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#14 とんでけ

今週は散々だった。

不注意でミスをして上司に怒られ、
お客様からはクレーム。

そして、
さっき届いた資格試験の不合格通知。

悔しくて、腹が立って、
資格テキストを思いっきりゴミ箱へ投げ捨てた。

頑張ったって、意味ないじゃん…

メイクも落とさずソファで丸くなった。

気が付くと、外は明るくなっていた。

いつの間にか眠っていたようだ。

体も重いし、心はもっと重い。

何もしたくない。

その時だった。

ゴソゴソ。

パラパラ。

振り返ると、やっぱりやつがいた。

かうぽんは、昨日捨てたテキストを抱えている。

そういえば、
あのテキストにはかうぽんが貼ってくれたシールが残っていた。

急に申し訳ない気持ちになる。

「かうぽん…あのね…」

すると、私の言葉をさえぎるように言った。

「ぷらぷら」

「へ?」

ぷらぷら。

少しだけ強めだった。

「あ、はい…。」

以前一緒に行った、「ぷらぷら」という場所。

今日も行くらしい。

断りきれず、重い体を起こしてついていく。

昨日までなかった質素な扉をくぐると、
一面緑の世界が広がっていた。

かうぽんは、ぽてぽて歩く。

何も言わずに歩く。

そして、小高い丘の上で立ち止まった。

「ビリビリビリ」

乾いた音が響く。

見ると、
かうぽんがテキストのページを一枚破っていた。

また一枚。

さらにもう一枚。

(え…、めっちゃ怒ってる?)

「かうぽん、ごめん。せっかくシール貼ってくれたのに、私、試験落ちちゃって…。イライラして、テキストまで捨てちゃって…。」

慌てて謝っていると、

ふわっ。

目の前を紙飛行機が横切った。

「へ?」

かうぽんは、破いたページを私に差し出す。

「ひこーき」

どうやら、紙飛行機で遊びたいらしい。

「あ、私も作るのね。」

「ふむ。」

言われるがままに紙飛行機を折って飛ばす。

…全然飛ばない。

すると、かうぽんが自分の紙飛行機を放った。

すーっと風に乗って、気持ちよさそうに飛んでいく。

そして、どや顔。

「私だって、昔は紙飛行機得意だったんだから!」

負けじとテキストを破る。

折る。

飛ばす。

「あっ!」

今度は少しだけよく飛んだ。

「かうぽん、競争だ!」

「ふむ。」

「とんでけーーーーーー!!」

夢中になって紙飛行機を飛ばした。

付箋だらけで、
マーカーがたくさん引かれたテキスト。

それで作った紙飛行機は、
色鮮やかで、とてもきれいだった。

その景色を見ていたら、
自分の頑張りも無駄ではなかったのかもしれないと
少しだけ思えた。

しばらくの間
飛んでいく紙飛行機を眺めていた。

「…なんか、お腹空いたな。」

するとかうぽんはゴソゴソと何かを取り出し、
私に差し出した。

「これ、隠しておいた私のお気に入りのクッキーじゃん!」

「ふむ。」

そう言うと
かうぽんは私より先にクッキーを口に入れた。

私も負けじと口に入れた。

ゆっくり味わう。

飲み込んだあと、
大きく息を吸った。

よし。

隣では
かうぽんがまた紙飛行機を飛ばし始めていた。


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かうぽん|思考の散歩をする牛 ご支援ありがとうございます🐄🍀 いただいたチップは、かうぽんのおやつ代として大切に使わせていただきます☺️