。入ってきても、そのままだ。
店の人も気にせず追い払いもしないし、買い物客も気にせずそのパンを買っている。
衛生観念がどうの、というのとは違う次元の話なのだ。
蝿のようにばい菌を媒介しないとはいえ、飛び回る蜂と甘いパン、買うには抵抗のある光景だ。
保護対象の大型動物といえば、狼。近代ドイツには狼はいなかったのだが、ポーランドの国境からドイツ側に入り込んで来て、人が襲われたという。しかし、狼は保護対象であるので、駆除はできないそうだ。
蜂も困るが、狼はもっと困るではないか( ⌯᷄௰⌯᷅ )
被害に遭った人を思うと、ここまで徹底される制度とは何なのかと思う。
暑さ&エアコン問題に戻ろう。
室外機を設置した一般住宅は見たことがないけれど、この前、近所のアパートの窓の上の部分が開けられて、そこから蛇腹のホースが出ていた。室内据え置き型のエアコンのホースだ。
『暑さに耐えられず、とうとう買ったんだ〜』と、珍しいのでジロジロ見たのだが、アパートの壁にそのホースを通す為の穴を開けることはせず、斜めに開けた窓から無理矢理ホースを出していた。
冬の暖房は、どの家もハイツングがあるのだから、このエアコンはあくまで冷房のみの機能の筈。耐えられない暑さというのは、日数的には大してないので、この程度の簡単な設置で済ませる気持ちはよくわかる。
こちらの窓は、ハンドルを下に下げると窓上部が手前に倒れて、上だけ開けておけるタイプが多い。
そのお宅では、うっかりホースのことを忘れて、窓を閉めてしまったことがあるらしく、途中に2箇所折れたところがあった。切ない‥‥
見た目が悪いとはいえ、先週のような寝苦しい日には随分役に立ったに違いない。
✨✨🐝✨✨🐝✨✨🐝✨✨
先週の暑かった三日間は、たまたま用事で出掛けており、そのうち二日は熱中症になった。倒れる寸前でエアコンがあるスーパーに逃げ込んだり、家に到着できたので、ギリギリセーフであったけれども、頭が朦朧として、眠気が起こり、吐き気が起きていた。
大人などだから気をつければいいのに、と人から思われそうだけれど、これはどうしようもない。
暑すぎた上に、カフェですらエアコンがないのであるから。
最高に暑かった日、犬のトリミングで出かけていた。犬を預けて、終わるまで待たなければいけない。トリミングサロンにも、扇風機のみでエアコンはないので、犬の無事を祈りつつ、さっさと出てきた。
日陰を選んで歩いていても、既に熱風が吹いてくる。歩いたのは僅かな距離でも、眩しいほどの陽光で、焼け付くような暑さだ。
近くのどのカフェで待とうかと考えたけれど、どこもエアコンはない。外のテーブルがあり、そこが日陰になっているカフェを選んで行ってみたら、皆さん私と考えることと同じ。既に外テーブルは埋まっている。
日差しを避けられるだけでもマシかと、中で待つことにした。中はモワッと暑かったけれど、外のテーブルが開くまでの間と我慢することにした。
ドイツでは、冷たい飲み物に氷が入れられないのが殆どだ(スタバなどは除外)。ジュースは冷蔵庫に入っていても、大して冷たくはない。お腹の冷えは身体に悪いから、健康の為と考えることにしている。
そしてアイスコーヒーは存在しない!(これもスタバは除外)。一般のカフェでは温かいもののみ。
「アイスコーヒーありますか?」と聞いたこともあるが、
「コーヒーとは温かいものなのです」とウェイターさんに真顔で言われたことがある。
イタリアンレストランにはアイスコーヒーのメニューがある。
しかしそれは、バニラアイスちょっぴりと生クリームたっぷりが入れて出される上、氷は入っていないので、甘すぎて、ぬるすぎて、毎回気持ちが悪くなる。
