#11 たいへんよくできました
休日なのに、珍しく机に向かっていた。
資格のテキストを広げ、久しぶりの勉強である。
…とはいえ、なかなか集中できない。
少し進めてはトイレへ行き、
また少し進めてはスマホを見る。
そんなことを繰り返していると、
ふと視線を感じた。
見ると、かうぽんがじっとこちらを見ている。
なんだか気まずくなってしまい、
「今日は資格の勉強で忙しいんだ~」
と言ってみた。
かうぽんは何も言わず、じーっと見ている。
「まぁ、かうぽんは絵本でも読んでてよ。」
近くにあった絵本を渡すと、
「ふむ。」
とかうぽんは素直に受け取った。
ページをめくる姿を見ながら、
(…文字、読めてるのかな。)
と少し気になったけれど、
隣に誰かいるという謎の緊張感のおかげか、
気付けば勉強に集中していた。
ふと時計を見ると、もう2時間。
(あれ、かうぽんは?)
隣を見ると、
床に倒れていた。
そのそばには、
「甘いのたべたい」
の文字。

まるでミステリー小説のダイイングメッセージみたいだ。
「かうぽん、大丈夫!?」
「あ……あまいの……」
「今買ってくるから待ってて!!」
私は慌ててコンビニへ走り、
目に留まった新発売のプリンを二つ買った。
「かうぽん、生きてる!?」
息を切らしながら部屋へ戻ると、
かうぽんは何事もなかったように椅子に座って待っていた。
「…よかった。」
プリンを並べると、
「ふむ。」
と満足そうにうなずく。
二人でプリンを食べ、
温かいお茶を飲んで、
ソファでひと休み。
気が付くと、少し眠ってしまっていた。
カサ、カサ、カサ…
音で目を覚ます。
「あれ? かうぽん?」
見渡すと、
かうぽんが私のテキストに何か貼っていた。
「何やってるの?」
そう聞くと、
かうぽんは満足そうな顔で、
テキストをこちらへ向けた。
そこには、
さっき食べたプリンの
『新発売』
のシールが貼られていた。
「…なにそれ(笑)」

『たいへんよくできました』
そんなシールはどこにも貼っていない。
でも、
かうぽんなりの
「よく頑張ったね」だったのかもしれない。
そう思ったら、
なんだか少しうれしくなった。
「よし、もうひと頑張りしますか。」
テキストを開くと、
かうぽんは満足そうに
「ふむ。」
とうなずいた。
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