人生は思いつき一つで連載になる《今週の三題噺発表》
「おもしろい人生を送るにはどうしたらいいですか?」
そんな質問をされたことはない。(ないんかい)ないけれど、もし聞かれたら最近はこう答えるかもしれない。
「企画を立ててください」
なんだそれテレビ番組かよ。でも案外、本気でそう思っている。
みなさんの記事を読んでいると、「この人、もともと人生がおもしろいんだろうな」という人がいる。歩いているだけで事件が起きる人。コンビニへアイスを買いに行っただけなのに帰ってきたら一編のエッセイを抱えているような人。
強い。
そりゃ強い。
野球で言えば、生まれたときからバットを持っていた大谷翔平くらい強い。
創作大賞2025でメディア賞を受賞されたOLのミカ。さんが書かれていた「星野リゾート全制覇」のエッセイを読んだときも、「それはもう企画が勝ってるじゃないですか」と、ちょっと笑ってしまった。
もちろん文章がおもしろいから受賞されたのだけれど、「星野リゾートを全部泊まる」という人生そのものが、一冊の本の企画書みたいだった。
そんな人生、強いに決まっている。
じゃあ、「私は平凡だから」で終わるかというと、それもなんだか悔しい。
最近思うのは、おもしろい人生は才能だけじゃなく、「企画」で増やせるんじゃないかということだ。
たとえば、「一年間、映画のエンドロールを最後まで見続ける生活」でもいい。
物語が終わったあと、誰もいなくなった映画館で、スタッフさんたちの名前だけが静かに流れていく。そんな時間を一年積み重ねた人が、「映画ってさ」と語り始めたら、ちょっと聞いてみたくならないだろうか。
あるいは、「マクドナルドのハッピーセットを、大人が本気でコンプリートする一年」。
40代のおじさんがおもちゃ目当てでハンバーガーを買い続けていたら家族会議は開かれるかもしれない。でもその一年にはちゃんと物語が宿る。
なんなら、「道端で拾った、よくわからないネジを一年集める」でも成立する。
奥さんには「捨てて」と言われる未来しか見えないけれど、そのネジ一つひとつに、「これは自販機かな」「これは宇宙船の部品だった可能性もゼロじゃない」と勝手な履歴書を書き始めたら、それだけで世界の見え方は少し変わる。
……いや、最後のは変わらないか。普通に掃除の邪魔である。
でも、企画ってそういうことだと思う。
人生に「続き」ができる。
今日はこれをやる日。
来週はあそこへ行く日。
一年後にはこんな景色を見ている予定。
未来に点が打たれる。その点を回収しながら暮らしていると、毎日が一本の長い連続ドラマになる。
企画のない生活はその日その日を過ごして終わる。企画のある生活は、「今日は第3話くらいかな」と思いながら暮らせる。
文章を書く人は、「ネタがない」とよく言う。私も言う。もちろん本当にない日もある。
でも、「ネタがない」というより、「企画がない」のかもしれない。
人生は待っていても勝手に盛り上がらない。文化祭だって、実行委員がいるから盛り上がる。だったら自分の人生の実行委員くらい、自分でやればいい。
誰にも頼まれていない企画を立てて、誰にも期待されていない挑戦を始めて、誰にも理解されないまま半年くらい続ける。
その頃には、「何やってるんですか」と笑われる。最高じゃない?
エッセイは人生を書き写すものだと思っていた。近頃は少し違う。
人生そのものをあとから読みたくなる企画にしていく遊びなのかもしれない。
そう考えると、明日が少しだけ楽しみになる。
さて、何を始めよう。
とりあえず、よくわからないネジは拾わないようにしよう。
《前回の三題噺》
1.映画のエンドロール
2.マクドナルドのハッピーセット
3.よくわからないネジ
説明しよう!三題噺とは、まったく関係のない3つの言葉を強引にひとつの話にまとめる文章遊びであーる。頭をフル回転させながら、「どうつなげる?」「オチどうする?」という落語的プレッシャーが味わえます。エピソード構成力、語彙力、そして無茶ぶり耐性まで育つ、文章版・筋トレRPG。それが三題噺。やってみなきゃ、もったいない!
《今週の三題噺》
1.クリップ
2.梅雨明け
3.テスト範囲
ハッシュタグ
#木曜日は3ースデイ
をお願いします。
どなたでも参加できます。
締め切りは一応来週7月22日(水)まで。
過ぎても大丈夫です。
#放課後ライティング倶楽部
#66週ライラン
[画像協力:さちわ]
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出版企画を持ち込んだら見事にスルーされた
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