日本の老舗喫茶店の、銅のカップに入れられた、キーンと冷えた香り高いアイスコーヒーが懐かしい😭
この店ではラッキーなことに、この日からアイスカプチーノを始めた、とお知らせが貼ってあった。
氷入りだ! 滅多にお目にかかれない。それだけでもありがたい、と注文する。
しばらく飲みながらnoteを眺めていたが、気がついたら頭がぼんやりして、目が字を追っていなかった。そして眠気が起きていた。
どうして眠いんだろう、と思ったが、ハッとした。これは熱中症だ。意識を失う前の状態! と気づき、大急ぎで店を出て、隣のスーパーに逃げ込んだ。さすがにスーパーは冷房完備。ありがたい。
しばらく買い物をして涼み、カフェに戻ると外テーブルが空いていた。二杯目のアイスカプチーノを頼み、そこに座る。
風が吹くだけマシ。中よりずっと快適だった。やれやれ。
そこからカフェ前の広場を眺めると、私がこれだけ暑さでバテているというのに、陽光がギラギラと当たるベンチに、帽子もなしに座って話している人があちらこちらにいる。そばのジェラート屋さんのそばには日陰すらない。皆さん、暑い中で食べている。
年配者も多い。(暑さに関する感じ方の低下]が頭をよぎる。それにしては元気だ。どうなっているのだろう、と思う。
いくらこの気候に慣れていても、長い時間は危険。『倒れるぞ!』と心配になる。
それにしても、暑い暑いと、ハンディの扇風機や扇子🪭をバタバタさせているのは私くらいのものだ。また顔に吹き出してくる汗を拭うのに既にハンカチ2枚を使っていた。
顔の汗を拭う人など周囲にはいない。毎回それを不思議に思うのだけれど、ドイツ人って汗腺がないわけ?と思うほどだ。
そして、ドイツ人はハンカチを持たない。デパートにも売り場はない。誰も使わないのだから💦
トイレにはペーパータオルかハンドドライヤーがあるからいらない、と言う。
ドイツのブランド、フェイラーのハンカチを買うのは日本人だけだ。何軒か置いてある店もあるが、あくまでも日本人の為に、また日本へのお土産用として売っている。
日本では季節限定品、コラボ商品なども人気で、昔と違い若い子にも大人気のフェイラー。それが夢のように思える。
これもまた文化の違い。
『でも持ってなくて困らないの?💦』と人に聞いてみる。
‥‥困らないそうだ。
✨🪭✨🪭✨🪭✨
さて、暑さの続いた三日目、劇場にオペラを観に行った。演目はドン・ジョバンニ、人気があるので、劇場は満員状態だった。
私はいつものようにバルコニー2階のオーケストラピットを見下ろせる席。特にこの時は並びの席でなく、舞台の方を向いた、縦に並ぶ4席のうちの一つだったので、舞台を観やすい上に、席の周りは広く、出たり入ったりする人を気にする必要もなくゆったり。ご機嫌だった。
前の晩は蒸し暑くて寝付けず、結局一睡もできなくて最悪の体調であった。
早めに劇場近くのカフェまで来て時間を潰していたのだが、眠気覚ましのコーヒーを飲んでも、うつらうつらしてしまう。
折角のオペラで寝たら勿体無い。しかし大丈夫。私はオペラでは絶対寝ない。何故なら忙しいからだ。
この劇場では舞台の上に、ドイツ語と英語、それぞれの字幕が出る。ドイツ語を先に見て、英語も見て、内容を確認したり、英語を先に見てから、ドイツ語を見て、『ああ、そういう表現をするんだ』と覚えたり。字幕は歌に合わせて流れるので、大急ぎで見ないと変わってしまう。大忙しだ。
そして演者たちの様子は勿論眺めるので、とにかく忙しい。
内容を知っているから流れはわかっていても、やはり歌は聴き取れないことが多いので、字幕で確認したい。
忙しすぎて、眠気など吹っ飛んでしまうのだ。
