見出し画像

あなたのむくみ、靴下選びで変わるかも。― むくみと靴下の正しい関係を整理する

― むくみと靴下の正しい関係を整理する

こんにちは。 靴下工房Toréを運営しているアクルです。
これまで大手アパレルOEMの現場で、中国工場と一緒に数百万足の靴下を作ってきました。

このnoteでは、その経験をもとに 普段あまり意識されない靴下の仕組みをできるだけ分かりやすく書いています。



夕方になると、靴下の跡がくっきり残る

靴を脱いだあともしばらく消えない。
「むくみがひどいから締め付けない靴下にしよう」
そう思って選んだことがある人も多いと思います。

実はそれ、 目的がズレているかもしれません。

今日はいろいろあって迷ってしまう靴下と、むくみとの本当の関係を整理してみます。


そもそも、むくみとは何か

むくみの正体は、血液やリンパ液が足に溜まること。
足の血液は、重力に逆らって心臓へ戻ります。

そのとき働くのがふくらはぎの筋肉。
歩くたびに収縮して血液を上へ押し戻しています。

しかし長時間座る、あるいは立ち続ける。
そうするとふくらはぎがほとんど動かないので、血液は下に溜まっていきます。
これがむくみです。
つまりむくみは「流れが止まる」問題です。

むくみとは流れの滞り

市場に並ぶ言葉を整理する

売り場にはいろんな商品が並んでいます。
どれも「締め付けない系」に見えますが、 中身はけっこう違います。


① ノンバインダー(ゴムなし)

ゴム糸そのものを使わない、あるいは極限まで減らした靴下です。

通常の靴下には、編み地の中に ポリウレタンを芯にした弾性糸が入っています。
これが「戻る力」を生んでいます。

ノンバインダーはこの糸をなくすことで 履き口の締め付けをほぼゼロにしています。

向いている人は 皮膚疾患・感覚過敏・術後・透析を受けている方など わずかな圧力も避けたい状況の人です。
ただしゴム糸がない分、ずり落ちやすくなります。
フィット感より「圧力ゼロ」を優先した設計です。

こんなかんじの靴下です

② 足首ゆったりソックス

ゴム糸を完全になくすのではなく 履き口のゴムを意図的に弱く・少なく設計した靴下です。

通常の靴下より締め付けは弱いですが 完全なゼロではない。
履き口の跡が残りにくく 長時間履いても圧迫感を感じにくい。

もともとは むくみや血行障害がある方、高齢の方向けに 生まれたカテゴリです。
ノンバインダーとの違いは 「ある程度のフィットは保ちながら、圧迫感を減らす」 という設計思想にあります。

これは安定の無印 こんな感じのくつしたです

③ 着圧ソックス

ここだけ、発想が逆です。
着圧ソックスは 意図的に圧力をかけることで 血液やリンパ液の流れを助ける靴下です。

足首を強く、ふくらはぎを弱く。 この段階的な圧力設計によって 血液が心臓へ戻るのを外から補助します。

立ち仕事・長時間の歩行・旅行・フライト。 足に負荷がかかる場面で使われます。
「締める」をあえて使うことが むくみ対策になる。
これが着圧ソックスの原理です。

着圧といえばこれ

この3つは 「締め付けの強弱」ではありません。
それぞれ 別の目的のために、別の編み方をしている ものです。

起きているむくみに対処するか、むくみを防ぐか、なのかな。

それぞれにちがいがある

ゴム糸は「敵」ではない

ここで、靴下の構造の話を少しだけ。

「締め付ける靴下」と聞くと ゴムが悪者のように思われがちです。
しかし靴下にゴム糸が入っているのは 締め付けるためではありません。
靴下がずり落ちない。 靴の中で動かない。
これがゴム糸の本来の仕事です。

問題は「強すぎるゴム」であって ゴムそのものではない。
ゴムと、リブ(縦に畝のある編み構造)が組み合わさることで 「伸びて、足に沿って、戻る」という動きが生まれます。
これが 靴下のフィットの正体です。

このあたりは、やっぱりみなさんそれぞれ足の形が違いますし、量産品としてはほんとに難しいところですね…(ぼやき)


締める・締めないの整理

締めるメリット
血流を助ける(着圧の原理)
ずれにくい
疲労軽減につながる
締めるデメリット
強すぎると血流を妨げる
履き口の跡が残る
圧迫感を感じる


締めないメリット
履き口の圧迫がない 靴下跡が残らない 皮膚への負担が少ない
足がむくみやすい人でも履き口が食い込みにくい
高齢者・敏感肌・術後などに向く
リラックス・睡眠時に快適
締めないデメリット
むくみの改善には直接効かない
フィット感は弱くなる

どちらもよしあし

ここが、よく混同されるポイント

むくみが気になる人が 「締め付けない靴下」を選ぶ。
気持ちはよくわかります。

足首の跡が痛いから。
圧迫感がつらいから。
でも むくみの原因は「流れが止まること」です。
必要なのは 流れを作ることです。

締め付けない靴下は圧迫感をなくす設計であって流れを作る設計ではありません。
むくみ対策に効くのは適切な圧力で血流を助ける着圧ソックスです。
目的が違います。ケアか、対策か


選び方の基本

では何を選べばいいのか。 目的で整理するとこうなります。
夕方のだるさ・むくみが気になる
→ 着圧ソックス(弱〜中圧)
立ち仕事・長時間の歩行・旅行などに。
履き口の跡・圧迫感がつらい
→ 足首ゆったりソックス
むくみや血行が気になる方に。
圧迫感をゼロにしたい
→ ノンバインダー 皮膚疾患・感覚過敏・術後など。
家でリラックスしたい・睡眠時
→ ゆったり系・ノンバインダー
着圧は睡眠時には不向きな場合が多い。
(よけいなこと言って敵を増やしました)
普通に一日快適に過ごしたい
→ 適切なゴム設計の靴下
ゴムの強さと履き口のリブ設計が整っているものを。

ゆったりはどんな人にもおすすめ

靴下は「締めるか締めないか」ではない

整理してみると こういうことだと思います。

靴下は 締めるか締めないかで選ぶものではない。
どこを、どのくらい、何のために支えるか。
その目的に合った設計を選ぶものです。

やさしい靴下と圧迫感のない靴下は 別のものです。
靴下は 「締めないこと」ではなく 「正しく支えること」で やさしくなります。

自分の足が今何を必要としているか。
そこから選ぶと 靴下の見え方が少し変わると思います。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

靴下工房Toréでは 「派手ではないけれど毎日履ける靴下」をテーマに そんな設計をこれからも続けていきます。

Toréの靴下はこちらから ↓↓

こちらもおすすめです↓↓

はじめて書いたnote

妙に専門的で個人的に好き


いいなと思ったら応援しよう!