幕が上がる、その先へ 第2話
↑前回のお話
『ヒカリノ稽古場へ』
体育館からぞろぞろ生徒や教師たちが出ていく
井上、中西、奥田も話しながら体育館を後にする
井上「…すごかったね」
中西「“すごかった”って言葉じゃ足りないよ…あの人たち、あの世界に生きてた」
奥田「やっぱり、小林さんと久保さんかっこよかった…中村さんと理々杏さんの芝居もめちゃくちゃよかったし、峯村さんの脚本も良かった。
やっぱヒカリノカケラは最高だな~」
しゃべりが止まらない奥田に言葉を失う、井上、中西
中西「ずっと気になっていたんだけど、「ヒカリノカケラ」って演劇部の名前なの?」
奥田「「ヒカリノカケラ」っていうのは外部で公演するときの劇団名なの」
井上「すごい、文化祭以外でもやってるんだ」
中西「てか、演劇部って大会あるの?」
奥田「あるよ!運動部と一緒で地区大会、県大会、全国大会って感じの規模であるんだよ!まぁ、あまり知られていないんだけどね…」
中西「そうなんだ…ごめん」
井上「てか、奥田さんはもともと演劇部だったの?」
奥田「うん!中学からやってるんだ。地区大会止まりだったけどね」
井上「なるほど」
奥田「てかさ、私のことはいろはでいいよ!2人のこと下の名前で呼んでもいい?」
井上「いいよ」
中西「私も」
奥田「よろしく!和!アルノ!この後、演劇部の見学行く?」
井上「行きたい!」
中西「めちゃくちゃ興味ある」
奥田「よし!じゃあ出発!」
○演劇部・部室
演劇部の部室には多くの見学者が来ている。
賀喜「いらっしゃい!藤ヶ丘高校演劇部、【劇団ヒカリノカケラ】へようこそ!」

林稔「俺たちは“演じる”だけじゃなく“創る”こともやってる。脚本、照明、演出……全部、自分たちの手で。」
林瑠奈「私は演出。兄とはよく言い合いするけど、舞台のことになると一致団結なんです。」

2年の賀喜、双子の林稔、瑠奈は見学者たちに説明している
その光景を見ながら、久保、中村、伊藤の3人は話している
久保「今年は見学者が多いね」
中村「んね、でもどれくらい入るかな」
伊藤「入ってもらわないと!部員が少ないと存続出来ないんだから!」
久保「そうだよね、来年以降も続いてってほしいし」
中村「そのために新入生たちにアピールしてきてね!部長!」
久保「部長って呼ばれ方、まだ慣れない…」
中村「もう半年になるでしょ!そろそろ慣れなさい!」
久保「えー」
伊藤「そういえば、史織里。○○くんまだこないの?」
中村「さっき、購買行くって言ってからまだ帰ってこないね」
久保「どうせ、購買部行きがてら、声掛けられてニヤニヤしてんでしょ。ほっとけばいいの」
中村・伊藤「ふーん」
中村と伊藤がニヤニヤしながら久保を見ている
久保「なに?」
中村「別にー、奥様は何でもわかってるなーって思って~」
久保「お、奥様じゃないって!○○は大事な仲間だから!」
伊藤「分かってるよー」
久保「おちょくってんじゃん!」
賀喜(しおり先輩、乙女!可愛い!)
林稔(相変わらずだなー)
瑠奈(早く付き合わないかなー)
見学者に説明しながら2年生はそれぞれ思っていた。
○部室の外
井上たちが部室の前に到着する。
井上「うわー、結構いるね」
奥田「もともと人気あるからね」
中西「どうする?別日にする?」
小林「あ、いろはさんじゃん」
奥田「○○さん!どうも!」
小林「どうも、さっきも見に来てくれてありがとね」
奥田「いえいえ、紹介します。井上和さんと中西アルノさん。さっきの公演で席が隣で」
小林「井上さんと中西さんね、3年の小林○○です」
井上・中西「よろしくお願いします」
小林「よろしく、中に入らない?」
井上「まだ他の見学者のみなさんが中にいるんで」
小林「ふーん」
小林、部室のドアを開ける
小林「はーい、お時間になりまーす。入部していただける人はこの紙に記入をお願いします」
新入生がぞろぞろと出ていく。
??「先輩、入部したいので紙いただいてもいいですか?」
小林「うん。君、名前は?」
菅原「菅原咲月です。よろしくお願いします」

書いた紙を小林に渡して部室を出ていく
小林「史織里~いろはちゃんたち来たよー」
久保「いろはちゃん。いらっしゃい」
奥田「史織里さん!お久しぶりです!」
井上「初めまして、井上和です」
中西「中西アルノです」
久保「藤ヶ丘高校演劇部部長、《劇団ヒカリノカケラ》主宰の久保史織里です。せっかくだからみんなも自己紹介しよう」
中村「初めまして、主に役者を担当しています。3年の中村麗乃です」
伊藤「同じく3年で役者と照明を主にやっています。伊藤理々杏です。あれみねは?」
小林「おい、みねー!お前の番だぜ!」
部屋の奥方からタイヤつきイスを転がしながら出てくる
峯村「脚本担当の峯村です、3年です」
じぃーと3人の目を見る
中西「え、なんですか?」
峯村「うん、いい目してる。舞台映えしそう」
小林「それ初対面でやると通報されっぞ」
峯村「え!あ、ごめん!先生には言わないでね」
中西「別に大丈夫ですよ」
峯村「良かったー…」
小林「あと、2年’S」
林稔「雑くないっすか。林稔。演出志望です。今は技術全般みてます」
瑠奈「林瑠奈、脚本志望です」
賀喜「賀喜遥香です!今は裏方メインでやってます!あともう1人いるんだけど今お休み中で…」
小林「これで全員かな」
中村「○○自己紹介してないじゃん」
小林「さっきしたよ」
久保「じゃ軽くこの部活の説明するね。我々、演劇部は秋にある大会と年二回の定期公演、外部での公演に向けて、基礎練習や裏方準備などを行っています」
林稔「技術も自分たちでやっている」
機材を見せながら説明していく
林稔「これらの機材を使って公演している」
久保「ざっとこんな感じかな。なにか質問ある?」
中西「はい」
久保「中西さん」
中西「はい、久保さんに質問なんですけど何で舞台中、気配を薄めたんですか?」
久保「あー、そゆことね」
久保「それは相手を立ててるからだよ」
中西「どういうことですか」
久保「自分ばかりが目立っちゃダメ。皆がスポットライトを浴びる。舞台はね、光を浴びる人だけじゃなく、光を“渡す人”がいてこそ成り立つの」
久保が優しく微笑む
中西「はあ…」
小林「まあ、最初はわかんねーよ」
中村「そうそう。史織里はかなりの芝居バカだからね」
久保「皆だってそうじゃん!」
部員全員が笑い出す
小林「で、どうする?入る?」
奥田「もちろん入ります!」
井上「私もやってみたいです!」
中西「私も演劇という世界を浴びてみたい」
小林「よし、決まりだ!遥香、紙を3枚!」
賀喜「はい!」
久保「ようこそ藤ヶ丘高校演劇部へ」
その日の夜
久保はスマホでメッセージを打っている
「今日、新入生が来た。まだ少しぎこちないけど、舞台を好きになれる子たち。きっと、
私たちの光を継いでくれる。」
(送信音)
久保「待ってるよ」
続く
↓次のお話