この日は人気の演目なので勿論満席、また3階から6階までのバルコニー席は椅子の後ろ側の立ち見エリアにもかなり人が入っていた。


一幕の途中、40分ほど過ぎた頃だろうか、ドン・ジョバンニが騎士長をうっかり殺してしまい、その後も相変わらず浮気三昧をしているあたりで、ガターンと音がした。
『ガターン?』舞台の方向ではない。舞台以外に活動している人はオーケストラの人だけだから、もしかしてオーケストラピットの奥の出入り口辺りで何か倒れたのかと思ったけれど、音はもう少し高いところで起きたような気がした。
『何の音だったの?』
上演中の為ざわついてもいなかったけれど、そのうちに原因がわかった。バルコニー席の真向かいの辺りを見たところ、三階席の立ち見の人達の動きがおかしい。誰か倒れて、介抱しているようだ。
気になってしばらく見ていると、係員も駆けつけた。倒れた人は年配の女性で、何人かに支えられてはいたものの、自分で歩いて外に出て行った。
『良かった、意識を失って倒れたのではないようだ』と思う。
そのくらいで済んで良かったけれど、私はしばらく考えた。
人気の演目で、チケットが手に入らなかったのだろう。或いは旅行客が立ち見なら観られるから、と予定に入れたのかもしれない。
観たい気持ちはわかる。しかし、19時開演で終わるのは23時だ。ドン・ジョバンニを全幕立ち見で鑑賞するのは無理がありすぎる💦
立ち見はチケットが極端に安いので、若い人たちが多いけれど、いくら若くても大変だろう。
暑い中一日過ごし、夜からオペラを観るのではしんどかった筈。
疲れを感じていたら、年配者は席がない限り、いくら観たくても自重すべきだったのでは、と考える。折角の楽しい夜も、倒れてしまったら台無しだ。
舞台とオーケストラの熱気もあり。会場は冷房完備であるけれども途中からムンムンしていた。
大事にならなかっただけでも良かった、と思ううちに、休憩時間となった。飲み物を楽しんで会場に戻ると、冷房は一幕の時よりもずっと効いていた。
これも、もし人が倒れなければ、温度もエコ状態のままだった筈(~_~;)
その後は一幕の時よりも快適に鑑賞ができ、ドイツ語、英語、舞台、ドイツ語、英語、舞台、時々オーケストラピットを覗き込む‥‥その忙しい繰り返しをしながら、ラストまでの時間を楽しんだのだった。

✨🍷✨🍷✨🍷✨
バイエルン王ルートヴィヒ2世が、ワーグナーの要求に応えて造らせたバイロイト祝祭劇場は、いまだに冷房がない。
オーケストラピットの位置は通常の舞台の前ではなく、ワーグナーの意向で、舞台の下、観客からは見えない船底のような場所に設けられている。
舞台芸術を支えるオーケストラが、文字通り縁の下の力持ち状態の場所におかれ、過酷な環境での演奏を強いられている。
またワーグナーの音響へのこだわりの為に、椅子にはクッションが取り付けられていない。
暑いのに加えて、観客は長いオペラの鑑賞中にお尻が痛くなるわけだ。
今後、この暑さがますます酷くなると、まず演者とオーケストラの面々が、そして観客がバタバタと倒れる日も近いかもしれない。
そうなって初めて、
[当劇場は、環境問題に配慮しつつも、安全でまた快適な上演の為、空調設備設置に踏み切りました]
とのお知らせが、劇場入り口に貼られることになるのかもしれない。
或いは、どれほど暑さの問題が高まったとしても、環境問題が優先されて、このままなのかもしれない。
だってここはドイツだから。ドイツは揺らがないのだ。
環境か、人の安全か、それが問題だ。
— 完 —
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