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お母さん、バースデーカードを作って

そう我が子に言われたのは誕生日当日、サーティーワンでアイスクレープを食べ、サイゼリヤでドリンクバーを滝のように飲み、ぐったりして帰宅した20時のこと。

わたしだって親のはしくれ。子どもの誕生日祝いを準備していない訳がない。部屋を横断する飾りつけには朝の4時までかけた(12時から2時までは寝落ちしていた)。家中のぬいぐるみを集めて、それらに吹き出しを持たせ、「6さいおめでとう!」と祝いの言葉を述べさせる。極めつけにはバルーン攻撃。カラフルな風船を大量にふくらませ部屋を埋め尽くす。10こにのみマッキーで番号をふる。おめで①~おめで⑩(おめでとう)まで集めたら、冷凍庫から好きなアイスがもらえるというご褒美。しめしめ。これで朝起きたら小躍り間違いなしや。そんな母の頑張りが伝わっていないのか。もう私のHPはゼロである。

よく見る輪っかの紙のやつ ペーパーチェーンというらしい

プレゼントはあるが、カードは用意していなかった。「そうか。急だよね。無理なら来週でいいよ」と物わかりの良い子ども。いっそ嫌だとだだをこねられたほうが断りやすいのに。こうもすんなり受け入れられてしまうとなんだか可哀想になってきた。かといって大人用の便せんにパパっとメッセージを書いたのでは満足しないだろう。どうしたものかと部屋を見渡すと、切りかけの厚紙・セロファンがあった。そうだ。先週タローマン映画のために3Dメガネを作った残りだ。これでやってみよう。

イチから作るより、すでにある物で何とかする方がイメージが湧く。
文章もゼロからより校正の方が得意。

制限時間は3分間

元気な子どもだが、日中は外遊び、夕方は私との外出で確実に疲れていた。帰宅後は風呂に入り、ささやかな誕生日会(とはいっても誕生日ソングを歌うだけ)をしてベッドに直行することになっていた。残された時間は子どもがシャワーを浴びている時間だけ。衝動的にメモをとりたくなる人間の私は、各部屋にペン・フセン・ハサミを常備している。それらとスティックのりを集め、直径50センチほどの丸テーブルで作業にとりかかった。

▲王道のバースデーソングではなく、我が家はコレ。

じっくり何時間でもどうぞ<<<3分間で最高のものを。の方が燃える。頭で考えるより手を動かす。思わぬミスから新しいひらめきが生まれる。今回の私はセロファンを使ったが、折り紙を扱うつもりでノリを貼っていたら、セロファンはどんどん縮んでいくのだ。セロファンは木材から作られるパルプだそうで、湿気に弱くすぐに丸まってしまう。キレイに貼ろうとしても手元が狂う。偶然重なってのり付けしてしまったところが案外いい感じに仕上がっていた。

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時間がなくても、いいものは作れる

クオリティの高いものを作るためには、何度も推考して、時間を置いて第三者の目線で見て、また直す。そうして時間をかければ良いものになると思いがちだ。でも短時間の瞬発力、それだって侮れない。頭で考えてダメなら、自分の身体に聞いてみる。そんな瞬間があってもいいんじゃないか。

身体から心を上向きに

話は変わるが、今月から本格的にボイストレーニングの習い事を始めた。初回の宿題は「あいうえお」を普段から意識すること。日常会話でも口を大きく開ければ、それが普通になり、歌にも生きるという。意識し始めて3日だが、なぜかメンタルが上向きになったのだ。思うに、無理やりにでも口角を上げているからだと思う。よく「笑顔でいれば脳が勘違いして本当に楽しくなりますよ」と聞く。楽しくないのに笑えるか、なんて昭和の俳優みたいに思っていたが、笑おうとするのではなく、口を大きく開けることを考えると口角も上がる。頬の肉がグッと上げっぱなしになる。すると私の心の中のマッチョがメンタルもグッと持ち上げてくれる。ボイトレにメンタル改善効果があったなんて驚いた。

バースデーカードからボイトレの話になってしまったが、気づいたこととしては同じだ。頭で考えず、身体に従う。意図的にその機会を作る。子どもは日々の遊びの中で、思いっきり走ったり、喉が切れそうなくらい叫んだり、身体のリミッターを解除している。大人はまいにち制御している。パイルダーオン。リミッターを外してもいいじゃん。ちょっとくらいはみ出さないと新しい景色は見られない。9月は脳みそをスリープモードにして、身体の思うところに連れていってもらおうと考えている。


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青 石(せい せき)/ 文筆家・校正者・イラストレーター この記事を気に入ってくれたら、よければチップお願いします。一口100円から、何度でもOKです。いただいたお金は記事作成に使わせていただきます。

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