【第7回/全8回】ダイエットの停滞はなぜ起こるのか? | 4つの要因
食事管理をしているのに体重が落ちない…。見た目が変わらない…。そんなときに、焦ってさらに食事を削る前に、ぜひ読んでほしい内容です。どのような対策が必要かを考えるために、まずは停滞期が起こる理由を理解します。
「ちゃんとやっているのに…」
ダイエットを始めた直後は、体重が順調に落ちていきます。
食事を整える。
トレーニングを始める。
お酒や間食を減らす。
甘いものを控える。
そうすると、体重が動き始めます。鏡で見ても少し変わる。ウエストも少し細くなった気がする。「痩せた?」と言われることもあります。
しかし、ある時期から体重が落ちなくなる。
食事管理をやめたわけではない。トレーニングをサボっているわけでもない。それなのに、体重が横ばいになる。
ここで、多くの人が焦ってしまいます。
もっと食事を減らしたほうがいいのか。
もっと有酸素運動を増やすべきなのか。
チートデイを入れたほうがいいのか。
何かサプリメントを使うべきなのか。
しかし、停滞期に入ったときに、最初にやるべきことは「さらに頑張ること」ではありません。
まず必要なのは、なぜ停滞しているのかを整理することです。
ダイエットは、気合いではなく仮説検証です。
課題を捉える。
要因を特定する。
対策をひとつ選ぶ。
一定期間続けて、身体の反応を見る。
この順番を飛ばして、焦ってすべてを変えてしまうと、何が原因だったのかも、何が効いたのかも分からなくなります。
今回は、ダイエット中に停滞が起こる要因を整理します。
停滞期は、失敗ではない
まず前提として、停滞期は必ずしも失敗ではありません。
むしろ、身体が変化しているからこそ、これまでと同じやり方では変化が出にくくなることがあります。
体重が落ちれば、身体を維持するために必要なエネルギーは少なくなります。食事量を減らせば、身体は省エネに傾きやすくなります。疲労が溜まれば、日常の活動量が落ちることもあります。
つまり、停滞期は「あなたの努力が足りない証拠」ではありません。身体が今の状態に適応してきたサインです。
ただし、ここで少し厳しいことを言います。
停滞期という言葉を、気の緩みを正当化するために使ってはいけません。
実際には、食事管理が甘くなっているだけの場合もあります。体重が落ちてきて、見た目が変わってきて、少し気が緩む。意識しているつもりでも、間食・飲み物・お酒・調味料・外食のカロリーが増えている。
一方で、食事を管理していても、停滞する要因はいくつかあります。対策を考える前に、まずそれらの要因をひも解きます。
順番に見ていきましょう。
要因1:食事管理が甘くなっている
最初に確認すべきことは、食事管理です。
一般的なダイエットやボディメイクにおいて、停滞の理由として最も多いのは、食事管理が甘くなっていることです。
これは、意志が弱いという話ではありません。人間は、変化が出ると少し安心します。
体重が落ちた。
見た目が変わった。
周囲から褒められた。
服が少し緩くなった。
こうなると、無意識に管理が緩みやすくなります。
たとえば、次のようなことです。
間食を少しだけ増やしている。
調味料やドレッシングを気にしなくなっている。
外食で「これくらいならいいか」が増えている。
お酒の頻度が増えている。
記録していない一口が増えている。
ひとつひとつは小さいです。
しかし、ダイエットは小さい積み重ねです。摂取カロリーを少しずつ増やす行動が重なれば、当初つくっていたカロリー収支のマイナスは簡単に消えてしまいます。
停滞したと思ったら、まず直近1〜2週間の食事を振り返る。設定した方針通りに実行できていたかを確認する。体重が落ちていた時期と比べて、何か変わっていないかを見る。
ここを飛ばして、すぐに食事量をさらに削ったり、有酸素運動を増やしたりすると、原因を見誤ります。
食事管理が緩んでいるなら、まずやるべきことは新しいテクニックを足すことではなく、元の設計に戻せばよい、ということになります。
要因2:急激にエネルギーを減らしすぎている
次に考えるべき要因は、エネルギー摂取量を急激に減らしすぎていることです。
ダイエットを始めると、早く結果を出したくなります。
朝食を抜く。
昼はサラダだけにする。
夜は炭水化物を抜く。
最初は体重が落ちるかもしれません。
しかし、急激にエネルギー摂取量を落とすと、身体は省エネに傾きやすくなります。基礎代謝量が下がることもありますし、日常の活動量や活動強度が落ちることもあります。
本人は気づいていないかもしれません。しかし、階段を使わなくなる、歩くスピードが落ちる、立っている時間が減る、トレーニング中の出力が下がる、休日に動かなくなる。
こうした無意識の変化が起こることがあります。
すると、計算上はカロリー収支がマイナスのつもりでも、消費する側も下がってしまうため、思ったほど体脂肪が落ちなくなります。
つまり、食事を削れば削るほど、必ずうまくいくわけではありません。
第3回では、維持カロリーの85%程度から始める考え方を扱いました。これは、いきなり大幅に削らず、身体の反応を見ながら進めるためです。
