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#12 ぷらぷら

昨日の夜は台風だった。

雨風が強くて、
なかなか寝付けなかった。

翌朝。

空はきれいに晴れていて、
昨日の荒れ模様がうそみたい。

そこで、はっとした。

「プランター!」

慌ててベランダへ飛び出す。

植え替えたばかりの芽を、
出しっぱなしにしていたのだ。

恐る恐る確認すると、
プランターは無事だった。

でも。

芽だけがなかった。

ごっそり。

「うそでしょ…」

昨日の風で飛ばされてしまったのだろうか。

私のせいだ。

そう思って慌ててあたりを見渡すと、
相変わらずとぼけた顔のやつがいた。

「かうぽん、大変!!芽が…!!」

少し涙声で訴える。

すると、かうぽんはベランダの端に目を向けた。

「…扉」

「え?」

そこには、
昨日までなかったはずの扉があった。

防火扉みたいな、
やけに質素な扉。

頭の中に
大量の「?」が発生する。

そんな私をよそに、
かうぽんは当然のように扉を開けた。

そして中へ入っていく。

「え、ちょっと待って!
勝手に入っていいの?!」

急な展開に頭が追いつかない。

でも、
かうぽんという存在に慣れてしまったせいか
気付いた時には
私も扉をくぐっていた。

その先にはーー

見渡す限りの草原。

風が吹くたび、
草がさらさらと揺れる。

空は高くて、
雲はのんびり流れていた。

「かうぽん、ここってどこ?」

多分答えてくれないだろうなと思いながら聞く。

「ぷらぷら」

「……へ?」

ぷらぷら

今度は少し強めだった。

「な、なるほど」

どうやら、
ここは「ぷらぷら」という場所らしい。多分。

かうぽんは満足そうにうなずくと、
ぽてぽて歩き始めた。

なんとなく、
ついて行った方が良い気がした。

草の香り。

心地よい風。

遠くから聞こえる鳥の声。

ただ歩いているだけなのに、
少しずつ体の力が抜けていく。

最近忙しくて、
実家にも帰れていなかった。

みんな元気かな。

そんなことを考えながら歩いていると、
かうぽんがぴたりと立ち止まった。

「め」

そう言って前を指さす。

視線の先を見る。

「うわぁ…」

そこには
小さな花がたくさん咲いていた。

白い花

黄色い花

薄ピンクの花…

風に揺れながら、
気持ちよさそうに咲いている。

「芽、育った」

「え!あの芽、こんなに育ったの?!」

何の花かは分からない。

でも。

無事でよかった。

きれいに咲いてよかった。

そんなことを思いながら、
草の上にごろんと寝転がる。

空はどこまでも青かった。

「次の連休、実家帰るか〜」

そうつぶやいて隣を見ると、
かうぽんはもう寝ていた。

(さすが…w)

風が気持ちよかった。

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かうぽん|思考の散歩をする牛 ご支援ありがとうございます🐄🍀 いただいたチップは、かうぽんのおやつ代として大切に使わせていただきます☺️