短期間で一気に落とそうとすると、途中で停滞しやすくなります。さらに、空腹や疲労が強くなり、トレーニングの質も落ちやすくなります。
体重だけ落ちても、筋肉が残らず、張りのない身体になってしまっては、本来の目的から遠ざかります。
カッコいい・美しい身体をつくるためには、計画的な設計が必須です。
要因3:長時間の低血糖状態が続いている
血糖値が低くなると、身体はエネルギーを確保しようとします。その過程で、グルカゴンやアドレナリンといったホルモンが関わり、脂肪を分解しやすい方向に働きます。
この意味では、空腹の時間があること自体が悪いわけではありません。
しかし、長時間にわたって低血糖状態が続くと、身体がその状態に適応し、体脂肪が落ちにくくなることがあります。
また、低血糖状態が長く続くと、トレーニングの質も落ちやすくなります。重量が扱えない。集中力が続かない。回数が伸びない。終盤で粘れない。
減量中だからといって、常に空腹であることが正義ではありません。
特に、トレーニングをして身体をつくりたい人にとって、炭水化物は重要です。炭水化物は、動くためのエネルギーになります。トレーニングの質を保つためにも、必要な場面ではきちんと使うべき栄養素です。
第5回でも扱った通り、トレーニング前の炭水化物は、余分なカロリーではありません。出力を保つためのエネルギーです。
体脂肪を落とすには、カロリー収支をマイナスにする必要があります。しかし、そのマイナス幅を大きくしすぎたり、炭水化物を過度に削りすぎたりすると、かえって除脂肪が進みにくくなることがあります。
食べる量を減らすことが、常に正解とは限りません。
要因4:睡眠不足と疲労
4つ目は、回復面の論点です。
これは軽視されがちですが、非常に重要です。
睡眠が不足すると、成長ホルモンの分泌が低下し、代謝に影響することがあります。また、食欲を抑えるレプチンが低下し、食欲を増やすグレリンが増えることで、食欲のコントロールが難しくなることがあります。
つまり、睡眠不足は、ただ日中に眠いというだけの問題ではありません。
食欲が増える。
疲れが抜けない。
活動量が落ちる。
トレーニングの質が下がる。
体重が落ちにくくなる。
こうした形で、除脂肪の邪魔をします。
停滞しているときほど、多くの人は「もっと頑張らなければ」と考えます。しかし、疲労や睡眠不足が原因で停滞している場合、さらに負荷を足すことが逆効果になることがあります。
正解は、追加の負荷ではなく、回復である場合があります。減量中に休むことは、サボりではありません。次に進むための調整です。
停滞したら、まず「確認」する
ここまで、停滞の要因を4つに分けて見てきました。
食事管理が甘くなっている
急激にエネルギーを減らしすぎている
長時間の低血糖状態が続いている
睡眠不足や疲労が溜まっている
停滞したときに大切なのは、これらを順番に確認することです。
いきなり対策をするのではなく、まず要因を見極める。ここを間違えると、次の一手も間違えてしまいます。
停滞期にやってはいけないこと
停滞期にやってはいけないことがあります。
それは、焦って多くのことを一気に変えることです。
食事を減らす。
有酸素を増やす。
HIITを入れる。
チートデイを入れる。
トレーニングメニューを変える。
サプリメントを追加する。
これらを一気に行うと、何が効いたのか / 効かなかったのか、分からなくなります。さらに、次なるカードも失ってしまい、詰んでしまいます。
必要なものを見極め、必要な分だけ変えることが重要です。これは、食事管理もトレーニングも同じです。
情報が多い時代だからこそ、次々に新しい方法を試したくなります。しかし、身体を変えるうえで重要なのは、情報量ではありません。
自分の身体を観察し、仮説を立て、ひとつずつ検証する力です。
停滞期は、次の一手を選ぶタイミング
停滞期は、終わりではありません。
これまでのやり方が、今の身体に対して変化を起こしにくくなったというサインです。だから、落ち込む必要はありません。
ただし、放置してよいわけでもありません。
ここまで確認してきたように、停滞には要因があります。要因によって、切るべきカードを変えればよいのです。
大切なのは、全部を一気にやらないことです。要因を捉え、カードを1枚だけ切り、1〜2週間評価する。
この仮説検証を繰り返すことで、停滞期は突破しやすくなります。
さいごに
ダイエット中に変化がなくなると、不安になります。
自分のやり方が間違っているのではないか。
もっと努力しなければいけないのではないか。
このまま変わらないのではないか。
そう感じるのは自然なことです。しかし、停滞期は失敗ではありません。身体が変化し、今の状態に適応してきたサインです。
焦って全部を変えてはいけません。必要なのは、まず要因を分析すること。そして、次に切るカードを1枚だけ選ぶことです。
次の第8回では、停滞期を打破するためのカードを扱います。停滞期に必要なのは、やみくもな努力ではありません。今の自分に必要なカードを、1枚だけ切ることです。
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あなたの身体は、思っているよりも早く変わる。
